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地震情報と津波情報について [大規模地震]

震度速報の第一報は、地震発生後約1分半後までに発表される



気象庁は、私たちの知らない所で全国の地震活動を24時間監視しており、日本及びその周辺で地震が発生すると、各地の地震家のデータを直ちに解析し、震源と地震の規模(マグニチュード)を決め、速やかに地震や震度についての情報を発表しています。

また気象庁には、全国市町村などが観測している震度計の観測データなどもオンラインで届けられ、各地の震度として防災機関や報道機関などに発表され、テレビやラジオの地震速報に利用しています。


地震予知.jpg


気象庁が発表する震度速報は、各防災機関などが地震発生直後の必要な初動対応を取るための引き金として利用されているのです。




緊 急 地 震 速 報

緊急地震速報は、地震の揺れが伝わる速さよりも電気信号の伝わる速さのほうが早いことを利用して、地震の発生を可能な限り素早く知らせる情報です。


緊急地震速報.jpg


具体的には震源に近い地点で観測した「初期微動(P波)」を元に、地震の大きさや震源の位置を計算し、大きな横揺れの「主要動(S波)」が各地に達しないうちに、到達時間やその地点での予測震度を速報するものです。

震源までの距離によって地震の揺れが伝わってくるまでにどのくらいの時間があるかは大きく異なり、その間にどのような防災行動がとれるかも異なってきます。


気象庁は、緊急地震速報を2007年10月から一般向けに発表するようになりました。

そして、同年12月から気象業法に定めた予報・警報として、地震予報・地震警報が位置付けられたのです。


緊急地震速報では、情報を発表してから主要動が到達するまでの時間は、長くても十数秒から数十秒と極めて短く、震源に近い所では情報が間に合わないことが有ります。

また、ごく短時間のデータだけを使った情報であることから、予測された震度に誤差を伴うなどの限界も有ると言う事です。



この情報を利用して、列車やエレベーターを素早く制御して危険を回避したり、工場、オフィス、家庭などで避難行動をとる事によって被害を軽減させるための効果は有りますが、特性や限界を十分に理解して利用する必要があります。







津 波 警 報

気象庁では、震源が海底にあり、津波を引き起こす可能性のある大きな地震が発生した場合には、地震が発生してから約3分(日本近海で発生し、緊急地震速報の技術によって精度の良い震源位置やマグニチュードが迅速に求められる地震については最速2分以内)を目標に津波警報(大津波、津波)または津波注意報を発表します。


津波の起こり方.jpg


さらに津波警報・注意報を発表した場合、震源やマグニチュードなどから、数値シュミレーション技術によって都道府県の境界などによって分けられた全国66の予報区ごとに沿岸での津波の高さ・到達時刻を予測し、津波情報として発表しています。


津波の高さ予想の区分と津波警報の分類との対応として、マグニチュード8.0を超える巨大地震の場合「巨大」という言葉を使った大津波警報で、非常事態であることを伝える事になっています。

この時、最初の津波警報では、予想される津波の高さを、「巨大や「高い」という言葉で発表して非常事態であることを伝えます。


津波到達までに残された時間は、同じ予報区内でも差があり予報区が異なればさらに差が大きくなりますが、日本沿岸で発生した津波に対しては長くても数時間程度の差だそうです。

それぞれの状況において防災対応を完了させるために要する時間には違いがあるため、警報が発表されれば、直ちに非難するなどのそれぞれの防災行動を起こすことが必要です。


また、津波到達迄に残された時間の応じて表現を変える場合、その逆効果として、「まだ、少し余裕がある」との油断をさせる恐れがあるため、到達予想時億までに残された時間によらず「直ちに非難」とし、この表現は遠地津波での警報発表においても適用しています。






北海道・東北北部地震想定・岩手で津波30m予測

内閣府の有識者検討会は2020年4月21日、北海道から東北北部の太平洋沖で過去最大級の地震が発生すれば、最大30m近くの津波高になるとの推計結果を公表しました。

岩手県宮古市で最大27.9m、北海道えりも町で同27.9mなどとされ、岩手県北部の一部は、東日本大震災を超す津波高になると予想されたのです。


推計したのは「日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」(座長=佐竹健治・東京大学地震研究所 教授)です。

北海道と東日本の太平洋沖に伸びる千島海溝と日本海溝で、マグニチュード9以上の過去最大クラスの地震が起きたと想定、最大津波高や親水基、震度分布を予測したと云うものです。


千島海溝の地震では、北海道厚岸町と浜中町で震度7を記録し、東南部の沿岸各地での最大津波高は20メートル超とされたのです。

日本海溝北側開港の地震では、青森県や岩手県南部の太平洋沿岸で震度6強に、津波高は青森県八戸市で26.1mなど東北各地で10~20m超としています。


内閣府は、岩手県以外の6道県の新水域予想図をホームページ公開しているとともに、岩手県については「住民の混乱を招く懸念があるとして、県から非公表を要請された」と説明しています。

日本列島の下に太平洋プレートが沈み込む東北沖の日本海溝や北海道沖の千島海溝には、ひずみが溜まり続けていると言う事は知られていました、


政府の地震調査委員会は2017年、千島海湖でM8.8以上の巨大地震が30年以内に起こる確率は最大40%とし、「切迫している可能性が高い」と注意を呼び掛けてきました。

青森県は沿岸22市町村の全てで震災の津波高を超え、八戸市の26.1mが最も高く、地震発生から39分で八戸港に10.3mの第一波が押し寄せる事になります。


太平洋側の市町村にはいずれも10m以上の津波が到達し、陸奥湾内の青森市にも最大5.4mの津波が予想されています。

宮城県は気仙沼、石巻両市のほか、南三陸町12.6m、女川町11.7mなど、石巻、塩釜、松島3市町の役場は浸水することが予測されました。


震災前の地形データを用いているため、防災集団移転用地などへの影響は反映されていません。

福島県は南相馬市の19.0mが最大で、双葉町の東京電力福島第一原発付近は津波高は13.7mに達する見込みです。


内閣府は21日、人的、物的被害について検討する作業部会を設置、武田良太郎防災担当相は記者会見で「堤防による防御が難しく、避難を軸とした総合的な対策をしたい」と述べるに留めています。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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避難所、新型コロナウイルス感染防止に新たな指針 [避難所運営]

複合災害で備えを促す緊急提言を発表



気象学や災害医学など防災に関連した58学会で作る「防災学術連携たい」(事務局・東京)が、2020年5月1日、新型コロナウイルスの感染拡大と大雨などの自然災害が重なる「複合災害」への備えを促す緊急提言を発表しました。

複合災害については当ブログ内でも、筆者自身が2020年4月21日に「新型コロナウイルス対策で追われる中で、もし大規模災害が起きてしまったら?」の中で意見を述べていますが、早くも多くの方々が同様な意見を持っていたことがうれしく思うと共に、自治体や地域自主防災組織の方々に浸透して頂ければと思っています。


5月の大型連休後あたりから、日本列島は沖縄から順に梅雨入りに入りますが、合わせて風水害による避難報告もされる時期になります。

提言では、住民と自治体に水害時などの避難所での密閉、密集、密接の「三密」状態を避け、ウイルスの集団感染を防ぐための手立てを示したのです。


具体的には、被災者同士が接触しないよう、衝立(ついたて)を設置したり、感染者を隔離する別の建物を用意したりなどの工夫を求めています。

梅雨明け後の猛暑対策も盛り込んであり、熱中症で基礎体力が落ちると重症化の危険性が高まるため、扇風機や空調を用意するよう促しています。


連携体代表幹事の米田雅子・慶応大特認教授(土木・建築額)は「複合災害が生じると、被災者と感染者の両方への対応で医療崩壊が生じかねない」と話しています。







対策を求められる自治体

新型コロナウイルスが流行する中で、梅雨や台風の時期が近付いているだけに大規模災害を想定した避難所での感染防止対策は欠かせません。

専門家は、「感染者の受け入れが最大の課題だ」と話しながらも、感染要望対策が遅れていることを指摘ししてきました。


内閣府などは、可能な限り多くの避難所の開設や感染者への対応を事前に検討しておくことを求める通知を、4月に自治体に発出し、対策の徹底を呼び掛けたのです。

各地の自治体は、感染を防ぎながら避難所を運営できるか?不安を抱えていたのが実情ではないでしょうか。


そこで内閣府などは通知の中で、可能な限り多くの避難所を開設したり、親戚・友人宅への避難検討を周知したりと云った方法で、三密とならない環境を確保するよう自治体に求めています。

また、発熱や咳の症状がある人がいる場合には、専用スペースをもける事を要請し、新型コロナウイルス感染者の発症者が生じた場合に備えて、事前に対応することも呼び掛けています。


避難所の運営に詳しい日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は「もはや想定外のリスクではない」と強調しています。

「設備の整った病院ですら集団感染が発生している。避難所で感染拡大する可能性が有る」と警告し、対策強化を訴えています。





自治体の実際の対応「災害は待ってくれない」

北海道地震で大規模な土砂崩れが起きた厚真町では、2020年3月10日に大雪と融雪で土砂災害の危険性が有るとして、2ヵ所の避難所を開設しました。

受付でマスクを配り、保健師が検温と問診を実施し、異常のある人に移ってもらう別室も用意したと言う事です。

当日の避難者は11人に留まり混乱はなかったそうですが、町の担当者は「人数が多ければ別室での対応も難しく、配れるほどのマスクもない」と話しています。


3月13に、石川県輪島市で震度5強の地震が発生しました、同氏の担当者は「能登半島地震のような規模で有れば、密集は避けられない。できるだけ分散されるよう避難所の数を増やすことも考えなければならない」と語っています。


熊本地震で震度7を記録した熊本県益城町も対応を急がれています、その例として避難所のレイアウトを練り直し、1人当たりののスペースを2平方メートルから4平方メートルに広げるほか、2mの通路幅を確保するよう検討を進めているそうです。

担当者は「目標人数分のスペースを確保できておらず、課題は山積だ」と話しています。


熊本地震や西日本豪雨などで避難所支援に携わった岩手医科大の桜井滋教授は「新型コロナウイルスに限らず病原菌は無数にあり、シンプルな対策を完璧にやる事が大事だ」として、手洗いの徹底を訴えています。

その上で「避難所の感染症対策を自治体に任せるのは難しい」とし、感染制御の専門家チームが避難所を巡回し、柔軟に支援する体制を作る必要があると指摘したのです。


新型コロナウイルスへの緊急事態宣言について、期間延長が5月6日後も行動制限をすべきだとの提言が纏められる中で、これからの季節に対する急がれる対策、政府としても対策を急がれます。

前述してある通り、「災害は待ってくれない」この言葉の重さを我々防災士・各自治体や地域自主防災組織も考えて行かなければなりません。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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誘発地震と火山噴火に関する考え方とは? [火山噴火]

大地震の発生の影響により、震源地から離れた場所でも地震活動が高まることが有る。



大地震の後には余震が多数発生する事が分かっていますが、この余震は地震を起こした断層面の「ずれ動きが残った場所」が後から壊れたり、ずれ動きにより新たな歪みが溜まった場所で歪みを開放する動きによるものです。

最大余震の規模は、本震より1程度小さいものが多いのですが、余震の震源が近い場合にはたとえ本震より規模が小さくても、大きな被害が起きる恐れが有ります。


余震が多発する間は、複数の地震の観測データをご判定する恐れが高く、緊急地震速報の震源決定制度が低下して誤報や見逃しが起きやすくなることにも注意が必要なのです。

大地震の発生の影響によって、震源域から離れた場所でも地震活動が高まることが有ります。


2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の翌日(3月12日)には、長野県栄村でM6.7の地震が発生死者3人、住宅全半壊334棟を含む大きな被害が出ました。


地震と火山活動.jpg


3月15日には富士山の直下を震源とするM6.4の地震が発生、富士宮市で震度6強の強い揺れを観測しています。


さらに3月23日~4月12日にかけて福島県浜通りでM6.0~M7.0の地震が相次いで発生しましたが、これらの内陸地震は、東北太平洋沖地震により陸のプレートが大きく引き延ばされた結果、地殻の応力状態が大きく変化して引き起こされた「誘発地震」であり、これも広義の余震と考える事もが出来ます。

大地震の発生から数年を経て起きる誘発地震もありますが、こうした内陸地震は大地震の影響が数年かけて内陸に広がり、地殻内に生じたバランスの崩れを解消するために起きるのではと考える事も出来ます。


大地震の発生はしばしば火山活動にも影響を与えており、東北太平洋沖地震の発生直後に東北から関東にある13の火山の周辺で地震活動が一時期活発化しました、これも、地震により地殻内部の応力変化が生じた為で有ると見られています。







プレート境界地震に伴うアウターライズ地震とは

海溝外縁隆起帯(海溝軸より海寄りの海洋プレートが地形的に隆起した領域)で生じる地震を「アウターライズ地震」と呼びます。

海洋プレートが陸側プレートの沈み込む海溝の手前のアウターライズ付近では、プレートを下向きに折り曲げる力が働くため、プレートの浅い部分で伸張(引っ張り)応力が、深い分では圧縮応力が作用してプレート内に断層破裂が起こる事で大地震が発生すると云うものです。


アウターライズ地震.jpg


アウターライズ地震は陸地から遠く離れた場所で発生するため、陸地での揺れは比較的小さいものですが、震源が浅いために大きな海底隆起を生じ、地震の規模以上に大きな津波を起こしやすいのです。

アウターライズ地震は、プレート境界型地震の影響を受け引き起こされることが多くみられ、将来、より規模の大きなアウターライズ地震の発生が懸念されています。



大規模災害発生が想定される地震の被害想定

今後30年以内の発生確率が高く、被害が広範囲にわたるとともに、日本全体への社会的影響が大きい南海トラフ地震(東海・東南海・南海地震)と、首都直下地震については、国の中央防災会議によって、被害想定が行われています。

これを受けて自治体では、詳細な地盤データや海岸地形データを用いて震度分布や津波の浸水域を評価すると共に、町丁目ごとの人口や建物データと合わせて、死者数や建物倒壊棟数などの詳細な被害想定が進められているのです。







南海トラフ地震とは

駿河湾から足摺岬の沖合に広がる南海トラフでは、過去に100~150年周期でマグニチュード8.0~8.7規模の東海・東南海・南海地震が繰り返し起きています。

南海トラフ地震の発生パターンは毎回大きく異なり、東海・東南海・南海地震が同時に発生した「三連動」の場合も有れば、数年の時間差で順々に発生した場合も有りました。


1707年放映自身は三連続地震と考えられていますし、1854年の安政地震では東海地震と東南海地震が先行、それから30時間遅れて南海地震が起きています。

昭和の地震では1944年に東南海地震が発生、2年後に南海地震が起きましたが、以後70年を経過した現在、東海地震がまだ起きていないのです。


南海トラフ地震.jpg


政府の地震調査委員会は2013年5月に、南海トラフで起きる大地震の長期予測について規模や連動性が多様な事から、東海・東南海・南海の三地震を個別に評価する従来の手法を見直し、南海トラフ全体での地震発生を一元的に推計する方針を決め、南海トラフのどこかでマグニチュード8以上(M8~9)の地震が30年以内に起きる確率を算定する事にしたのです。

2018年1月1日時点ではこの確率は70~80%と推定、また国の中央防災会議が被害想定を公表したM9.1と云う最大級の巨大地震については発生周期が不明のため確立の計算は困難と判断し、M8級と比べて発生頻度は非常に低いとの評価に留めています。


海上保安庁では、2006年頃より南海トラフの海底15ヵ所で海底地殻変動の観測を続けており、国土地理院による陸上変動観測データとの統合解析により、南海トラフ地震想定震源域の周辺での歪みの蓄積分布(海のプレートに固着して引きずり込まれる陸のプレートの動き)が詳細にわかってきました。

其れによりますと、四国沖や遠州灘沖では歪みの蓄積割合が大きいことなど、プレートの固着状態の空間変動が大きく、これが南海トラフ地震の発生間隔や、連動性など地震の起き方に関係している可能性が高いのです。


これまで観測期間はまだ10年と短いですが、今後データが蓄積することで、次の南海トラフ地震の規模や起き方が絞り込まれると期待されています。

さらに、リアルタイムでの観測が可能になれば、大地震の発生に向けたプレートの固着状態の変化を検知するなど、大地震発生予測に向け大きな前進が期待されています。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
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防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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関東地方は地震活動が高い地域です。 [大規模地震]

プレート三重点の地震多発地帯の上に大都市がある事が珍しい




日本の中でも、関東は地震活動が高い地域と云えるでしょう、これは、関東の陸地を支える北米プレートの下に、南からはフィリピンプレートが沈み込み、さらにその下には東側から太平洋プレートが沈み込むという3つのプレートが積み重なった状態になっているからです。

この結果、関東下ではあらゆるプレートの内部と境界で、日常的に地震が多発するほか、過去にマグニチュード(M)7クラスの大地震も高い頻度で起きており、こうしたプレート三重点の地震多発地点の上に大都市ががある例は非常に珍しい事なのです。


関東フラグメント.jpg


関東で発生が心配される地震は2つに大別され、一つは、関東下に沈み込むフィリピン海プレートで起こる「関東地震」と呼ばれるタイプの地震です。

この地震規模はM8クラスと云われ、発生間隔は200~400年と推定されており、1923年大正関東地震(関東大震災:M7.9)では、家屋倒壊による圧死と火災による焼死により10万人の死者が出たのです。

その前に起きた1730年元禄関東地震(M8.2)は、2000年に一度の大きな関東地震でした。


もう一つの地震は、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界ないし、これらのプレート内部、あるいは活断層で起きる可能性のあるM7クラスの地震です。

過去にこうした地震が100年当たり2~3個の割合で起きてきており、その活動履歴から30年以内に70%程度の確率で発生すると考えられているのです。








災害による人的・物的被害の算出

2013年12月に内閣府の首都直下地震対策検討ワーキンググループでは、緊迫度の高いM7クラスの地震モデルとして「都区部(都心南部)直下地震(M7.3)」を防災・現在対策の象徴とする地震に選び、防災減災対策の検討に向けて、人的・物的被害の詳細な評価が行われました。

其れによりますと、,強い揺れによる全壊家屋は約17万5000棟、建物倒壊による死者数は最大で約1万1000人、経済的被害は95兆円と想定されています。


特に市街地火災の多発と延焼の問題は大きく、最大約41万2000棟が焼失、火災による死者数は最大で約1万6000人に上ると云う想定結果が示されたのです。(建物倒壊等と合わせて最大焼失数約61万棟、最大死者数約2万3000人)

相模トラフ沿いのM8クラスの海溝型地震については、当面発生する可能性は低いものの、今後100年を見据えた長期的な視野に立った防災・減災対策の対象として考慮することの必要性も示され、また、東北地方太平洋沖地震の震源域の南側では、同種の地震が誘発される可能性を考えた津波避難対策の必要性が喚起されたのです。



日本海東縁部で起こる地震と津波

2014年8月26日、国土交通省、内閣府、文部科学省による有識者会議「日本海における大規模地震に関する調査検討会」が、日本海の大規模地震が引き起こす津波想定の検討結果を公表しました。

検討会は、日本海側(日本海東縁部)における地震・津波関係の歴史資料・津波痕跡高・津波堆積物調査とともに、最新の科学的知見などを踏まえ、津波の発生要因となる60の断層を想定し、その場所で発生しうる最大クラスの津波断層モデル(海底断層の位置、長さ、幅、傾斜角、滑り量)を設定し、計253ケースの津波高の概略計算を実施したのです


概略計算結果を踏まえ、同府県内市町村の平均津波高が最大となる断層についても示されていて、検討会は、「日本海側は太平洋側よりも断層が浅く、動く角度が急なため、地震規模に比べて津波が高くなる、断層が陸地に近く、到達までの時間も短い」と説明しています。

地震が発生した日本海東縁部は明瞭なプレート沈み込み帯ではないため、例えば太平洋プレート境界で起きる海溝型地震に比べて発生間隔は長く、内陸活断層と同等の発生間隔を持つものと考えられています。



日本海で発生する津波の特徴

◎ 断層が海底下から浅い場所にあり、断層が高角度ずれ動くため地震の規模に比べて津波が高くなる。

◎ 断層が陸地に近いため津波到達までの時間が短い。
  (一部の地域では地震発生から2~3分以内に30㎝超の津波が到達。最短1分の地域は奥尻町や山形県酒田市など6道県15市町村。10分以内は14道府県の82市町村。例えば新潟市では7分、福岡市8分など)

◎ 日本海の海底地形の影響により、東北地方日本海沖で発生した津波が中国地方で高くなる場合がある。
  (津波は海底の浅い場所へ集まりながら伝搬していくため、ある特定の地域

焦点を結ぶように集まり、波高が高くなることが有る)







千島海溝で想定される地震や四国地域活断層による物や琉球海溝沿いの地震

北海道東部の千島海溝沿いで起きる巨大地震の発生危険度(長期評価)の調査結果が発表されました。

ここでM9クラスの超巨大地震の30年以内の発生確率が7~40%という「いつ起きてもおかしくない」との見方を示したのです。


北海道東部の太平洋岸では17世紀初頭に高さ18mを超える大津波が発生し、内陸1~4kmにわたって浸水したことが調査から分かっており、M9クラスの超巨大の可能性が指摘されたのです。

千島海岸沿いの地震は、南海トラフ地震や首都直下地震などに比べ指摘される機会は少ないですが、巨大地震の地震発生確率がこれら地震と同等以上に高く、強い揺れと大津波による被害の危険度が高いことを知っておかなければなりません。


四国地域の活断層は、東北東ー西南西に伸びる中央構造線断層帯、その北に長尾断層帯の分布ほか、上法軍寺断層、上浦ー西月ノ宮断層、綱附森断層が分布しています。

この地域では地震活動は低調ですが、資料に残る歴史地震も少ないのですが、国内最大の活断層である中央構造線断層帯の半分を超える区間が、熊本地震を契機に導入された地震発生確率のランク分け「S(高い)・A(やや高い)」ランクに上げられています。

最大級の地震規模として中央構造線断層帯の全区間が活動する場合(M8.0超)、四国や九州北部、近畿、中国地方などの広い範囲が震度6以上、断層に近い大阪、奈良などの一部の地域では、震度7以上となる恐れがあると予測されています。


南海トラフの何西方の延長部にあたる琉球海溝沿いでは津波を伴ったM8クラスの巨大地震として国内最大30mの巨大津波が襲った1771年の八重山地震や1911年の喜界島地震が知られていますが、海溝型巨大地震の発生頻度は高くありませんが、科学的データ不足のため政府による海溝型地震の長期評価は行われていません。

琉球海溝沿いでは、プレート間の固着が弱い状態にあって、巨大地震を起こす歪みは溜まっていないと一般的に考えられていますが、この琉球海溝沿いで陸地の下に沈み込む海側プレートが陸のプレートに固着している可能性を発表、巨大地震につながるリスクがあるとして琉球海溝全域の調査観測が続けられています。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
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震度とマグニチュードの違いって? [大規模地震]

貴方は知っていますか震度とマグニチュード、其れって呼び方が違うだけでは??




知っているようで知らない「震度」と「マグニチュード」はよく混同されることが有りますが、私たちは知らないで使用していますが正しく理解しておくことが必要です。


震度とマグニチュード.jpg


阪神淡路大震災の後にも、震度とマグニチュードの違いが多くの人に理解されていなかったために余震情報がきっかけとなって流言が発生ししてしまったのです。



震 度

震度とは、地表で感じる揺れの強さを、気象庁や自治体の観測点で、計測震度計により観測して発表されるものです。

正確には「震度階」あるいは「震度階級」と呼ばれており、気象庁の震度階は0~7までありますが、5都6にはそれぞれ京都弱に分けられていますので全部で10段階になります。

0は「無感」で、人体には感じられず、地震計だけが感じた微小な振動であり、これが最も多いそうです。


震度階.jpg


阪神淡路大震災を起こした兵庫県南部地震(M7.3)は、震度7が初めて適用された地震でした。

1948年の福井地震までは震度6までしかありませんでしたが、この地震で家屋の全壊率が100%近くに達する地域があったため、翌1949年に震度7と云う震度階が初めて設定されたのです。

当時は、家屋の倒壊率が30%を超えたときに、震度7を適用することにしていました。








マグニチュード

マグニチュード(Magnitude)は、地震の規模そのものを表す尺度で、頭文字をとってMで表現しています。

地震のマグニチュードにもいろいろあって「実態はマグニチュード」、「モーメントマグニチュード」等があり、マグニチュードは断層破壊の大きの程度を表す尺度でもあります。


マグニチュード.jpg


マグニチュードは地震だけに使われているわけではなく、例えば津波の規模を表すマグニチュードも有りますし、また一等星、二等星など星の等級も「ステラマグニチュード」と呼ばれています。


地震の場合「logE=11.8+1.5M(Eはエルグ、エネルギーの単位。logは常用対数)という関係式がありますが、この式によりますと、マグニチュードが1.0上がるとエネルギーは30倍になる事が分かります。

したがって、M8クラスの巨大地震はM7クラスの地震の30発分のエネルギーを持っていたことになるのです。


1923年の関東地震はM7.9でいわばM8クラスの巨大地震でした、また駿河湾から遠州灘に掛けて起こる?とされている東海地震もM8クラスと言われており、一般的にM7.8以上の地震を「巨大地震」呼びます。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震はM9.0と日本で近代的な地震観測が始まってからは、最大の超巨大地震で、歴史的にも、最大規模の海溝型地震だったと考えられています。



マスコミの報道で、地震とマグニチュードを間違えて伝えられ流言が発生、避難者や自治体が混乱したことが有りましたが、今まであまり理解されていませんでした。

しかし、東日本大震災をきっかけに熊本地震を経験したことで地震とマグニチュードの違いが分かる様になったと言えるでしょう。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
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共通テーマ:学問

津波の仕組みと災害を考える [大規模地震]

海に囲まれている日本列島の沿岸は、昔からたびたび津波被害に見舞われてきた



津波は潮汐を除く気象学的以外の自然現象による波(波動)であって、地震だけではなく、様々な原因によっても発生ししています。

火山噴火、斜面崩壊、そして非常にまれですが隕石落下などによっても津波は起きているのです。


津波は低頻度では有りますが、一旦発生すると多大な被害を、特に多大な人的被害をも起こす災害なのです。

2004年12月のスマトラ島沖巨大地震(M9.2)では、インド洋沿岸で23万人を超え、2011年3月の東北沖太平洋地震(東日本大震災)でも1万9000人以上の人的被害を出す大災害となってしまいました。


海に囲まれている日本列島の沿岸は昔からたびたび津波被害に見舞われてきた一方で、様々な津波対策も実施されており、津波はローマ字で[tsuunami]と書いて国際語になっています。








津波の発生原因

地震によって発生する津波は「地震津波」と呼ばれ、海底下の比較的浅い所(0~60km)を震源として大きな地震が発生すると、断層運動により海底地形が変動し、それが生き写しに海水に伝わり、海面が上下することにより津波が発生すると云う訳です。

水平距離が数10kmから数100kmであるのに対して、鉛直な長さは推進に代表され、数kmで有るので、大変横に長い波、つまり波長に属します。


津波の起こり方.jpg


一方、山体崩壊による津波も歴史上で幾つも知られており、1792年の雲仙眉山の崩壊では、崩落した土砂が有明海に入り、大津波を発生させて約1万5000人の流死者をだしたのです。

最近では2018年12月にアナク・クラカタウ火山噴火での山体崩壊によって津波が発生し460名を超える犠牲者を出しています。


また2018年9月にはインドネシア・パルでの地震に伴う沿岸の海底の地滑りにより津波が発生し、地震で推定される規模以上で到達も早い津波が生じ、多大な被害を出したのです。

山体崩壊.jpg

現在気象庁から津波警報・注意報が発表されるのは、地震津波が対象で、非地震性津波に対する予測は難しく、今後監視体制や基礎研究の充実などが求められています。

日本の太平洋沿岸では、海溝型巨大地震によって、たびたび大津波災害が発生しており、また日本海溝側でも1983年日本海中部地震や、1993年北海道南西沖地震のように、大きな津波災害が発生しています。








津波地震と遠地津波

津波には様々な対応が有りますが、多くの場合、海底で地震が起きて、陸上でも強い揺れを感じ、やがて津波が襲来します。

しかし、地震の揺れは小さいのに、津波だけが襲来することも、このようなタイプの地震を「津波地震」と呼んでいます。


では、このような津波地震はどんな仕組みで起きるのか?・・・・一つの理由は、断層の動きです。

海底下の断層破壊が急激に進めば、陸上で強い地震動を感じますが、しかし、場合によって断層破壊がゆっくりと進行することが有るのです。


断層がヌルヌルと動く為、陸上では地震の強い揺れを感じない、感じづらいのですが、破壊した断層面の面積は断層が早く動いた時と変わらないので、海底地形はゆっくりでは有りますが同じように変動しているため、津波も同じように発生するのです。

地震による津波の10%は地震津波によるものと言われており、このようなタイプの地震は津波予測の泣き所と云えるでしょう。


気象庁は、ゆっくりとした地盤が発する長周期の地震波を素早くとらえて、津波予報に結びつけるための技術開発を進めていますが、まだ万全とは言えないのが現状なのです。







地震を感じなくても大津波が来ることが有る

2004年12月のスマトラ沖巨大地震(M9.2)では大津波がインド洋沿岸諸国を襲い、23万人以上の犠牲者を出しましたが、中でもスリランカ、やインド沿岸では地震を全く感じていないのに津波だけが襲来するという事態になったのです。

このように海のかなたで発せした地震による津波がはるばると海を渡って襲来する物を「遠地津波」と呼び、気象庁では、日本の沿岸から600km以上離れた海域で発生した地震による津波を「遠地津波」と定義しています。


遠地津波は大陸棚の多重反射を繰り返す波や太平洋の海底に連なる山々からの散乱波等により、思わぬ場所・時間に大きな津波になる事が有るのです。

日本では1960年のチリ地震津波が遠地地震の典型例であり、5月23日南米チリ沖で発生した超巨大地震(M9.5)による津波が、22時間余りかけて太平洋を渡り、翌24日に日本の沿岸を襲って、北海道から沖縄にかけて142人の死者をだしたのです。


この時気象庁が津波警報を発令したのが、津波の第一波が襲来してからだったのです。

現在では、ハワイにある太平洋津波警報センターが、環太平洋のどこの海域で発生した地震に対しても、各国の地震観測データを直ちに分析して、津波の規模や進行方向を推定し、太平洋湾岸諸国に対して、速やかに津波情報を伝達する体制が整備されています。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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津波災害から身を守るには [大規模地震]

津波の速さはジェット機並み、出来るだけ高い所に逃げよう



津波の速さって知っている人は少ないですよね、ですが東日本大震災時における津波の様子を見た方は、なぜ地域住民の方々は逃げられないんだろう?、と疑問に思われた方が多いはずです。

多くの方々が津波にのまれ流されていく様子、船や飛行機、自動車までもが津波に流され移動していくさまなど、今でもあの悲惨さが目の裏に焼き付けられ、記憶に強く残っている方も居られると思います。


実は津波は波長に属するため、その伝播する速度はv=√ghという式で表されています。

vは津波の伝播速度、gは重力、hは水深を表し、この式を使って計算すると、水深2000mの海では津波の伝わる速さは時速500kmに達することが分かります。

太平洋の平均水深は約4000mですから、時速700kmと云うジェット機並みの速さで伝播することになる事が分かります。


津波の速さ.jpg


津波の波長は非常に長いので、先端は浅海に来てスピードを落としても、後続部分は依然として深海にあるため、速度が速いことになります。

そのため、伝播するにつれて後ろが前に追いつくようになり、波長が短くなるのですが、一つの波長は一定のエネルギーが保存されているので、波長が短くなることになり波高が増し、破壊力が大きくなるのが津波の特徴なのです。




津波は何度も来る

震源域からの津波はたとえ一つの波であっても、沿岸部での入射・反射・湾内振動等が有るので、何波もの津波が発生すると言われ、沿岸にある時間間隔を置いて、津波が複数回襲来することになります。

その感覚は数十分から遠地津波のように1時間を超えることも有るのですが、重要な事は、第一波より第二波、第三波のほうが高いケースが多いと言う点です。


第一波が去ったからと云って、海岸へ出る事は絶対に禁物で、一旦避難したら避難解除の情報が出るまでは家に戻らないことが重要なのです。







津波は湾奥で高くなる

三陸海岸のようなリアス式海岸では、湾奥で津波が一挙に高くなると云われ、海に向かってV字型に開いている湾は、入り口が広く、奥へ行くほど狭くなるため、津波のエネルギーが湾の奥へ向かって集中し、波高が大きくなるのです。

場合によっては湾口より何に高が数倍になる事さえあり、しかも湾の奥には市街地や集落の発達していることが多いので大きな災害を招く結果となってしまうのです。



津波は川や運河を遡上する

湾岸へ押し寄せた津波は、必ず川を遡上し、時には内陸深くまで侵入します、2003年十勝沖地震の際には、十勝川に入って津波は10.5kmも遡上していますし、2011年の東日本大震災時には北上川を40km以上遡上したのが確認されています。

したがって、海岸だけではなく、低平な河川や運河の下流域まで視野に入れた津波対策が必要なのです。



津波から身を守るには

◎ 海岸で強い自信を感じたら、まずは津波の襲来を予想しましょう、また地震の揺れが弱くても、長い時間ゆっくりと揺れるようなときには、津波地震の可能性が有ります。

直ぐに海岸から離れ、安全な場祖に避難することが大事です。津波の初動は非貴浪だけとは限りません、突然、押し波が現れる場合も有りますので、海面の変化を確認してからでは津波に巻きこまれる危険が有ります。


避難タワー.jpg


◎ 「地震だ。高台へ逃げろ」と云っても背後に高台のない平坦な地域も少なくありません。いまその様な地域に作られているのが津波タワーや避難の丘などが作る事が推進されています。


避難の丘.jpg


前述のような施設がない地域では鉄筋コンクリート造りの建物で、出来るだけ高い階(できれば5階以上)を避難場所として指定しておくことが望ましいと言えるでしょう。

これについては、地方自治体が建物の持ち主と協定を結ぶなどとして、セキュリティーに配慮しながら、津波警報が発表された時には、住民の避難場所として利用できるよう措置を講じておく必要があるでしょう。


津波警報で有れば多くの人は危機感を持って避難行動に結びつくと思いますが、津波注意報の場合はつい甘く見がちになってしまうのです。

仮に50㎝の津波が海水浴場などを襲えば小さな子供はもちろん、大人でも流される可能性が有り、また津波は局所的に異常な流れが生ずるうえ、押し寄せるときの流速も大きいため、大変危険な状態になります。


注意報だからと言って軽視していると、思いがけない被害にあう可能性のある事をよく認識しておきましょう。








南海トラフの事前避難地域、6割が未指定

南海トラフ地震で短時間に大きな津波被害が予想される太平洋沿岸の139市町村の内、6割に自治体が、津波の発生前に住民を避難させる「事前避難対象地域」を指定できていないことが分かりました。

南海トラフでの巨大地震発生確率は今後30年以内に70~80%で、想定される死者・行方不明者数は最大で約23万1000人とされています。


想定震源域の半分でマグニチュード8クラスの地震が起きた場合、残りの半分の震源域でも大地震が発生する恐れがあるのです。

国は二つ目の地震への警戒を呼び掛ける「臨時情報」を出し、すぐに高台や避難施設に逃げられない住民に1週間程度の事前避難を促す計画となっています。


19年度末までに事前避難対象地域が未指定なのは81市町村(58.3%)で、指定を終えたのが31市町村(22.3%)でした。

実質的には指定済みなのですが、新型コロナウイルスの感染拡大で防災会議を開けず未指定となっている所も有るようです。


南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合に気象庁が発表する情報です。

想定震源域の周辺で6.8以上の地震が起きた場合や、揺れを伴わずにプレートの境目がゆっくりとズレ動く「ゆっくり滑り」が、普段と異なる場所や速さで起きた場合などが発表の条件なのです。

このうち、事前避難が求められるのは、想定震源域の半分程度が先行してずれが動いてM8以上の地震が起きた後、さらなる巨大地震の発生に「警戒が必要」とされた場合です。


国のガイドラインでは、次の地震が起きてからでは津波からの避難が間に合わない地域の住民は、1週間、事前に避難することになっています。

一方で、次の地震がいつ起きるかを正確に予測することは困難で、社会全体としては事前に備えつつ通常の社会活動を出来るだけ維持する事が必要だとしています。


地震が起きたら津波が来る!まだ誰も逃げていないからではなく、率先して逃げましょう、たとえオオカミ少年と云われても率先たる避難者になる事が大切なのです。

東日本大震災のあの悲惨さを忘れずに、慌てず素早く高台に逃げる事が出来れば命は助かります、悲しみを残さないためにも皆さんで声を掛け合って協力して避難してもらいたいです。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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火山噴火のメカニズムと被害について [火山噴火]

長野県中部において地震群発、地下の浅い所にマグマがあるから??




2020年4月上旬あたりから、長野県中部を震源とする地震が群発していますが、27日にも松本して震度3の揺れを観測する等しており専門家は「しばらくは揺れに伴う土砂崩れや雪崩に注意が必要だ」と注意喚起を促しています。

長野県中部では今月上旬から地震が相次いで発生、今月23日にはマグニチュード5.5の地震が起きて松本市では震度4の揺れを観測しているのです。


長野県中部を震源とする地震.jpg


今月に入ってから発生した震度1以上の揺れを伴う長野県中部を震源とした地震は、27な日午後5時までに57階の上っており、この地域の地震に詳しい京都大学防災研究所の大見士郎准教授によりますと、「体に感じない揺れを含めると地震は数百回ほど起きている」と言う事です。

また地震活動は上高地の盆地の東の縁にある「徳本峠」付近から始まり、次第に北西方向へ広がっていると言う事です。


大見准教授によりますと、この地域では過去にも群発地震が繰り返し発生していて、最近では一昨年11月に活動があったほか、平成23年度の日が日本大震災の直後や平成10年にも活発な地震活動があったと話しています。

これまでの研究では、この地域は地価の浅い場所まで軟らかいマグマがあり、地震を引き起こす固い岩盤は比較的薄いと見られていて、地震の規模は大きくてもマグニチュード5~5.5だと言う事です。


長野群発地震.jpg


「地震はしばらく続く可能性が有る。新型コロナウイルスの影響で観光客はいないと思うが、震源が浅いためにマグニチュードが小さくても震源から近い場所では強い揺れに襲われる恐れがあり、土砂崩れや雪崩などに注意が必要だ」(大見准教授)


一方、震源の近くにある焼岳では地殻変動などのデータに今のところ異常はなく、大きな噴火につながるような兆候は見られないと言う事です。

ただ、この震源の近くには糸魚川~静岡構造線(フォッサマグナ)と中央構造線がか重なって走っていることが重要視されているのです。









活火山と噴火のメカニズム

活火山とは、今後も噴火活動をする可能性が有る火山の事ですが、個々の火山の寿命をあらかじめ知る事などは不可能なため、これまでの経験に基づいて活火山を定義することになります。

日本では諸外国と同様に「最近1万年間に噴火したことが有るか、現在も活発は噴気活動をしている火山」「活火山」と呼んでいます。


日本の活火山は北方領土や海底火山を含めると111に達し、2011年にそれまでの108火山に2火山が付け加えられ、さらに2017年に1火山が付け加えられました。

全ての火山の噴火履歴がが分かっているわけではない為、今後も調査が進めば活火山の数が増える可能性もああります。


地震と火山の関係.jpg


噴火はマグマが地表に近づく事で起こる訳ですが、マグマは地下の岩石が溶ける事で出来る流体であり、地球の内部のどこかに広大な流域を占めて常に存在しているものではなく、それぞれの火山の下で地球内部の岩石の一部が溶けて、一定の期間だけマグマが存在するのです。

この期間が個々の火山の寿命だと考える事が出来ますが、多くは数万年前から数十万年程度と考えられています。


マグマが作られるのは、地球内部の岩石の温度が融点を超える場合であり、一般的には地球震度の高温の岩石がその浮力のため上昇して比較的浅い場所(数十~100km程度の深さ)に達するときです。

しかし、日本のようにプレートが沈み込む地域ではマグマの生成に水が大きな役割を果たしていると考えられ、沈み込んだプレートが深さ100数十キロメートルに達すると、プレートから水が放出され、この水が列島直下のマントルに供給されるのです。


マントルの岩石の融点は水が加わる事で下がるため、地下50~70kmで岩石が溶け、マグマが作られるのです。

マグマは通常、周囲の岩石より密度が小さく軽いので、地表に向かって上昇を始めますが、途中で周囲の岩石と密度が釣り合い、停滞することが有ります。


このようなマグマがある深さ出ていた位置して作る溜りの事を「マグマ溜まり」と呼び、マグマ溜まりにある程度蓄積したマグマは結晶化が進むなどして再び浮力を得ると、やがて地表に向かって移動して火山噴火を起こすことになるのです。







爆発的噴火と噴煙

噴火によってマグマが地表にもたらされた場合に「マグマ噴火」と呼びますが、マグマが地表に現れない噴火(有名なのは神奈川県箱根の大涌谷など)も有り、火山によっては地下水がマグマの熱やマグマから分離した高温の気体成分などによって熱せられてできた熱水だまりを地下浅部に持つ物も有ります。

通常はわずかに漏れ出した熱水が噴気となって火口周辺から立ち上がることが多く、急激な減圧や加圧によってこの熱水だまりのバランスが崩れると、一気に水蒸気になって爆発し、周囲の岩石を吹き飛ばして噴火を起こすことがあり、これを水蒸気噴火と呼びます。


水蒸気噴火.jpg


マグマの熱によって水が一挙に水蒸気になる際にマグマと周囲の岩石を粉砕して噴火を起こすことが有り、この場合はマグマ水蒸気噴火と呼ばれ、マグマの性質に関係なく爆発的になり、噴出物中にマグマの破片などを含んでいます。


火山噴火には大量の火山灰や岩石辺を上空まで噴き上げるような爆発的なものから、岩石をドロドロと流し続けるもの、ゆっくりと高温で粘性の大きなマグマが上昇して溶岩ドームを形成するものまで様々なのです。

このような噴火の様式の違いは、主にマグマの化学組成の違いに起因するマグマの粘性と、マグマに含まれる水などの揮発成分の量によって決まるそうです。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
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噴火現象と火山灰による災害 [火山噴火]

火山噴火の様式や規模は様々、それに応じて災害の種類や規模が変化する



もし、三宅島や長崎の有珠山のように、または富士山などの活火山が爆発的噴火をした場合、放出される噴出量が多い程、つまり規模が大きくなればなるほど噴煙の高さは高くなる傾向にあります。

大噴火で上空に向かって上昇する噴煙は、周りの大気と密度が釣り合うと上昇を続けられなくなり、水平に広がって傘上の噴煙となります。


このまま火山灰が降下すると、噴火地点を中心にして、中心部が厚く周囲が薄いという同心円状の火山灰の厚さ分布が予想されますが、日本のように北半球の中緯度地域では西風が卓越するために、傘雲から落下する途中で火山灰は東に流されます。

このため、地表に降り積もる火山灰は噴火地点より東側の地域に主に分布することになります。


傘上部分があまり大きくならない噴煙の場合、風の強さは対流圏の最上部付近が最も強くなっているために噴煙は風に流されることになり、このため、このような噴煙から降り積もった火山灰は火口から細い扇形に分布することが多いのです。


火山噴火、空振.jpg


さらに噴煙の高さが低い時には、地表付近の風に流されますが、風向きは季節によって変化するため、長い期間を通してみると火山の周囲に均等に降り積もる事になります。


なお、気象庁では爆発的噴火のうち、空振(くうしん=空気中を伝わる空気振動、圧力波の一種)の大きさが一定程度大きなもののみを「爆発的噴火」とよび、他の爆発的噴火は単に「噴火」と呼んでいます。






噴 火 の 前 兆 とは

マグマは岩石が溶けたもので高温なため、あるまとまった量のマグマが地表に接近すると、地表では何らかの異常現象が観測されるのですが、このような現象は噴火に先立って生じるため、「前兆現象」と呼ばれています。


火山噴火の前兆現象の例

1) 地震の発生

深い場所からマグマが周囲の岩石を壊したり、、押しのけたりしながら地表に向かって序章してくるので地震が発生します。

2) 地殻変動

あるまとまった量の物質が浅い所に移動してくるので、火山帯が押し広げられて、ごくわずかですが膨れる等の地殻変動が生じます。

3) 磁力の低下、地下水の温度上昇

高温のマグマによって周囲の岩石の温度が上昇して、岩石の持つ磁力が低下したり、地下水の温度が上昇したりします。


大涌谷.jpg



普通、何年も前から前兆現象が捉えられることはなく、前兆現象が捉えられる期間も数時間前から数カ月前から等様々で、この理由の一つとしてマグマの粘性が化学組成や温度によって大きく変化するため、と言われています。

マグマの移動速度は粘性に半比例すると云われ、粘性の小さなマグマは移動を始めてから短時間で地表に達するため、前兆が発生してから噴火までの時間がないことが多い理由です。


一方、粘性の大きなマグマはゆっくりと移動するために、前兆現象が発生してもシグナル変化量が小さすぎるので、しばらく観測を続けないと、単なるノイズなのか?、それとも前兆なのか?判断できないことが多い、と言われる原因です。

このため、確実に「前兆を捉えた」と分かるのは、噴火の直前となる事が多いのです。







噴 火 現 象 による災害

火口から放出される噴出物はそのサイズによって、①火山灰(直径2ミリより小さい)、②火山レキ(直径2ミリ~64ミリ)、③火山岩塊(直径64ミリより大きい)に区分されていますが、このような学術的な分類のほかに、日本では主に気象庁発表で「火山灰」「噴石」という区分も用いられています。

最近ではマスコミも頻繁に使用されているので、この区分もすでに市民権を得た防災用語と考えられていますが、この場合の「噴石」は人にあたるとケガをする危険のあるサイズ以上の噴出物を指し、岩石の比重にもよりますが、概ね、こぶし大以上です。


噴石の中でも直径が50センチを超えるようなものは、あまり空気の抵抗を受けずに火口から弾道を描いて飛行します。

このように弾道を描いて飛行する噴石(火山岩塊)の飛行距離は、放出の速度と放出された角度にもよりますが4kmまで届くことが有ります。


サイズの小さい噴石は空気抵抗のため弾道距離は短いのですが、噴煙と共に上空まで運ばれた場合、風に流されて遠くにまで到達することが有ります。

直径が10センチ程度の噴石でも10km以上も風に運ばれて落下することも有るので、噴火の際の風下側では火山灰だけではなく、このような噴石にも注意する必要があるのです。


火山灰が作物に積もると枯死するなどの被害を受けたり、積もった火山灰の重みで電線が切れて停電を引き起こすことも有るのです。

また、大量に屋根に積もると、その重みで屋根がつぶれることが有るなど、特に火山灰が降雨によって水を含むと非常に重たくなるため、注意が必要となります。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
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溶岩流・火砕流・火災サージによる災害とは? [火山噴火]

火山から起こる災害は溶岩ばかりではない!他にもすべてを焼き尽くし物があった。



火山が噴火すると、火口から流出したマグマが火山の斜面を流下していきますがこれを「溶岩流」と呼び、水と同じように低い所に向かって移動していきます。

マグマは通常900℃から1200℃の温度なので、この範囲に山林や住居が有れば焼失し時には集落全体が埋没してしまう事になります。


日本では、1983年に三宅島の噴火で阿古の集落が埋没していますし、海外の例では1973年1月にアイスランドのヘイマエイ島で噴火が発生し、町の大半が溶岩流と噴石で埋め立てられてしまいました。

この時、溶岩流は港に向かって流下し、島の産業を支える漁港が埋没する恐れがあったため、溶岩に大量の海水を注いで、冷却・固化させて溶岩の堤防を作り、後続の溶岩流をこの堤防に阻ませて流路を変え漁港を救ったのです。


溶岩流を阻止するために、ブロックを積み上げて堤防を作る事もありますが、ブロックの密度は溶岩に比べて小さいために溶岩流によって持ち上げられて阻止できません。

イタリアのエトナ火山では溶岩流が頻繁にに流下し、住宅地などを埋積してきましたが、1980年代以降はどう流路を緊急に掘削して溶岩の流路を変更する試みを行い成果を上げています。







火砕流・火災サージによる災害

火砕流は、溶岩片などを含む高温の粉体(溶岩片と火山ガスの混合)が火山の斜面を高速で流れ下る現象を云い、内部温度は数百℃以上に達し、その流下速度は時速100kmを超えることも有ります。


火砕流.jpg


火災サージは、火砕流の先端や周囲に発生する比較的溶岩片の少ない熱風上の物ですが、その温度や速度は火砕流本体とほとんど変わりません。

したがって、火砕流や火災サージの通り道にあたったところではすべての物が焼き払われてしまい、生存者はありえないことになっています。


1990年11月に始まった雲仙普賢岳噴火では、1951年5月末から山頂に現れた溶岩ドームの一部が崩壊して発生する火砕流が頻発し始めました。

同年6月3日には、比較的規模の大きな火砕流・火災サージが発生し、死者・行方不明者43人の大惨事となってしまったのです。


火砕サージ.jpg


水蒸気噴火でも火砕流が発生することが有りますが、この場合は数百℃以下の温度で、樹木を焦がしたり発火させたりすることは有りません。

このような火砕流を低温火砕流と呼び、500℃以上に達する通常の火砕流と区別するときがあります。







山崩壊(山体崩壊)による災害

火山体の崩壊は大量の土砂移動を伴うため、大規模な災害にになる事が多く、火山山体は一般に、火山噴出物などが降り積もって出来たルーズな地形であり、火山活動に伴うガスなどによって変質が進んだ場所も存在しているため崩壊がしやすいと言えるでしょう。

このため、噴火や地震などによって大規模な崩壊が起こり、岩屑雪崩や土石流などが発生し、大きな災害につながる恐れがあります。


日本では1888年7月の磐梯山の水蒸気噴火によって大規模な山体崩壊が有名で、この時に発生した岩屑雪崩が麓の村々を埋没させると同時に、崩壊した土砂が川をせき止め、檜原湖や、秋元湖、五色沼などの幾つもの湖を造ったのです。

近年では、1984年9月の長野県西部地域地震による御嶽山の崩壊が有ります。


海や大きな湖に崩壊土砂が流れ込みますと、津波を発生させ、さらに被害を増大することが有ります。

海域での地震による津波と比べ、火山噴火に伴う津波に対して警報を出すことは困難なため、海域の火山が噴火している時には、海岸付近では細心の注意が必要となります。







土石流(火山泥流、ラハール)による災害

火山噴火で降り積もった火山灰などの細粒の噴出物には、雨水が染み込みにくいため、降水を集めて一挙に大量の流水となって、これが噴出物と共に流れ出して火山泥流(「土石流」と呼ぶことが多い)が発生します。

積雪が噴出物の熱で溶かされて大量の流水が発生し、噴出物と共に流れ出して泥流(土石流)が発生することも有り、これは「融雪型火山泥流」と呼ばれています。


火山泥流.jpg


噴火時の現象を「火山泥流」、噴火終了後の現象を「土石流」と区別することも有りますが、最近では外国での呼び方に倣って噴火時、噴火後を問わず、火山地域で発生する泥流・土石流を全て「ラハール」と呼ぶことも多いそうです。

土石流の速度は時には時速100km程度に達することも有り、火砕流と共に大規模な被害につながりやすいのです。


マグマ水蒸気噴火の際には、特に細粒の火山灰が放出されることが多く、このような場合には降雨の浸透性が悪いために、比較的少量の降雨でも土石流が発生することが有ります。

融雪型火山泥流は中部以北の火山で積雪時に噴火した場合、融雪型火山泥流が発生する可能性が有ります。



火山ガスによる被害

火山活動に伴って放出される火山ガスの大部分は水蒸気ですが、二酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素などの有害ガスも放出されます。

これらの有害ガスは大気よりも重いために、谷筋などに沿って流下したり、窪地に集積して被害をもたらすことが有るのです。


日本では、草津白根山や安達太良山などで、硫化水素による犠牲者が出た例があるほか、2000年の三宅島噴火では8月ごろから二酸化硫黄の噴出が始まり、9月には日量10万トンを超えるほど、大量噴出が数年以上にわたって継続したため、全島避難した住民が帰島出来るまで4年5ヵ月を要したのです。

2015年9月には二酸化硫黄濃度も下がったため、居住区域におけるすべての規制が解除されたのです。


このように排出される有害ガスによって避難を余儀なくされるだけではなく、規制が解除できなければ先祖代々続いた土地に戻れなくなってしまう場合も有るのです。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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