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企業から見る帰宅困難者受け入れ [避難所運営]

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都や区の帰宅困難者受け入れ要請にどこまで対応できるのか?


過去にも帰宅困難者受け入れについて述べましたが、30年内に起こるであろうと言われている首都圏直下型地震に対して、各駅近くに拠点を構えている企業にとってはなかなか受け入れがたいものがあります。

名を取るか実を取るのか、看板(企業名)を背負っているのだから受け入れを受けざる得ない、いや逆にもしものことが有ったら云々・・・・と今でも参加企業は少い。


コンビニエンスストアーやガソリンスタンド、スーパーストアーや百貨店など、殆どの流通業界は協力意思を示しているのに対し他の持ちビル一般企業は何故に参加を躊躇しているのだろうか。

其れには企業側と対応せざる得ない管理会社や警備会社との思惑の違いや有るからと云えるでしょう、企業側は売名行為とは言わないけれど災害対応に協力する事は立派な福利(福祉)厚生の一環として考えています。


しかし、実際に行動するのは企業から管理を移管されている管理会社であってその傘下に警備会社や清掃会社、物流会社などが有るのですが・・・・どちらかと云うと警備会社が窓口に立つようになってしまうでしょう。

私も大手ビルで管理業務を行ってきましたので、内容は細かくは把握しておりますが、残念ながら守秘義務の都合で細部については述べる事は出来ません。


帰宅困難者対策条例の概要.jpeg



さて、昨今、新型コロナウイルスの蔓延により複合災害が問題視されていますが、このブログでも取り上げていますので読者の方はご存知だと思います。

この複合災害に対しての取り扱い方に対して内閣府は指針を出していますが、残念ながら一般の方が目にする事は殆どないのではないでしょうか。




これから紹介しますのは令和2年4月7日に各都道府県・保健所設置市・特別区 防災担当主管部(局)長、衛生主管部(局)長 宛に事務連絡として送られたものです。

避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応について


新型コロナウイル感染症については、感染経路が特定できない症例が多数に上り、かつ、急速な増加が確認されており、医療提供体制もひっ迫して生きているところであり、本日、7都道府県に新型インフルエンザ等緊急事態宣言が行われました。こうした状況にて災害が発生し避難所を開設する場合には、感染症対策に万全を期すことが重要となっており、「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応について」(令和2年4月1日付け)を通知したところです。

下記の通り留意事項を取りまとめました。平時の事前準備及び災害時の対応の参考として頂けるようお願いします。
なお、発災時には政府としても「新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針(令和2年4月7日新型コロナウイルス感染症対策本部改定)に基づき、感染症対策に必要な物質・資材の供給等必要な支援を行う事としております。
貴都道府県内の市町村防災担当主管部局に対しても、その旨周知して頂きますようお願いいたします。
本件通知は地方自治法(昭和22年法律第676号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添えます。









(可能な限り多くの避難所の開設)
・発災した災害や被災者の状況等によっては、避難所の収容人数を考慮し、あらかじめ指定した指定避難所以外の避難所を開設するなど、通常の災害発生時よりも可能な限り多くの避難所の開設を図ると共に、ホテルや旅館等の活用等も検討する。

(親戚や友人の家等への避難の検討)
・災害時には避難生活が必要な方に対しては、避難所が過密状態になる事を防ぐため、可能な場合は親戚や友人の家等への避難を検討していただくことを周知すること。

(自宅療養者等の避難の検討)
・自宅療養等を行っている新型コロナウイルス感染症の軽症者等への対応については、保健福祉部局と十分に連携の上で、適切な対応を事前に検討すること。

(避難者の健康状態の確認)
・避難者の健康状態の確認について、保健福祉部局との適切な対応を事前に検討の上、「避難所における感染症対策マニュアル」*におけるサーベイランスの内容も参考として、避難所への到着時に行う事が望ましい。
・また、避難生活開始後も、定期的に健康状態について確認すること。


*避難所における感染症対策マニュアル 2011年3月24日版

平成22年度厚生労働科学研究費補助金

「新型インフルエンザ等の院内感染制御に関する研究」研究班(主任研究者 切替照雄)作成


(手洗い、咳エチケット等の基本的な対策の徹底)
・避難者や避難所運営スタッフは、頻繁に手洗いするとともに、咳エチケット等の基本的な感染対策を徹底すること。

(避難所の衛生環境の確保)
・物品等は、定期的に、及び目に見える汚れがある時に、家庭用洗剤を用いて清掃するなど、避難所の衛生環境を出来る限り整えること。

(十分な換気の実施、スペースの確保等)
・避難所内については、十分な換気に努めると共に、避難者が十分なスペースを確保できるよう留意すること。

(発熱、咳等の症状が出た者のための専用スペースの確保等)
・発熱、咳等の症状が出た者は、専用のスペースを確保すること。その際、スペースは可能な限り個室にすると共に、専用のトイレを確保する事が望ましい。
・同じ兆候・症状のある人々を同室にすることについては、新型コロナウイルス感染症を想定した場合には、望ましくない。やむを得ず同室にする場合は、パーティションで区切るなどの工夫をする事が望ましい。
・症状が出た者の専用スペースやトイレは、一般の避難者とはゾーン、動線を分けること。
・避難者のスペースの利用方法等について、事前に関係部局や施設管理者と調整を図ること。

(避難者が新型頃ウイルス感染症を発症した場合)
・新型コロナウイルス感染症を発症した場合の対応については、保健福祉部局と十分に連携の上で、適切な対応を事前に検討すること。



*「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針」(平成25年8月(平成28年4月改定)内閣府(防災担当)において、「感染症を発症した避難者の専用のスペースないし個室を確保する事が適切であること」と記載しており、また、「避難所運営ガイドライン」(平成28年4月) (平成28年4月 内閣府(防災担当)において、「感染症患者が出たときの部屋を確保する」と記載しているが、新型コロナウイルス感染症の場合は、軽症者等であっても原則として一般の避難所に滞在することは適当でないことに留意すること。


(参考)
・新型コロナウイルス感染症の対応について(内閣官房HP)

・一般市民向け新型コロナウイルス感染症に対する注意事項(日本環境感染学会HP)




発災時間によって対応は様々

上記の通達を参考に各市区町村は独自のマニュアルを作成しているようですが、これらは一時避難所や避難所を対象としたもので有り、発災時における帰宅困難者受け入れ企業には柔軟な対応が必要になると云えるでしょう。

実際に震災はいつ起きるのかは誰もが予想できる訳はなく、朝の出勤時か出勤後、もしくは昼から退社後までの時間、または会社内に人が少ない残業時間帯、ほとんど社員の居ない深夜の時間帯等など、それぞれに対応の仕方が変わると思います。


また前述していますが対応する人は誰かによっても変わりますよね、昼間であればビル内の社員対応管理は総務部や人事部になると思いますが、夜になれば残業している人が少なく、対応する総務や人事部の社員がいるとは限りません。

まして、企業ビルで有れば社員以外の一般人受け入れがある訳ですから、それをだれが行うのか?・・・・委託している警備会社や管理会社の方が一般人受け入れを行う仕組みは出来ているのか等など課題は有ります。


朝から社員帰宅時間までは多くの方がいる訳ですから対応は様々でも出来るとは思いますが、社員帰宅時間以降は前述の通り管理委託されている管理会社や警備員になりますよね。

でも発災後すぐには対応発出来ませんよね、何故?、それは簡単です、はたしてこのビルの安全は確保されているのか、「耐震・免震構造だから当ビルは安全です」それって建築物躯体は安全と云う意味であって内装材や置物倒壊や剥離、天井吊り物やテーブル上の物等の落下破損は当然ですが考えられることです。


ビルの管理者であればエレベータやエスカレーター、ボイラーや給水塔やクーラーの室外機、クーリングタワー等々の機器の点検や外観の点検、また在館者が居たらケガをしていないかや病気はないのかを確認したうえで、受け入れ態勢を構築していくのです。

多分ビルの規模にもよるでしょうが2時間は最低点検や確認で時間を要するはずですので、それから受け入れ準備をしていかなければなりません。


九州での水害時の様子については、このブログ内(6月28日線状降水帯よる土砂災害と河川氾濫,そして複合災害の難しさ)の中でも取り上げていますが災害と避難が一緒になった突然の複合災害では対応が難しいのです。

しかし、企業ビル内での受け入れについては、深く考える必要ないと思われます【語弊があるといけませんが帰宅困難者受け入れは避難所が出来るまでの数日間(3日程度)】が、雨などが降っている場合を考えると受け入れ練習は必要でしょうね。


何度も述べていますが、企業や時間帯によっては対応者が変わりますので、それぞれ何度もシュミレーション(図上訓練)や実際に受付を作ったり社員による参加協力を得て、熱や咳のある人、要配慮者、普通の人、怪我人などの模擬受け入れ練習を行ってほしいですね。

今やSNSの時代、受付の対応如何によって企業の名前が簡単に良し悪しに関わらず出てしまう事を忘れてはいけません。


防災士の立場から考えますと対応はシンプル・的確に行わなければならないと考えています、当然ですが名簿の作成、検温は指針に求められている新型コロナウイルスの疑いなどの方と交わらない動線やトイレの確保を守ればまずは一つクリアーです。

水分補給や携帯食の提供を考えると、非常食やマットやブランケット、要配慮者用のテントなどが保管されている場所は避難所設定エリアの近くにある事なども必要です。


対応者もまた不安であり、同じ帰宅困難者でもある事を忘れてはいけません、よく間違えられるのは警備員だからとかビルの管理者だからなど特別な目で見る人がいますが、皆同じ環境である事には変わりはないのです。

一番勘違いしているのは、ビルの管理会社や警備会社の方々が身内である担当者に対応が出来ていない、遅れているなど責める言葉を投げかける事でしょうか、誰でも一生懸命に対応しているはずです。


これらも前述していますが、公務員だって自衛隊員だって同じ国民であり家庭生活を持っている訳で、発災した時には同じ被災者になり家族を一番に守らなけれなりませんよね。

家族の安全が確保できれば職務に入る訳ですが、どこを間違えるのか、公務員は何をやっているんだと云う声ですが、防災の基本は自助・共助・協働、そして最後に公助です。


同じように考えますと企業においても同じ立場の方がたくさんいますよね、設備や警備の方々もそうですが企業の管理部にいる方々です。

発災後すぐに勤務先に駆け込むなんて考えは持つ必要は有りません、まずは自分のの家族を守り安全を確認出来たら地域の方へと助け合いをする事です。


会社員としては、企業人としてできる最善の方法で確認する、最近では全社員にメール登録をして安全を確認できるシステムを取り入れている企業も有ります。

損壊しているかも知れない道路ですが、安全が確認された道路は救急車両や緊急応援車両などによって使用されていますので一般人が自動車で会社へ向かうなどは緊急優先の邪魔になるだけです。


交通機関が動き出したら出勤等をすればよい、という考えのもとに他の方法や地域への協力を進んで行って欲しいものです。

特に防災センターに勤務している方々には、防災センター要員講習を受けておりますし、自衛消防技術認定試験合格、上級救命講習修了など人を助ける技術を持っていますので、地域の共助に大きく役立つはずです。


自転車に乗ってでも会社に駆け付けるなどは危険を伴いますし、まして企業ビル内防災センターに残っている方々も同じようにほとんどの方は有資格者であり安心できるはずです。

企業は社員に対して様々な安全確認方法を導入して頂くと共に、ビル管理者は内部の確認などの対応をしっかりと行う事が出来るようにして置くことで、自己家族及び地域優先の救助活動や救援活動に力を入れる事が出来るのではないでしょうか。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより




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