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大深度化する地下利用、地下都市はあり得るのか [防災対策]

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通常使用されない大深度の公共的使用が本格化

大深度と云う言葉を知っていますか、一般的に大深度と云われると海の深さを思い出す人が多いのでは、しかしこの防災ブログでは海についてや海の深さについては津波以外あまり関係は有りません。

言い訳を言わせてもらいますと確かに海の深度は津波に関連性は有るのは確かですが、生活空間として関連性が高いのは地中・・・そうです地面の下を今回述べさせていただきます。


海の大深度は深海に於けるもので、ずいぶん前に鉄腕ダッシュと云う番組でも海中都市を造る(計画をしたが挫折)などの放送していたような記憶がありますが、新しい生活空間として最近研究されている海中都市構想の中では大事と云えるかもしれませんね。

ところが最近問題視されているのが毎日学校や会社、買い物などで歩いている私たちが生活している部分の地下部分、なんと地下40mより深い所に新たな空間を作り地下鉄や道路、高圧送電線や電話・ガスなどの集合トンネル、送水管などに使用する空間を設ける大深度地下の公共的使用に関する特別措置法が施行されたのです。


なんかこのような話を聞きますと地下空間に都市を造るかのような思いになりますが現実には都市空間はまだ遠い世界のようで、現在浅い地下の利用は混雑してきており、新しく設置される施設の深度は相当深くなってきているのです。


大深度街づくり.jpg


特に大都市部では、地下40mを超える深さの授業も実施されるようになり大都市の道路地下にはすでに、鉄道、ガス、電気通信、上下水道等のトンネルや管路が多数埋設されています。


このままで浅い地下部分は飽和状態になってしまい、各トンネルや管路を避けながら管路などを敷設していかなければならずより複雑化していってしまう事になり経費や維持にかなりの労力が必要となってしまうのです。

その為、新たに建設される地下鉄等は、それらの管路を避けて建設せざるを得ず、年々その深度が深くなってきているのです。



大深度の定義とは

大深度地下については定義があります。

① 地下室の建設のための利用が通常行われない深さ(地下40m以深)
② 建築物の基礎の設置のための利用が通常行われない深さ(支持地盤上面から10m以深)

大深度地下.jpg


大深度地下は通常利用されない空間ですので、公共の利益となる事業のために使用権を設定しても通常は補償すべき損失が発生しないと言われています。

しかし、改めて施工された法律では事前に補償を行う事なく大深度地下に使用権を設定する事が出来る事とし、例外的に補償の必要性が有る場合は、使用権設定後に、保証が必要と考える土地所有者等からの請求を待って補償を行う事になっています。

大深度地下の補償.png


大深度地下の公共的使用に関する特措法のメリットとは

この法律には次のようなメリットがあります。

① 上下水道、電気、ガス、電気通信のような生活に密着したライフラインや地下鉄、地下河川などの公共の利益となる事業を円滑に行える。

② 合理的なルートの設定が可能となり、事業期間の短縮、コスト縮減にも寄与する事が見込まれる。

③ 「早い者勝ち」や「虫食い」的な利用による大深度地下の無秩序な開発を防ぐ事が出来る。

④ 大深度地下は地表や浅い地下に比べて、地震に対して安全であり、騒音・振動の減少、景観保護に役立つ。






国の政策と方向性について

大深度地下の公共的使用に関する基本方針の主な内容として、大深度地下の使用許可の適合要件となるとともに、国の政策の方向性が示されています。

1 大深度地下における公共の利益となる事業の円滑に関する基本的な事項

① 公共の利益となる事業について
・ 権利調整期間の短縮、合理的なルートの選択等、社会資本の効率的・効果的整備に資するもの。
・ 地上にある施設を地下化する事により、地上に緑・せせらぎを取り戻すなど質の高い都市空間の実現に資するもの。

② 事業の円滑な遂行のための方策
・ 事業の構想・計画段階から、事業者は情報の公開を行い、具体化した段階では住民への周知・説明に努める等説明責任(アカウンタビリティー)を果たす。
・ 地上とのアクセスが必要な事業については、地上・浅深度地下の施設管理者と十分調整を図る。
・ 土地収用制度・都市計画制度の活用・連携を図る。
・ 井戸枯れ等の損害賠償、事業終了後の原状回復等への適切な対応を行う。


大深度地下利用予想される弊害.jpg



2 大深度地下の適正かつ合理的な利用に関する基本的な事項

① 大深度地下空間の利用調整
・ 同一方向に向けて整備される施設ごとに、利用深度を定めて空間を整序する。
・ 有人施設等については、可能な限り上部に配置する。
・ 大規模な地上とのアクセス部分は、可能な限り、空間確保が比較的容易な公共用地付近の大深度地下に配置する。
・ 共同化について、費用負担、維持管理の問題を配慮しつつ、事業間の調整を行う。
・ 大深度地下使用協議会を活用して、事業構想段階から利用調整を実施し、調整を経た上で使用認可申請を行う。
・ 大深度地下使用協議会(首都圏・近畿圏・中部圏)の運営は、地方整備局(関東・近畿・中部)が担当する。

② 既存の施設等の構造等に支障が生じるおそれがある場合の措置
・ 近接している施設の構造や機能に支障が生じるおそれがある場合には、大深度地下使用協議会を活用して、適切な処置を講じる。


3 安全の確保、環境の保全その他大深度地下の公共的使用に際し配慮すべき事項

① 安全の確保
・ 火災・爆発、地震、浸水、停電、救急・救助活動、犯罪防止等について十分な対策を講じる。

②  環境の保全
・ (1)地下水位・水圧低下による取水障害・地盤沈下、地下水の流動阻害、地下水の水質、(2)地盤変位、(3)地層の化学反応、(4)掘削度の処理等の問題を踏まえた環境影響評価手続きを実施する。
・ 環境影響評価手続きの対象とならない事業についても適切な環境対策を実施する。
・ 施設供用中のモニタリングの実施等、環境への影響の発生を早期に発見する方策を講じる。

③ バリアフリー化の推進・アメニティーの向上
・ エレベーター・エスカレーターの設置の他、人的協力等のソフト面での対策を含めた総合的なバリアフリー化を推進する。
・ 熱、空気、光等内部環境を適切に管理し、快適で安心できる内部環境を創出する。

④ 安全・環境情報等の収集・活用
・ 国、地方公共団体、事業者が連携して、安全・環境情報等を収集し、安全対策の確立、環境影響評価手法の開発を推進する。

⑤ その他大深度地下の公共的使用に際し配慮すべき事項
・ 文化財の保護、国公有財産の構造・機能への影響に対して配慮する。


4 その他大深度地下の公共的使用に関する重要事項

① 技術開発の推進
・ 国は、技術開発ビジョンを取りまとめる事により、民間の技術開発の促進を図る。
 
② 大深度地下利用に関する情報収集・公表
・ 国は、地盤の情報、地下に設置された施設の情報等に関する情報システムの整備を推進する。


等々が大深度地下利用における特措法の内容ですが、様々な問題は山積みとなっているのが見えますよね。


過去に埼玉県新座市において送電線地下ケーブル火災によって都内で85万戸の停電を余儀なくされたことが有りました。

火災の場合どのような万全対策を程したとしても大深度である以上は対応が遅れるのは仕方がない事であり、出口を探すガスと炎、熱気で大変なことになるのではないでしょうか。

新座市送電線ケーブル火災.jpg

まして地震などの発生があった場合、地下な安全だと云われながらも電気系統が止まってしまった場合にはエレベーターやエスカレータ等の使用が出来なくなる恐れがあります。


防災を携わる者として、停電が生じた場合に自家発電装置が作動することは承知していますが、復旧に要する時間はかなりかかるのではないでしょうか。

大深度40m以深に止まってしまった地下鉄の場合、乗客が止まってしまったエスカレーターを使って登り地上に出るまでの要する時間や距離はどのくらいあるのか、亀裂や隙間などが出来た場合に湧水は大丈夫なのか、壁材や天井部材の落下や剥離は大丈夫なのかなど、考えなければならないことがたくさんあります。


その為にも情報の共有や技術向上の促進が大事に、合わせて防災の取り組み方の改革などもしていかなければなりません。

静岡県で県とJRとのリニア新幹線での協議が進まない状況が続いていますが、しっかりと協議してこそ安心と安全、環境保全が確保された事業として長く残るのではないでしょうか。





参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより




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