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避難は避難所ばかりではなく垂直避難も選択の一つ [救出活動]

九州北部で大規模な水害発生、避難所移動より垂直避難が安全な場合も!


九州北部では梅雨前線の滞留によって大雨の被害が続出しておりますが、梅雨期は集中豪雨や台風などで河川が増水して氾濫がおこりやすい時期でもあるのです。

出水期と呼ばれ通常6~10月ごろを指して呼ぶのですが、近年、出水期が早まり河川や山間部に多くの雨量をもたらし、土砂崩れや氾濫と云う被害の爪痕を残しています。


九州北部では球磨川が氾濫、また大分県筑後川上流でも河川が氾濫するなど、多くの小さな支流でも氾濫がおこり大きな被害をもたらしており、現実にあなたの家も浸水しないとは言い切れない可能性が有るのです。

たとえ自分が住んでいる場所で何十年も何も無かったという常識では通用しないと考え、自分の住んでいる場所について市町村が作成したハザードマップで確認するなど、情報を集めて心構えをしておくことが大切です。


災害に逃げ遅れてしまう原因として、災害心理学で「正常性バイアス」という用語があるそうですが、これは災害が予想される状況でも都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」、「まだ大丈夫」過小評価して逃げ遅れてしまうと云うものです。

浸水範囲を示すハザードマップを見ても「他人事」と見過ごし人が残る場合が多く、「我が事」として捉える人が率先して避難していると言えるでしょう。


関西大学社会安全研究センター長の河田恵昭教授は次のように警鐘を鳴らしています。

「市町村は住民全体の防災・減災意識を高めようと努力しますが、自治体のリーダーだけではなく、まずは危機感を持っている賢い住民に理科押してもらってから全体に輪を広げていくという戦略が必要でしょう。防災・減災の取り組みを住民レベルで災害文化として定着させていく事が大切なのです。新型コロナウイルスでは、無関心な人ほど罹患しやすいのと同じです。自助・努力なしでは防災・減災は実現しません」






避難の注意点と避難所に行けない時の対応

水害が起きたとき私たちはどのように対処すればよいのでしょうか、実際浸水が起きている際に避難を試みると道路との境界が分からなくなったりやマンホールの蓋が外れていてマンホールに落ちたり、側溝に落ちたり、また素足で逃げた場合には何が足元にあるのかが分からず、ガラスや金属、木の枝などで足を切ったり命に危険を招く可能性もあるのです。

上記のように水の中では水圧や抵抗も有り思った以上に歩けないのが実情で、大人でも歩く事が困難と云えるでしょう。


浸水が50㎝(大人の膝上程度)を上回る場合の避難行動は危険と云われ、河川など川の流れが速い場合20センチ程度(大人の足首程度)でも歩行が不可能になる事も有るのです。

また用水路などがある場所では足元を奪われ、転倒・転落の危険が高まるため避難を控えましょう。



車による避難は特別な場合を除き控えるべきで、実は車は浸水に強くないと云われ、水位が30センチ以上であればエンジンは停止し、最悪な場合はそのまま流され、ドアは開かなくなる恐れがあるのです。


FireShot Capture 005 - 避難の注意点と避難所に行けない時 - 防災手帳 - Yahoo!天気・災害 - c-emg.yahoo.co.jp.png

国交省東北地方整備局「わたしの防災手帳」をもとにBuzzFeed Japanが作成したものを引用


災害が起きそうな時には、近所の体育館や公民館に避難することが大切なのですが、実はそれだけが選択肢では有りません。

外が真っ暗だったり、浸水が始まっていたり、避難する事が危険な状況の時には、自宅の出来るだけ上の階や、近くにある頑丈な高い建物などに避難する事も大切なのです。


この避難方法を垂直避難と呼びますが、ただ、土砂災害の可能性が有る場合には山から出来るだけ離れた部屋を選ぶなどして最低限の安全を確保しましょう。

垂直避難.jpg  
BuzzFeed Japanが作成したものを引用






記録的短時間大雨などによる内水氾濫はいつ起きるのか?

一般的な都市の排水能力である1時間雨量が50ミリを超える「非常に激しい雨」や「猛烈な雨(80ミリ以上)が降った時は危険な兆候と云えるでしょう。

こうした豪雨について気象庁は「滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)、「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感じる」と云う表現を用いており、100ミリを超えるような短時間の大雨が降る場合には「記録的短時間大雨情報」が発表されます。

FireShot Capture 008 - 避難のタイミング - 防災手帳 - Yahoo!天気・災害 - c-emg.yahoo.co.jp.png

大雨で主要河川など大きな川が増水し、中・下流域の水位が高くなった倍も危険の兆候と云えるでしょう。

支流などが逆流して溢れるリスクを防ぐため水門を占める事で支流の水が大きな川に流れなくなり溢れてしまう事も(内水氾濫)、また水門が無かったとしても「バックウォーター」と呼ばれる現象が起き、支流が逆流して溢れることが有るのです。






避難するタイミングは?

「内水氾濫」「外水氾濫」に比べて一般的に浸水の度合いが浅いという特徴がみられますが、リスクには変わりはなく、内閣府も「浸水が始まっている場合、住民が留意すべき事項は外水氾濫と同様」としています。

実際、市街地には多くの危険性が潜んでおり、冠水した道路の深みにはまったり、側溝や排水路に転落して溺れたりする死亡事故が起きているのです。


地下空間への浸水や、地下街へ続く階段、立体交差の地下部分(アンダーパス)、丘陵地に続く道などでも激しい流れが生じたり、浸水が深くなったりする危険性が高いのです。

またマンホールの蓋が外れている可能性もあり、浸水した場合は足元が見えないことが有るため、歩くことは非常に危険と云えるでしょう。


すでに外で避難するのが危険なほど大雨が降っている場合や、浸水が始まった場合には無理に避難をしないで、自宅や近隣にある頑丈な建物の上部に避難する「垂直避難」を心掛けましょう。

こうした状況になる前に、リスクがある土地に暮らす場合には、気象情報や自治体の情報を確認し、災害が発生する前の段階(市町村の出す警戒レベル3~4)での避難をする事が大切と云えるでしょう。


率先して言避難する事が、自分の命を守り財産を守る事につながるのです。





参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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