SSブログ

身近で出来る水害対策 [風水害]

災害時の心得として大事なことは、自分も身は自分で守る事



私たちは、過去の水害経験が伝承されなくなったことや、治水事業の進展などによって危機意識の低下、災害への遭遇機会自体の減少などにより、水害に備えている家庭は少なくなってしまいましたが、しかし、水害は現実に全国各地で多発しているのです。

防災上必要な災害時の心得として、自分のみは自分で守る「自助」が基本的な考えであり、平常時からこの考えに基づいて自助の備えを実行するには十分なリスク認識が不可欠と云えるでしょう。


地震と風水害の備え.jpg



住 宅 の 備 え

1) 浸水が想定される区域等を確認する

河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域(浸水想定区域)や浸水した場合に想定される水深、市町村長が作成する洪水ハザードマップを参考にして洪水の危険、想定される水深の深さを確かめる。

2) 地名と地形から危険を知る

古い地名や昔の地図から、その土地を知る事は、水害の危険性を読み取る手掛かりになります。

例えば、なだ(灘)、うし(牛)、さわ(沢)、ふか(深)、りゅう(竜)という文字を含んだ地名は、その土地が水害を経験している可能性が考えられます。

宅地開発などにより地名が変わっている場合も有りますが、地名の図書館などで昔の地名を確認することは可能であり、水害対策のヒントになる事もあります。

3) 家の浸水を予防する

家の床を高くしたり、防水機能のある壁を設置したりすれば、水害が発生しても被害を軽減する事が出来ます。

例えば敷地全体を高くする嵩上げ(盛土)、家の基礎を高くする高床、防水性の塀で家を囲むこと、防水性の外壁を設ける建物防水などが考えられます。

4) 自ら生活を守る

床上浸水しても生活が出来るよう、台所、トイレ、寝室など、生活に欠かせない場所は2階に設置し、屋根に外部への脱出口を設ける事も有効です。

また、浸水が迫ってきたら、濡れると使い物にならない畳などを高い場所に上げる必要があるため、階段の幅を広くし、踊り場を広くしておくと良いでしょう。

5) 家財を保全する

精密電化製品(AV機器など)や貴重品類などの水にぬれると困る物は、日ごろから高い場所に置きましょう。








日 ご ろ  の備 え

① 家族で話し合いを

予め各地の浸水予想区域をチェックし、避難場所を下見しておくほか、避難するときのルール、離れ離れになった時の連絡の取り方などを家族全員で決めておきましょう。

② 雨水排水溝の手入れを怠らない

玄関前やベランダにある外部農水の排水溝はいったん詰まると雨水が流れなくなりどんどん溜まってしまうため、常に手入れを行う必要があり、落ち葉や小枝、土や砂利などを退かして取り除いておきましょう。

③ 非常持ち出し品を用意する

④ 水害体験を参考に

古くから川の近くに住む人の体験談を聞いておくと、対策を立てる上でとても参考になります。

⑤ 地域で高齢者のサポートを

自分の家族や住まいだけではなく地域全体に目を向け、特に一人暮らしの高齢者には地域で気を配り、避難方法などについて対策を立てておきましょう。








豪 雨 時 の 備 え

1) 気象情報に注意する

台風や大雨の時は気象情報をこまめにチェックし、状況に応じて浸水などの具体的な状況を見極め、避難の必要がある場合は速やかに行動しましょう。

2) インターネットを活用する

気象庁や民間の気象情報サービスのホームページでは、天気予報、雨量のほか、注意報や警報などが何時でも確認できます。

また、地域によっては国土交通省や自治体のホームページで、観測所のある河川の雨量や推移をほぼリアルタイムで知る事が出来ます。

日ごろから防災に関するホームページにアクセスしておくことが大切ですし、携帯電話やスマートフォンでブックマークなどしておくと良いでしょう。

気象庁 防災情報

国土交通省 川の防災情報

3) 迅速に非難する

危険が迫った際には自宅を出て避難所に行きましょう、避難は浸水する前が原則で避難勧告や避難指示が出たらためらわずに非難することが大事です。

避難指示(緊急)は避難勧告に比べて自体がより切迫していることを示しており、待ったなしで迅速な対応が必要であり、避難が空振りになれば幸いという意識を持つことが大事なのです。


避難指示.jpg


地下室などでは、外部の状況が分かりずらいため、停電(消灯)によって行動が困難になる場合も、また浸水する恐れもあります。

浸水すると非難が困難であるなどの特徴があるため、特に早目に非難する必要があり、逃げ遅れた場合には周囲の危険に巻き込まれる恐れがありますので、堅牢な建物の上階に避難しましょう。

4) 屋外での危険を避ける

水深が膝下を超えると安全な非難は困難となるため、無理をしないで屋内の高い場所に移動しましょう。

蓋の外れたマンホールや側溝に転落しないように注意し、単独行動は避け、ロープで互いの体を結んだり、棒で足元を確かめたりしながら歩くことが大切です。

5) 運転での危険を避ける

豪雨時は、自動車のブレーキが効きにくくなったり、濁流に流されたりする危険があるため、少しでも高台に移動して停車し、水かさが増してきたときには、車を放置しましょう。

なお、緊急車両の妨げにならないよう注射し、キーを付けたままにします。

高架道路や鉄道などの下に設けられているアンダーパスは浸水している危険性が極めて高いので出来るだけ回避しましょう。


風水害から身を守るには、状況を把握する、避難する、声を変える事が重要だと言う事を忘れないでください。

自助、共助、公助と云う観点から例えば、洪水ハザードマップの作成と周知、理解と活用という形で、各主体が水害による被害を少なくするよう努力する必要があるでしょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

日本列島で土砂災害の多い原因は? [土砂災害]

地震と多雨国の日本列島は、土砂災害が常時発生するリスクを背負っている




私たちが住んでいる日本列島は国土の約7割が産地で、しかも地質はぜい弱なうえ、多くの断層・構造線が走っており、その中には活断層も有るのです。

これから迎える季節には、梅雨前線や台風などの豪雨も有るなど、毎年平均降水量は世界平均の973mmに比べて日本は2倍の1874mm(2019年度平均)と世界で4番目の多雨国なのです。


年降水量.jpg



気象庁の統計によりますと、2019年の年降水量は沖縄で27%、奄美で23%、関東甲信で18%、九州南部(本土)で14%、東保保区の太平洋側と東海で10%、それぞれ平均より多かったのです。

東京・三宅島は平均より40%多い4124ミリ、千葉県館山市は41%多い2528ミリで、過去最高記録をこうしています。


活火山は111を数え、世界2位位であり、マグニチュード8.0以上の大地震も世界の約2割が日本で発生しているのです。


地震発生件数.jpg


このような自然環境に加え、多くの人口を擁する日本は、土砂災害が常時発生するリスクと宿命を背負っており、土砂災害対策は日本の防災対策上きわめて重要な位置を占めているのです。


土砂災害は、水害のように上流からの水かさが増して徐々に水位が上がるのとは異なり、危険を知らせる兆候もなく突然起こります。

洪水のように堤防が決壊して其処から広がっていくのとは違い、あちこちで土砂が崩れると云う「点」で発生し、そのほとんどが今まで土砂災害の起きていない所で発生しているのです。


近年は毎年平均して1000件を超える箇所で土砂災害が発生していて、そして、自然災害による死者行方不明者のうち土砂災害によるものが半数以上を占めています。







各地で発生した土砂災害

土砂災害の中でもがけ崩れ災害が最も多く、台風が10個も日本に上陸した2004年(平成16年)には新潟県中越地震(10月23日17時56分発生)の発生も有って、土砂災害発生件数は2537件を数えました。


土砂災害発生件数.jpg


2008年は岩手・宮城内陸地震、2009年は山口県、2010年は鹿児島県や広島県、2011年は東日本大震災や台風12号による奈良県・和歌山県の深層崩壊、2012年は九州北部、2013年は東京都大島町で死者・行方不明者39人、2014年は広島市で死者77人(災害関連死含む)、2016年は熊本地震で死者15人、2017年は九州北部豪雨災害で死者20人を出すなど、各地で大きな被害を出しているのです。

2018年には「平成30年7月豪雨(西日本豪雨災害)」北海道胆振東部地震などの発生によって死者161人、土砂災害発生件数は3459件で集計を開始した昭和57年以降最多件数を記録し、集計開始以降における平均発生件数(1015件)の約3.4倍に、過去最高の発生件数となりました。


土砂崩壊.jpg


胆振東部地震では震度7を観測した厚真町においては、大規模な山腹崩壊が多数発生しています。



土砂災害の特徴とは

典型的な土砂災害として、土石流、地滑り、がけ崩れなどがあります。

土石流は、土砂が通常水で運搬される量よりも以上に多く流出し、土砂と水が一体となった連続体の流れです。


岩塊、大礫、流木などを伴うものが多く、巨礫が先頭位に集中し回転するように盛り上がりながら流下してきます。


崖崩れと土石流の違い.jpg


崖崩れと地滑りは斜面崩壊という面では共通していますが、上記のように違いがります。







土砂災害の前兆現象

1)土石流の前兆現象の例

◎ 普段聞きなれない大きな音や異様な音が聞こえる(山鳴り、石のぶつかる音等)。

◎ 何とも言えない、土や木の葉が腐ったような異様なにおいがする。

◎ 急に川の流れが濁り、流木が混ざってくる。

◎ 雨が降り続いているのに川の水位が下がる。

◎ 火花が見える。土煙。山が動く。樹木がざわざわ動く。


2)がけ崩れの前兆現象の例

◎ 斜面に割れ目が見える。

◎ 斜面から水が湧き出るようになる。

◎ 湧き出ていた水が濁りだす。

◎ 斜面から小石がバラバラ落ちてくる。

◎ 斜面にある樹木の根が切れるなどの音がする。


3)地滑りの前兆現象の例

◎ 斜面に割れ目が見える。

◎ 斜面から水が湧き出るようになる。

◎ 沢や井戸の水が濁る。

◎ 家屋などの構造物に亀裂が入ったり、樹木や電柱などが傾く。

◎ 土煙。山が動く。樹木がざわざわ動く。


等がありますが一概にすべてが当てはまる訳ではなく、地域の言い伝えなども参考にして異変を感じたら早目に避難しましょう。


DMM英会話|世界とつながるオンライン英会話




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

土砂災害対策における課題とは? [土砂災害]

近年の土砂災害から、取り組まなければならない新たな課題が!



近年、地震や台風など数十年に一度の降雨量による大規模な風水害によって、様々な課題が浮き彫りになってきたのです。

人手不足や後継者不足による山林の手入れが出来ない事や麓の開発、山における吸水力を上回る大雨によって斜面崩壊が各地でを発生しているのです。


1)風水害における深層崩壊

深層崩壊は、山崩れや崖崩れなどの斜面崩壊の一つですが、すべり面が表層崩壊よりも深部で発生し、表土層だけではなく深層の地盤まで崩壊土塊となる大規模な崩壊現象を呼びます。

台湾などでは村全体が深層崩壊によって消失してしまった事も有るなど、また2014年8月に広島県広島市阿佐南区を襲った大規模な崩壊も深層崩壊が原因であると言われています。


国土交通省では、第四期隆起量と地質との関係を整理分析して、統一的な指標で深層崩壊を調査し、深層崩壊頻度マップを作成しています。

今後、特に危険度の高い地域で詳細調査を終え、随時その他の地域を調査すると共に、ハード及びソフト面での対策を推進していく予定になっています。







2)河川閉塞(天然ダム)

豪雨時や地震発生時には、地滑りや大規模な崩壊によって河道が閉塞され、上流側に流水が貯留され湖水が形成され天然ダムとなることが有ります。

過去に新潟中越地震や2008年の岩手・宮城内陸地震、そして2011年には台風12号により奈良・和歌山両県の17ヵ所で河道閉塞が発生したため、現在も対策が続けられています。


天然ダム.jpg


河道閉塞(天然ダム)は形成されてからそのまま残ることも有りますが、決壊することも有ります。

その原因は
① 背後の湖水の水圧に天然ダムが耐え切れない場合。
② 天然ダムの構成材料が浸透性に富み、パイピング現象(地中にパイプ状の水の通り道が出来、地盤が破壊される現象)が発生した場合。
③ 背後の湖水が満杯となり天然ダムを越流して堤体を侵食した場合。

最も多いのが③のケースです。


天然ダムの形成を予知する事は出来ませんが、結果以後の二次災害を防止するための避難や近年の土砂災害から、取り組まなければならない新たな課題が!



近年、地震や台風など数十年に一度の降雨量による大規模な風水害によって、様々な課題が浮き彫りになってきたのです。

人手不足や後継者不足による山林の手入れが出来ない事や麓の開発、山における吸水力を上回る大雨によって斜面崩壊が各地でを発生しているのです。


1)風水害における深層崩壊

深層崩壊は、山崩れや崖崩れなどの斜面崩壊の一つですが、すべり面が表層崩壊よりも深部で発生し、表土層だけではなく深層の地盤まで崩壊土塊となる大規模な崩壊現象を呼びます。

台湾などでは村全体が深層崩壊によって消失してしまった事も有るなど、また2014年8月に広島県広島市阿佐南区を襲った大規模な崩壊も深層崩壊が原因であると言われています。


国土交通省では、第四期隆起量と地質との関係を整理分析して、統一的な指標で深層崩壊を調査し、深層崩壊頻度マップを作成しています。

今後、特に危険度の高い地域で詳細調査を終え、随時その他の地域を調査すると共に、ハード及びソフト面での対策を推進していく予定になっています。








2)河川閉塞(天然ダム)

豪雨時や地震発生時には、地滑りや大規模な崩壊によって河道が閉塞され、上流側に流水が貯留され湖水が形成され天然ダムとなることが有ります。

過去に新潟中越地震や2008年の岩手・宮城内陸地震、そして2011年には台風12号により奈良・和歌山両県の17ヵ所で河道閉塞が発生したため、現在も対策が続けられています。


河道閉塞(天然ダム)は形成されてからそのまま残ることも有りますが、決壊することも有ります。

その原因は
① 背後の湖水の水圧に天然ダムが耐え切れない場合。
② 天然ダムの構成材料が浸透性に富み、パイピング現象(地中にパイプ状の水の通り道が出来、地盤が破壊される現象)が発生した場合。
③ 背後の湖水が満杯となり天然ダムを越流して堤体を侵食した場合。

最も多いのが③のケースです。


天然ダム決壊.jpg


天然ダムの形成を予知する事は出来ませんが、しかし、決壊後の二次災害を防止するための避難や緊急措置対策は可能です。 

普段、流水がある河川や渓流で流水が急にみられる無くなるのは、上流で河道閉塞によって天然ダムが形成された為で、決壊による二次災害が懸念されますので、大至急、関係者に伝えましょう。



土砂災害危険個所とは

国土交通省では、土石流の発生が予想される渓流を「土石流危険渓流」、地滑りについては「地滑り危険個所」、がけ崩れは「急傾斜地崩壊危険個所」として調査を行っていますが、その総数は全国で約52万か所に上っています。

そして、保全対象人家5戸以上を有し、砂防堰提や地滑り防止工事など公共工事を実施する対象箇所に限っても、約21万か所を数えていますが、その整備率は2割強という低い水準なのです。


これらのデータについては、都道府県(土木砂防担当部局)にと云わせれば詳細を知ることが出来るほか、地方自治体のホームページでも公開されていますので参照してください。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

土砂災害対策とは [土砂災害]

土砂災害から人命を保護すための対策としてハード対策と、ソフト対策が上げられる。



土砂災害対策に上げられるのは砂防堰提などの構造物によるハード対策や、雨量などを指標とした警戒避難対策、土砂災害に対する啓発活動などを主とするソフト対策などが上げられます。


土石流対策

土石流の発生過程として次の3つが上がられます。

① 山腹崩壊土砂がそのまま土石流になる。

② 山腹崩壊土砂が係留をせき止めて天然ダムを形成し、それが決壊して土石流となる。

③ 渓流に堆積している土砂が流水で強く侵食され土石流になる。

等が上げられるため、対策として1)土石流の発生源を抑える山腹工や砂防堰提の整備、2)土石流の流れを細くする砂防堰提の整備、3)土石流を安全に流す渓流保全工(流路工)の整備が主な対策となります。


スリット式砂防堰提.jpg


最近の工法として、環境を考えて渓流の上下流を阻害しないスリット式の砂防堰提も多く施行されていると言う事です。

同時に山地の後輩による土石流と共に流下する流木も大きな問題となっており、土石流と合わせて砂防堰提などで対応しています。


地滑り対策

自然的な要因で発生する地滑りの誘因は、、豪雨や長雨、融雪などによる地下水の供給増加が原因と考え有れています。

なので、雨水や地表水が地滑り地に入らないようにすることや、地滑り内の地下水位の上昇を抑え低下させることが需要と云えるでしょう。


地下水排除工.jpg


対策としては表面排水路工やボーリングによる地下水排除工等が上げられ、また地滑り土壌の切土や盛土を行い地滑りの安定を図る事も考えられます。

こうした地滑り地の地形や地下水等の自然条件を変化させることで、地滑りを止めようとする工法を抑制工法と呼び、杭やアンカーなどの構造物で直接地滑りを止める工法を抑止工と呼びます。





急がれるソフト対策

多くの土砂差異が危険個所が有るのに対して、公共事業の実施状況の整備率は低いと云われ、さらに公共事業予算の大幅な減少によって整備の遅れにさらに拍車をかけていると言われています。

毎年1000件以上の土砂災害が発生し、国民の生命・財産が脅かされている状況には変わりはないのです。


土砂災害対策として、前述などによるハード対策によるのが最善であることは今までの事業効果を見れば歴然なのですが、しかし、ハード対策による整備には限界がある現状で、住民の命を土砂災害から守るにはどうするべきであるか?基本は「自分の命は自分で守る」事と言えるでしょう。


ソフト対策には、

1)「どこが危ないのか」を知る事から始まり、国は土砂災害危険個所調査を行い、箇所が特定できると、地方公共団体は地域防災計画に組み込むことになっています。

また、ハザードマップなどの作成や配布により知らせる自治体も有ります。


2)「いつ危ないのか」、地震や火山活動に伴う土砂災害は、その誘因が地震・火山であって「いつ」を特定する事は非常に困難ですが、しかし、殆どの土砂災害は、長期間に降った斜面や渓流に、短期間の強度の大きい雨量が集中することで発生する場合が多いのです。

そこで、土砂災害が発生した時の雨量と、強い雨量が降ったにもかかわらず土砂災害が発生しなかったときの雨量に関するデータを収集・解析し、発生ゾーンと非発生ゾーンの領域を特定することで、土砂災害警戒避難基準雨量を決めているのです。






行政情報と、住民の避難行動

土砂災害警戒避難基準雨量などのシステムにより各都道府県の砂防担当部局と気象庁によって、市町村ごとに土砂災害警戒情報が発令されています。

土砂災害の前兆現象を把握することは避難の目安となりますが、ただ、土砂災害には必ず前兆現象が起きるとは限らず、むしろ起きる事が稀であることを認識しなければなりせん。


避難行動の目安.jpg


市町村は地方公共団体として、住民の生命身体及び財産を災害から保護するために、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、実施する責務が生じます。

そして市町村長は、災害が発生すする恐れがある場合等において特に必要と認める地域の居住者等に対し、避難勧告等を発令する権限が付与されています。


もし避難勧告等が発令されたとしても、「立ち退きをしない事により被害を受けるのは本人自身である」ことなどの理由により、この避難勧告等には強制力は伴っていません。

これは一人一人の命を守る責任は行政にあるのではなく、最終的には個人であるという考え方にあるからなのです。


したがって、行政の責務は、住民一人一人が避難行動を劣る判断が出来る知識と情報を提供する事であって、住民はこれらの情報を参考に自らの判断で避難行動をとる事なのです。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

火災とは?燃焼についての基礎知識 [防災士]

防災センター勤務者など一般的知識として知ってもらいたい「火災の発生と防火の原則」



小学生や学生時の理科や化学で教わったことが有る「物はなぜ燃えるのか」、「爆発とは」等を思い出してもらいましょう。

火災は消火の必要がある燃焼、もしくは爆発現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のある者の利用を必要とするものを言います。


燃焼の三要素.jpg



燃えると云う現象は一般に敵に発火して炎が出る状態を指していますが、炎が出ない状態が長く続く場合も有り、これを燻煙燃焼(くんしょう・燻ぶり)と呼びます。

物が燃焼する現象とは、物が酸化反応を起こし、その結果、発熱と発光を伴う現象で、燃焼が起こるためには、① 可燃性物質(可燃性の気体・液体・個体)、② 酸素(空気など)、③ 熱エネルギー(燃焼のきっかけとなる点火源)が必要であり、これらを燃焼の三要素と云います。

燃焼するには、このうちの一つでも欠ければ燃焼は起こりませんし、その継続も不可能です。


熱エネルギーは、発火源又は発熱源としてそれ自身又は周囲の可燃物を燃やすために必要であり、高温個体(炭・タバコ・線香など)、電熱体(ニクロム線など)発炎体(ライター・蝋燭など)から発生します。

これらのうち、タバコはコンロや放火(疑いも含む)と共に主要な発火源となっており、加えて電熱体を原因とする電気火災が増加しています。


*注)燃焼を継続させるためには連鎖反応(連続した酸化反応)が必要で、この連鎖反応を含めて燃焼の四要素と云われることも有ります。







多様な可燃物を見る

着火源となる可燃物は、気体(水素・プロパンガス・天然ガスなど)、液体(アルコール・ガソリン・灯油など)、個体(薪(材木)・カーテン・化成品など)に分けらます。

気体は酸素と容易に混合し燃焼するため手ごろな燃料なのですが、火災になる危険性も高く、共同住宅ではプロパンガス(LPガス:空気より重く床に溜まる。都市ガスはメタンガスが主成分であるため空気より軽い)がよく使われていた頃は爆発燃焼で甚大な被害が発生しています。


個体は木製品やプラスチック(石油化学製品)類などが一般的ですが、プラスチックは近代生活の象徴的存在で数多くの製品が住宅内に溢れています。

特に最近は、省エネのため発泡プラスチック断熱材を住宅の壁に吹き込んだり、これをコアとした金属パネルを周壁に張る工法が活用されるようになりましたが、プラスチックは木材に比べて煙の発生量が多く発熱量も大きいため、難燃化を推進し接合部の防火シールを入り徹底する必要があります。

液体は灯油がポピュラーな燃料であり、石油ストーブに使われていますが、FF(屋外からの吸排気を送風機で強制的に行うタイプ)でない場合は部屋の喚起に注意しなければなりません。

ガソリンは引火点ガー40℃以下で有りきわめて着火しやすいうえに誰もが持ち運びできるため、放火などに使われないようさらに厳しい管理が必要です。

*注)京都アニメーション火災ではガソリンが使用され、1階エントランスフロアーにガソリンが撒かれた為、気化したガソリンが3階までの吹き抜け構造の社屋全体に広がり、犯人によりライターで着火された為に爆発燃焼が起こり、69人が死傷(36人が死亡)した大規模火災になってしまいました。

京都アニメーション火災.jpg


これらの可燃物の他に花火や爆薬などのような爆発させることを目的とした製品も有り、危険物としての厳重な規制管理がさせられています。






防火の原則とは

火災予防として大事なことは、生活に不可欠な火(熱エネルギー)の始末に努める事が、火災から命と財産を守る最も適切で安価な方法と云えるでしょう。

建物や装置が大規模・多様化す麗奈するほど防火対策「火の用心」はますます重要になっているのです。


熱エネルギー源は多様化し、出火防止は容易ではなく、出火を感知するいろいろな設備機器が開発されています。

家屋においては火災報知機の設置が2011年(平成23年)6月から、全ての戸建て住宅やアパートマンションなどに火災報知機等の設置が義務付けられました。


火災報知機設置場所.jpg


既存住宅は、市町村条例で取付完了の時期が決めらていますし、取付場所や維持の仕方については、国の定める基準に従い、市町村の火災予防条例で定められています。

既に自動火災報知設備やスプリンクラー設備等が設置されている場合は、その有効部分には火災警報器の取り付けが免除されます。


住宅火災では逃げ遅れによる死者が70%を占め、死者数の約65%が高齢者であることなどを考慮した対策なのです。

最近では、火災室以外の部屋でも鳴動する連動型の住警器や、目や耳の不自由な人に対しては振動や光を発する感知器も用意されるようになりました。






防災センターや管理事務室での火災検知

人が出火を認知することが最も確実では有るのですが、常時監視を怠らないためには機器類に頼らざるえません。

自動火災報知設備(自火報)は特に大規模防火対象物(特殊建築物)で威力を発揮し、感知部には、煙・熱・炎用などのセンサーが付いています。


防災センター.jpg


感知した信号は中継器を得て防災センターや管理事務室などに設置された受信機に伝えられ、火災と断定された場合は必要な区域に非常ベルや非常放送により報知されることになっています。

調理場・台所などでは湯気や煙が多量に発生することから熱や煙感知器、加えてガス漏れの危険性も有る場合はCO(一酸化炭素)などのガス検知器が設置されていることが多いです。

しかし、煙感知器を設置すると非火災(火災以外の原因による感知信号の報知)に悩まされという意見も聞かれますが、火災に対する注意喚起を促すことで防災の意識を高める事が出来ます


筆者も防災センターに勤務していますが、自火報による誤報は多いですね、その度に防災センターに勤務しているものはITV(監視カメラ)等で確認しながら近くの警備員や設備員に無線にて連絡をし、現地確認をさせると共に緊急体制を整えます。

テナントも入っていますので、換気扇が回って居ない時に湯気で発報することも有りますし、また顧客が寄り掛かった時に排煙口のボタンを押されるなどの誤報は有りますが、その度に必ず現地確認をしています。


現地確認までのおよその時間は90秒以内に、そして到着後状況を確認し第一報を報告すると云うのが防災センター要員の責務であり(勤務先によって違いはあります)、真火災で有った場合は初期消火、怪我人救出・避難誘導へと自衛消防隊と共に行わなければなりません。


高齢者などの逃げ遅れ被害を無くすためには、住宅用火災報知機は必需品と云えるでしょう。

また電池切れをしたときには、感知器自体を交換することが大事です。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより





スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 

ビル火災と住宅火災における消火と防災 [ビル火災]

炎が天井に達しないうちに消してしまえば、命を守り、財産の損害をわずかに留める事が出来る。


自衛消防の知識として、自分の命を守ること、そして炎が小さいうちに消すこと、炎が自分の背丈以上になったら撤退する事です。

防火区画の多い大規模ビルでも火源から周囲に着火する前に消すことが理想なのですが、なるべくは一つの区画内で消し止める事が大切なのです。


初期消火とは

火の用心と共に火災から命と財産守る基本的な要件であり、火を消すには次の方法が上げられます。

① 水をかけて冷やす。

② 酸素を遮断する。

③ 可燃物を除去する。

④ 火を吹き消す。

⑤ 燃焼反応を抑える。

等があります。

初期消火としてあげられるものに消火器が有りますが、消火器の中に入っている消火剤には、粉末系、水、泡系、ガス系に分けられ、消す対象によって種類が異なります。


紙、木、繊維などの固形物の火災「A火災」、油やガソリンなどの液体の火災「B火災」、電気設備の火災「C火災」、とそれぞれ適応するものがあり、一般的にはどのタイプにも適用できるABC加圧式粉末消火器が普及しています。


ABC消火器.jpg


他にも消火用として、屋内・外消火栓、台車付き大型消化器、ポータブル消化器、簡易消火用具、バケツ、水入りプラスチックバッグ、水入りガラス玉、薬剤入りチューリップ型消火具、投てき用消火具などがあります。

私たちが小さな火のうちに消すためには、消防関係者ばかりではなく誰もが訓練を積んで対応する必要があるのです。






防火管理対策として

消防法第8条によれば、人々が多く出入りし、勤務し、居住する防火対象物の管理権原者は防火管理者を定め消防計画を作成させ消火・通報・避難・応急手当などの訓練、消防設備の点検などの業務を行わせなければならないと規定されています。

これらの事は、住宅などの小規模建物にも当てはまり、防火管理は各種対策の要と云えるでしょう。


なお、雑居ビルなど複数の管理権原に分かれている建築物については、統括防火管理者を置かなければならないと定められています。

1) 火元管理:担当者以外でも身の回りの火の気に注意し、火の用心に努める事が大切。

2) 火災通報:火災を発見した時には、直ちに最寄りの消防署及び、防災センターなどに通報し在館者の避難や自衛消防活動が迅速に行えるよう努めなければなりません。

3) 初期消火:樋が小さいうちに慶止める事は、火害低減のカギであり、担当者だけではなく、誰もが初期消火能力を有するよう訓練しておく必要がある。

4) 避難誘導:場合によっては脱出と云っても良い程一刻も猶予が無く逃げださなければならない時も有るので、避難の開始や方向について的確な指示が出来るよう建物などの特性に応じた訓練をしておく必要がある。

5) 延焼防止:初期消火に失敗しても出荷室内に火災を抑え、フラッシュオーバー(爆発的炎症)を起こさないように努める必要があります。
フラッシュオーバーが起こると激しい火炎が出火室から噴出し、建物全体の危険性が急速に高まります。

6)救急救護:避難困難者、熱傷やガス中毒による被害者を救出したり、応急手当てが出来る係を要請し、消防機関と共に活動できるようにしておく必要があります。
地震火災などでは、怪我人をトリアージする場所を決めておきましょう。


トリアージ.jpg


東京都内の防災センターでは、防災センター要員講習修了証自衛消防技術認定証上級救命講習修了証の有資格が求められています。


*注)フラッシュオーバー:火災室内の温度が急上昇し、室内の可燃物が一斉に燃え出し、窓などの開口部から突然大量に熱や煙が噴出する現象。





防火対策の主なもの

建物(ビル・工場など)の内、住宅(共同住宅、一般住宅)の防火対策は最も重要であり、さらに地震に伴って発生する火災対策も二次災害防止の観点から欠かせないものとなっています。

1) ビル・工場の防火対策

ビルの大規模複合・高層・深層化に応じ、近代消防防災設備を備え、防災センターの機能を十二分に活用した人的・物的活動を図ること、中小雑居ビルでは防火管理を徹底すること、高齢者施設では簡易自動消火設備や訓練された夜間従業員の充足に努める事が大切です。

2) 住宅の防火対策

住宅では小火でも煙・有毒ガスの発生で死亡者が出る危険性が高く、早期の火災感知・避難が図れるようにすることが大切です。

住宅用火災報知機の設置率100%を達成することや、インテリア材・寝具・衣料などの防炎化を図る事も重要と言えるでしょう。

3) 地震火災対策

対策本部が俯瞰的視点で火災情報を把握し、公助・共助・自助の意義を勘案して迅速・的確・性格に指示を与える事が重要です。

緊急とはいえ、日常機能を備えた避難場所を構築・提供することも高齢者などにやさしい施策なのです。

さらにトリアージ場所を明示し、被災地域住民・民間支援者・医療消防関係者が人的に深いコミュニケーションを持って、人命救助に当たりましょう。

また、津波による火災対策も検討する必要があるでしょう。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:住宅

火災状況の実際 [火災時の対応]

布団の中にタバコが落ち、数時間かけて出火する場合も有る。




前述のブログでは大まかに火災の現実について記述してきましたが、今回はその過程について述べていきたいと思っています。

初期火災期

出火直後の火災状況は、室内に空気が十分にあるために、着火した可燃物の種類や配置によって燃え方が決まります。

寝たばこをしてそのまま布団の上にタバコが落ちて、数時間たってから出火することも有りますし、カーテンのように吊るされている物ですと、天井まで急激に炎が立上がり燃え出すものもあります。


一般的には、ほのおが立ち上がって近くに燃えやすい物がある場合、火源の発熱速度は、時間の二乗に比例した火災成長となります。

火源から立ち上がる高温の煙層が天井に蓄積されると共に、炎によりその温度が上がり部屋全体の温度を上げていくのです。


フラッシュオーバー.jpg

この高温の煙層から火源に放射熱で再加熱されることにより、急速に室内全体へ延焼拡大が進み、その過程でフラッシュオーバーと呼ばれる急速な燃焼が生じることが有るのです。

なお、初期火災において、窓が占められていたりすると、空気の供給がないため、燃焼が緩慢になるのですが、この時期には、不完全燃焼を起こした多量の可燃性ガスが室内に充満していることから不用意に開口部を開けると、急激な空気の流入でバックドラフトと呼ばれる爆発的な燃焼を起こすことになってしまうのです。






火災最盛期

フラッシュオーバーやバックドラフト現象等によって燃焼は急激に拡大した後、室内の温度は約1000~1200℃に達し、室内全体が炎に包まれるようになって、開口部からは黒煙や炎を噴出するようになります。

その後、内部の燃焼温度は800~1000度の高温が長時間持続するのですが、この時の燃焼は、換気支配型燃焼と云って、窓や扉から流入する空気の量によって決まるのです。


火災によるコンクリートの爆裂.jpg


建物の中の可燃物が多くても、開口部が小さいと激しい火炎になる事はなく、その場合は、火災が長く継続することになるのです。

火災が長時間に渡ると、天井の上塗り、プラスターボード等が音を立てて弾け落ちるようになり、場合によっては天井のコンクリートが大きな音を立てて落下し、鉄筋や鉄骨が露出する特異な破壊、(コンクリートの爆裂)現象を起こすことが有ります。







減衰期

建物内の可燃物を燃やし尽くすと、やがて火の勢いは衰え、煙は白色にそして次第に薄くなりこの時室内温度はまだ高温ですが、徐々に低下していきます。

ビル火災は、出火から沈下までの時間が長いのが特徴で、継続時間や最高温度は建築物の規模、構造に影響されます。


火勢は急激に変化する

火勢が一気に拡大する現象としてフラッシュオーバーとバックドラフトと呼ばれる現象がありますが、いずれも火災時に急激な燃焼を伴う現象で、これに巻き込まれると非常に危険です。

一般の火災で厳密にフラッシュオーバー現象とバックドラフト現象を区別することは困難で、両者が時を同じくして発生する場合も有ります。


*注)フラッシュオーバーは文字通り、室内の局所的な火災が数秒あるいは十数秒のごく短い時間に部屋全体に拡大する現象の総称で、物理的に明確な定義は有りません。
現象として、窓からの炎の噴出やその後、短時間における空気不足による黒鉛の大量噴出が特徴です。


バックドラフト現象.jpg


バックドラフトは、空気不足による一酸化炭素等の可燃性ガスが発生するとともに、燃焼による室内温度の蓄積された状況の下、扉など・開口部の開放によって急激に空気の供給が行われることにより爆発的な燃焼が起こる現象とされています。
つまり、燃焼している部屋から外部に吹き返してくる強い気流(ドラフト)がこの現象を特徴づけています。







消火の方法

消火とは一般的に「燃焼の三要素」の全部または一部を取り除くことによって燃焼の継続を絶つことを言います。

冷却消火法

燃焼している可燃物を発火点以下の温度に冷却して消火する方法で、主に水系液体消火剤を用いて行う方法を言います。
消火剤として一般的に簡単に利用する事が出来毒性がなく、気化熱と比熱の大きい水が代表的な消火剤です。

窒息消火法

燃焼に必要な酸素の供給を遮断して消火する方法で、不燃性気体、不燃性泡又は不活性個体を使用する消火方法です。
土砂、布団、毛布等で燃焼を覆ったり、霧状の水膜で空気と遮断する方法も窒息消火の応用と云えるでしょう。

除去消火法

可燃物を除去し燃焼を中断させる方法です。
ガスや油の元栓を止めて燃料の供給を絶つとか、大火災の場合には一定の範囲にある建物や立ち帰島の可燃物を排除して延焼阻止線を作り、燃焼を止める方法です。

希釈消火法

可燃性ガスの濃度や可燃物の組成を燃焼限界がいに薄めて消火する方法です。
アルコール、アセトンなどん模様に水溶性液体に水を注いで薄め、蒸発する可燃性上記の発生を減少させ、燃焼か限界以下にする「液体による希釈消火法」と窒息消火同様に不燃性気体を燃焼している中に注ぎ込み、空気中の酸素濃度を低下させて消火する「気体による希釈消火法」があります。


他にも可燃物の分子が連鎖的に分子を活性化させて酸化反応(燃焼)を起こしている所に酸化反応に直接関係ないハロゲン化物等を加えて連鎖反応を抑制する不触媒消火法も有ります。

水による冷却消火には、窒息効果や希釈効果も働き、空気泡や二酸化た酸素による窒息消火にも冷却効果が働くなど複数の効果が重なり合って相乗的に作用している、と云えるでしょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

災害情報の入手と活用 [防災士]

災害情報とは、災害が発生した場合の緊急災害情報だけでなく、防災と災害に関するすべての情報を言う。



梅雨を迎え、高気圧に覆われる此れからの季節、猛暑と局地的大雨等に気を付けると共に、気象災害が増える事に注意するとともに十分な対策をしていく必要があります。


私たちは災害情報として平時から、防災社会を作るための備えとして、住民が災害から被害を免れるために必要な情報、災害教訓の伝承などの防災・減災のための備えの情報に耳を傾けなければなりません。

また災害時に、避難・救助・救援から復興まで時々刻々と変化する情報をもとに、生活および経済復興へと進んでいくことになります。


つまり、災害情報とは平時においては注意や警報、あるいは地方自治体の長から出される避難勧告などのように、災害が起きる前に提供される情報の理解や過去の災害についての教訓や言い伝え、あるいはそうした知識や経験をもとにした防災の知恵や備えなどを言います。

災害時には被害を免れたり、二次災害を回避するために役立つ情報であり、例えば災害が起きた時に、どこへ避難すればよいのか、水や食料はどこに行けば手に入るのか、行政はどんな支援をしてくれるのか、またその支援を受けるにはどうすればよいのか、さらに電気・ガス・水道・交通機関などのいわゆるインフラの復旧状況や復旧見通し、行方や安否情報などと云った情報なのです。


大きな災害では被害の大きな地域ほど被害情報が周囲に伝わりにくくなり、マスコミなどを通じて最初に流れる被害情報は、比較的軽微な情報が中心になります。

そしてこれが「被害状況は軽微な者」だと判断を謝る一因となてっしまう事に、また「情報がない」という情報も、時には被害が大きいことを示す大事な情報なのだと言う事を忘れてはいけません。






被災者にとって必要な情報とは

被災者にとって必要な情報は、災害発生からの時間共に変化し、災害の発生直後から3時間くらいは、いったい何が起きたのか、どの程度の災害なのか、自分たちのいる所はどういう位置づけなのか、という被害状況の把握が最大の関心ごとなのです。

誰だってそうですよね、いざ避難したけれど、今何が起こっているのは、自分の家は、家族は会社は・・・等々、不安は数えたらきりが有りませんがそんなときに情報の共有、確かな情報なのです。


過去にもメディアによって、現実とはかけ離れた刻まれた情報で多くの住民が振り回され、どの情報が正しいのか疑心暗鬼になってしまったことが有りました。

一部のメディアには視聴率を考えた極一部だけを取り上げて放送するものもあり、真実から離れていることが多く信用性に欠けている場合があります。


熊本地震.jpg


確かな情報源として各自治体が発表するもの、また関係公共機関の発表するものを中心に生活への復旧を考えて行きましょう。

自助・共助・協働の観念からまずは自分の身は自分で守る、公助は遅れて動く、と言う事を知っていれば、関係公共機関への批判は間違っている事に気が付きますよね、関係公共機関の人達も私たちと同じように被災しており、避難が完了してから被災状況を収集して機関が動き出すのです。


私たちは被災した時に、この状況が何時まで続くのかと言う事、特に地震の場合には余震への関心が最も大きな情報ニーズとなります。

本来、本震より大きな余震はないのですが、被災者にとってはちょっとした揺れでも本震の時の恐怖がよみがえり、不安をかき立てられるのです。

本震ですでにダメージを受けた建物などは余震でも壊れる恐れがあって油断できませんし、それに熊本地震の時のように最初の地震よりもっと大きい「本震」が襲ってくることも有るのです。


安否情報

雑賀の情報がある程度わかると、次に心配になるのは家族や知人の「安否に関する情報・安否情報」ですよね、大きな災害ですと電話回線が切れたり、通話が輻輳(ふくそう)することによって電話がかかりにくい状況になるため、安否情報ニーズが大幅に増幅されます。

通話が輻輳することによって大変かかりにくい状況になるのは携帯電話も同じですが、このような時には公衆電話が繋がりやすいと言えるかもしれません。


緊急災害掲示板.jpg


大規模災害の時には災害ダイヤルや伝言サービス、伝言板(NTT災害用伝言ダイヤル:171)などがあり、携帯各種でサービスを始めていますので家族で利用方法を決めておくと良いでしょう。






生活情報

災害発生から時間が経過すると次第に水や電気・ガス・交通機関といったライフラインの麻痺による影響が大きくなります。

そのため「ライフライン情報」ニーズが求められ、其れはライフラインの復旧まで続きます。


求められる情報には、飲み水や食料はどこで手に入るのかをはじめ、学校は休みなのか、利用できる入浴施設はどこか、怪我やインフルエンザなどの医療体制はどうなっているのか、開いている病院は、その他必要な品物が手に入る商店やスーパーマーケットはどこか等ですが、日にちを増すと市役所などでの被災状況の確認申請やガレキの処理の申請などは何時どこですればよいのか、などと云った極めてローカルで多岐にわたる生活情報へと次第に移っていきます。

さらに何日か経過すると仮設住宅にはいつ入居できるのか、学校は何時から再開するのか、倒壊家屋のガレキの撤去はいつできるかなど、知りたい情報は膨らむ一方なのです。


差異が字の生活情報は極めて狭い範囲でこそ有効な情報が多く、広い範囲を対象としているテレビやラジオでは満足に伝える事は出来ません。

大きな災害では、被災者が求めるこうした生活情報をだれがどうやって提供したらよいかが大きな改題と云えるでしょう。



外国人来訪者等への情報・避難支援

訪日外国人や日本在住の外国人が増えていることを背景に、近年、外国人への災害情報の提供や避難誘導の方策などが大きな課題となっています。

外国人は日本で起きる災害の基本的な知識や避難方法について知識や情報が乏しく観光や商用などで訪れる一時滞在の旅行者は必ずしも日本語の理解が不十分であり、土地勘もないことから避難行動をとること自体が難しいのです。


多くの日本人は外国語がしゃべられない、そして聞き取れないという現実があります。

その為にも、普段から自治体や地域の防災訓練などで外国人の参加を呼び掛け、交流を図っておくことが大切と云えるでしょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

線状降水帯よる土砂災害と河川氾濫,そして複合災害の難しさ [風水害]

九州北部で線状降水帯が発生、記録的な大雨に!


日本列島は活発な梅雨前線の影響によって、6月24日から九州北部は局地的な猛烈な雨が降り続いています。

気象庁は長崎年内に記録的短時間大雨情報を3回発表し、長崎・佐賀両県で計約25万人に避難指示・勧告を出しました。

佐世保市集中豪雨.jpg

今後、26日未明にかけて断続的に非常に激しい雨が降る恐れがあり、同庁などは長崎県に土砂災害警戒情報を出し、厳重な警戒を呼び掛けています。

気象庁によりますと、長崎県佐世保市では3時間雨量が観測史上最大の181.5ミリを観測、1時間雨量では佐世保市81.5ミリ、同県五島市75.5ミリを記録するなど、佐世保市では寺の石垣が崩れるなどの被害も出ています。


26日午前には佐世保市が9万4592世帯=21万893人に避難指示が出たほか、長崎・佐賀両県の5市町で、計1万2251世帯2万8559人に避難勧告が出ており、両県内で36人が避難しています。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

衣類 乾燥機 オートモード搭載 代金引換不可
価格:27800円(税込、送料無料) (2020/6/28時点)





線状降水帯とは

昨今の日本では、集中豪雨発生時に、気象レーダー画像や解析雨量分布に線上の降水域がしばしばみられるようになりました。

実はこのような事は以前から指摘されていたそうですが、事例解析的な研究はされているのに統計的な調べはされていなかったのですが最近になって台風による直接的な事例を除く者のうちの約3分の2で線状の降水域が確認されたのです。


集中豪雨発生時によくみられる線上の降水域は、その見た目の特徴から「線状降水帯」と呼ばれるようになったのです。

甚大な被害が発生した近年の集中豪雨で上げられる平成24年7月九州北部豪雨、平成25年8月の秋田・岩手県の大雨、平成26年8月広島県の大雨などは線状降水帯によって引き起こされたのです。


集中郷による災害を少しでも軽減し防ぐには、それらの正確な監視・予測は必須であり、その為には集中豪雨をもたらすことが多い線上降水帯を正しく理解する必要があります。

つまり、線状降水帯の理解は、気象学だけではなく防災の観点からも非常に重要と云えるでしょう。


線状降水帯とは、複数の積乱雲が線上に並ぶ形態をしているもので、最近ではマスコミが集中豪雨の原因を説明する際に線上降水帯と云う言葉を使用していますので、多くの方は耳にしたことがあると思います。






複合災害対応の難しさ

新型コロナウイルス感染拡大後、全国で初めて長崎県内で大雨による避難指示・勧告が25日に出されました。

長崎県内では、各自治体が感染対策をしながら避難者を受け入れたと云うのですが、検温など必要な対策に手が回らなかった避難所も有るようで、「避難」と「感染対策」への両立の難しさが出てしまったようです。


記録的な大雨に見舞われた佐世保市では27ヵ所の避難所を開設したそうですが、職員が一人一人に体調確認を口頭でしたそうですが、開設準備で忙しく検温までは手が回らなかったそうです。

県は感染対策にに関する内閣府などの通知を受け、避難所の開設・運営における対策チェックリストを作成していましたが現実に起こった災害に対してはまだ難しが有るようです。


◎ 家族間で約2mの間隔の確保
◎ 発熱などの症状がある人専用のスペースの確保
◎ 十分な換気
◎ 頻繁に手が触れる場所の1日2回以上の消毒

各自治体はチェックリストなどを参考にして独自のマニュアルを作成、対応にあたっているそうです。


佐世保市などでは避難所対応にあたる職員を核施設1人から原則2人に増員、避難者が入室する際に非接触型体温計を使って検温し、定期的に消毒や喚起をする等の対策を決めています。

また、避難前に必ず自宅で検温するよう、ホームページや広報で呼びかけていたそうですが、突然の豪雨発生に対応が後手に回ってしまった部分があったようです。

「佐世保市避難所.jpg


避難者にとって必要な情報として、どの避難所にどれくらいの人が避難しているのか、過密になっていないかなどの情報の共有・発信が求められるようです。

これからの豪雨、台風シーズンに備え、手順やノウハウの確認・運用の仕方などを、ボランティアを含め区市町村職員と共に再確認していかなければならないと思います。


災害は突然私たちにやってきます、今準備しているからでは遅く災害は待ってはくれません。

その為にも、複合災害についての検討を進めた対策を進めて欲しいですね。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。