阪神・淡路大震災でわかった既存不適格とは? [建築物]
建築物倒壊で分かった「既存不適格」の建物
1995年1月17日(金)に兵庫県南部地震=阪神・淡路大震災(マグニチュード=M7,3)が発生し死者6434人が亡くなりました。
防災士は此の大震災を契機に出来たわけですが,此の大震災は大都市直下型で活断層が活動して起きた地震でした。
神戸・芦屋・西宮・宝塚など六甲断層系の活断層に沿って分布する都市に、大規模な被害をもたらしたのです。
木造建築物、非木造建築物、土木構造物等の倒壊や崩壊、ライフラインの切断、広域火災、地盤の液状化現象、六甲山地での斜面崩落等が次々と起こり、都市の複合的な災害になりました。
この時の死者の8割以上が、木造住宅等の倒壊による圧死や窒息死だったのです。
地震の発生が真冬の早朝5時46分でしたので、多くの人がまだ家に居た為人的被害が大きくなってしまいました。
TVや新聞等で見た方もいるかも知れませんが、鉄筋コンクリート造りのビルにも大きな被害が出て、1階部分が潰れたり中間層が潰れた建物が多かったのです。
地震の発生が平日の昼間であったら、オフィスビルで多数の死者数が出たのではないでしょうか。
既存不適格
既存不適格と言う言葉が出たのは此の地震を契機に、各地で建物の耐震診断や耐震補強を進めようと言う声が上がったからなのです。
1981年(昭和58年)6月1日より前に建てられた建物に被害が集中していた点を踏まえ、耐震化が急務であると指摘されたのです。
多くの地方自治体によっては、既存不適格の木造住宅を対象に耐震診断や補強を行うに当たって、資金の助成を実施している所もあるのです。
しかし、耐震化に対する住民の意識は決して高いとは言えないのが現状なのです。
住宅の耐震化は個人の生命や財産だけではなく、もし家屋が倒壊した場合に道路を塞ぐ恐れもあり、避難行動の妨げにもなりますし、緊急自動車も走れなくなってしまうかも知れないのです。
此のような事態になれば、被災地の救助・救援活動等の大きな障害になりうるのです。
ですから、家屋の耐震化を進めると言うことは、防災街づくりの一貫と位置付けなければならないのです。
建て直したいがもう歳だし、補助金を返すことも出来ないから無理だね!と言う方もいられます、お住まいの市町村の担当者とご相談をして、自分の命の事もありますので良く考えて頂きたいですね。
耐震基準の整備
過去の地震や暴風による被害を経験して日本の建物は耐震的に強くなってきていると言われています。
実際、大地震により大きな被害が生じた後に、建物の安全性を確保するための法令等の基準(総称して耐震基準)が整備されてきたのです。
1923年の関東大震災の翌年に「市街地建築物法」という法律が改正され、設計震度として0、1が規定されました。
「設計震度0、1」とは建物全重量の1割を水平力(地震力)として構造計算をするというものです。
つまり、「地震力=建物全重量X0、1」という意味ですね。
これは日本で最初の耐震基準であるものの、大都市に建つビルを対象としたものなのです。
一方、木造建築物に関しては「適当に筋交いまたは方杖を設けるべし」という規定の適用範囲が2階建て以下のものにも広げられました。
耐震要素としての筋交いの重要性を強調したものであると考えられています。
1950年に市街地建築物法に代わって建築基準法が施工され、1948年に起こった福井地震の教訓を受け木造建築物に対し「壁率」の規定が取り入れられました。
壁率とは、建物の各階の床面積に応じて筋交いなどの地震に対する抵抗要素をどのくらい設けるかを規定したもので、この壁率は現在でも木造建築物の耐震規定の中心をなす規定であります。
1968年の十勝沖地震をきっかけに1971年に耐震基準の見直しが行われ、さらに1978年に宮城県沖地震が発生し、それを基準に1981年に「新耐震基準」が施工されました。
新耐震基準とは、此のとき改正された建築基準法とその施行令、および建設省告示等で規定された耐震設計の基準を意味しています。
阪神・淡路大震災は家屋の全壊、半壊が共に10万棟以上、死者6400人余のうち8割以上が家屋の倒壊による圧死、窒息死という甚大な被害をもたらしたのです。
地震調査の結果、大きな被害を受けた住宅にはいくつかの傾向が認めらたのです。
木造建築の中で特に被害が多かったものは「古い」住宅であったということです。
「古い」には二通りの意味があり、一つ目は「建築年代が古く老朽化している」という意味で建築当初はそれなりの耐震機能を有していても、老朽化によって耐震性を失ってしまっているということです。
二つ目は「建築年代が古いので、構法(造り方)自体が古い」という意味で、この意味では古い木造住宅は元々耐震性に乏しいと言えるのです。
これらが既存不適格住宅と呼ばれていて、早急に補修・補強を行う必要があります。
補修・補強にはお金がかかりますが各市町村では助成金という形で推進していますのでご相談をしてみてはいかがでしょうか。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより
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1995年1月17日(金)に兵庫県南部地震=阪神・淡路大震災(マグニチュード=M7,3)が発生し死者6434人が亡くなりました。
防災士は此の大震災を契機に出来たわけですが,此の大震災は大都市直下型で活断層が活動して起きた地震でした。
神戸・芦屋・西宮・宝塚など六甲断層系の活断層に沿って分布する都市に、大規模な被害をもたらしたのです。
木造建築物、非木造建築物、土木構造物等の倒壊や崩壊、ライフラインの切断、広域火災、地盤の液状化現象、六甲山地での斜面崩落等が次々と起こり、都市の複合的な災害になりました。
この時の死者の8割以上が、木造住宅等の倒壊による圧死や窒息死だったのです。
地震の発生が真冬の早朝5時46分でしたので、多くの人がまだ家に居た為人的被害が大きくなってしまいました。
TVや新聞等で見た方もいるかも知れませんが、鉄筋コンクリート造りのビルにも大きな被害が出て、1階部分が潰れたり中間層が潰れた建物が多かったのです。
地震の発生が平日の昼間であったら、オフィスビルで多数の死者数が出たのではないでしょうか。
既存不適格
既存不適格と言う言葉が出たのは此の地震を契機に、各地で建物の耐震診断や耐震補強を進めようと言う声が上がったからなのです。
1981年(昭和58年)6月1日より前に建てられた建物に被害が集中していた点を踏まえ、耐震化が急務であると指摘されたのです。
多くの地方自治体によっては、既存不適格の木造住宅を対象に耐震診断や補強を行うに当たって、資金の助成を実施している所もあるのです。
しかし、耐震化に対する住民の意識は決して高いとは言えないのが現状なのです。
住宅の耐震化は個人の生命や財産だけではなく、もし家屋が倒壊した場合に道路を塞ぐ恐れもあり、避難行動の妨げにもなりますし、緊急自動車も走れなくなってしまうかも知れないのです。
此のような事態になれば、被災地の救助・救援活動等の大きな障害になりうるのです。
ですから、家屋の耐震化を進めると言うことは、防災街づくりの一貫と位置付けなければならないのです。
建て直したいがもう歳だし、補助金を返すことも出来ないから無理だね!と言う方もいられます、お住まいの市町村の担当者とご相談をして、自分の命の事もありますので良く考えて頂きたいですね。
耐震基準の整備
過去の地震や暴風による被害を経験して日本の建物は耐震的に強くなってきていると言われています。
実際、大地震により大きな被害が生じた後に、建物の安全性を確保するための法令等の基準(総称して耐震基準)が整備されてきたのです。
1923年の関東大震災の翌年に「市街地建築物法」という法律が改正され、設計震度として0、1が規定されました。
「設計震度0、1」とは建物全重量の1割を水平力(地震力)として構造計算をするというものです。
つまり、「地震力=建物全重量X0、1」という意味ですね。
これは日本で最初の耐震基準であるものの、大都市に建つビルを対象としたものなのです。
一方、木造建築物に関しては「適当に筋交いまたは方杖を設けるべし」という規定の適用範囲が2階建て以下のものにも広げられました。
耐震要素としての筋交いの重要性を強調したものであると考えられています。
1950年に市街地建築物法に代わって建築基準法が施工され、1948年に起こった福井地震の教訓を受け木造建築物に対し「壁率」の規定が取り入れられました。
壁率とは、建物の各階の床面積に応じて筋交いなどの地震に対する抵抗要素をどのくらい設けるかを規定したもので、この壁率は現在でも木造建築物の耐震規定の中心をなす規定であります。
1968年の十勝沖地震をきっかけに1971年に耐震基準の見直しが行われ、さらに1978年に宮城県沖地震が発生し、それを基準に1981年に「新耐震基準」が施工されました。
新耐震基準とは、此のとき改正された建築基準法とその施行令、および建設省告示等で規定された耐震設計の基準を意味しています。
阪神・淡路大震災は家屋の全壊、半壊が共に10万棟以上、死者6400人余のうち8割以上が家屋の倒壊による圧死、窒息死という甚大な被害をもたらしたのです。
地震調査の結果、大きな被害を受けた住宅にはいくつかの傾向が認めらたのです。
木造建築の中で特に被害が多かったものは「古い」住宅であったということです。
「古い」には二通りの意味があり、一つ目は「建築年代が古く老朽化している」という意味で建築当初はそれなりの耐震機能を有していても、老朽化によって耐震性を失ってしまっているということです。
二つ目は「建築年代が古いので、構法(造り方)自体が古い」という意味で、この意味では古い木造住宅は元々耐震性に乏しいと言えるのです。
これらが既存不適格住宅と呼ばれていて、早急に補修・補強を行う必要があります。
補修・補強にはお金がかかりますが各市町村では助成金という形で推進していますのでご相談をしてみてはいかがでしょうか。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより
耐震診断と補強 [建築物]
多くの木造住宅では耐震設計を「壁量計算」と言う便宜的な方法で行っているが地震地域係数は入っていない
今回は専門的な話になってしまいますので、予め御了承くださいね。
建造物について、過去の地震や暴風による被害を経験して、日本の建物は耐震的に強くなってきました。
実際、大地震により大きな被害が生じたあとに、建物の安全性を確保するための法令等の基準「耐震基準」が整備されているのです。
1932年の姦と大震災の翌年に「市街地建築物法」という法律が改正され、設計震度として0、1が規定されました。
「設計震度0、1」とは建物の全重量の1割を水平力(=地震力)として構造計算するというもので、つまり「地震力=建物全重量X0、1」という意味です。
これ等は日本最初の耐震基準ですが、大都市に建つビルを対象とした規定だったのです。
一方、木造建造物に関しては「適当に筋交いまたは方杖を設けるべし」という規定の適用範囲が2階建て以下のものにも広げられたのです。
これから見ますと、耐震要素の「筋交い」の重要性を強調したものだったことがわかります。
1981年に新耐震基準が施工された
1950年に市街地建築物法に代わって、建築基準法が施工され際に1948年の福井地震の教訓を受け、木造建物に対して「壁率」の規定が取り入れられました。
「壁率」とは、建物の各階の床面積に応じ筋交いなどの地震に対する抵抗要素どのくらい設けるかを規定したものです。
此の壁率は、現在でも木造建築物の耐震規定の中心をなす規定なのです。
その後、1968年の十勝沖地震で耐震建築の代名詞であった鉄筋コンクリート造りを始めとする多くのビルが被害をかぶり、それをきっかけとして1971年に耐震基準の見直しが行われ、さらに、1978年に宮城県沖地震が発生、それを教訓として、1981年に「新耐震基準」が施行されました。
2000年には、約20年ぶりに建築基準法が改正され、その改正で木造建物に於いては壁率には変化はありませんでしたが、基礎に関する規定や柱と梁や土台との接合部の使用に関する規定、壁をバランスよく配置するための規定等が取り入れられましたが、これ等は阪神淡路大震災での被害を教訓としたものと考えられます。
耐震診断とは
耐震診断とは、既存の建築物にどのくらいの耐震性能があるかを調査するもので、人間で言えば健康診断のようなものです。
2004年に大改訂された木造住宅の耐震診断基準は、特に大地震での倒壊の可能性の有無に焦点が絞られています。
診断の対象となる建物の種類は、大きく分けて在来軸組広報、伝統工法、ツーバイフォー工法の三種類であり、改訂された耐震診断基準には目的別に3種類の診断方法が用意されています。
なお、此の基準は2012年に再改訂され、対象として「非住宅」が含まれましたが、基本的な考え方や手順は変わっていません。
一般ユーザーを対象とした耐震診断をより身近なものとしてとらえてもらうツールとして「誰でもできる我が家の耐震診断」が日本建築防災協会が作成しています。
興味のある方は「財団法人日本建築協会」ホームページにて診断してください。
「財団法人日本建築協会」
一般診断は原則として非破壊の調査でわかる情報による診断となっています。
精密診断は、一般診断で補強の必要性が高いと判断された住宅について、本当に補強が必要かどうかを最終判断をすること、および補強設計した場合の妥当性に関する診断を目的としたものです。
地震に強い工法
構想建築物や公共建築物を中心とした新たに建築される大規模ビルの他、最近では一般家庭の住宅に於いても新耐震基準の耐震性を確保しより地震に強い構造を目指して、様々な工法が開発されています。
耐震・制震・免震工法とは
耐震は、壁や柱など建物の構造自体を強化し、建物そのもので振動エネルギーを受け止め地震の力に耐えられるようにした工法です。
制震(制振)は、オイルダンパーや鋼の塑性を利用したダンパー等の振動抑制装置を柱や壁、屋上に設置し、振動エネルギーを吸収して建物の揺れを制限する工法です。
免震は、地面と建物の間に入れた免震装置が地面と建物の縁を切り、建物に振動が伝わらないようにする工法です。
安心してすめる我が家を守るためにも、耐震診断をしてみてはいかがでしょうか。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより
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今回は専門的な話になってしまいますので、予め御了承くださいね。
建造物について、過去の地震や暴風による被害を経験して、日本の建物は耐震的に強くなってきました。
実際、大地震により大きな被害が生じたあとに、建物の安全性を確保するための法令等の基準「耐震基準」が整備されているのです。
1932年の姦と大震災の翌年に「市街地建築物法」という法律が改正され、設計震度として0、1が規定されました。
「設計震度0、1」とは建物の全重量の1割を水平力(=地震力)として構造計算するというもので、つまり「地震力=建物全重量X0、1」という意味です。
これ等は日本最初の耐震基準ですが、大都市に建つビルを対象とした規定だったのです。
一方、木造建造物に関しては「適当に筋交いまたは方杖を設けるべし」という規定の適用範囲が2階建て以下のものにも広げられたのです。
これから見ますと、耐震要素の「筋交い」の重要性を強調したものだったことがわかります。
1981年に新耐震基準が施工された
1950年に市街地建築物法に代わって、建築基準法が施工され際に1948年の福井地震の教訓を受け、木造建物に対して「壁率」の規定が取り入れられました。
「壁率」とは、建物の各階の床面積に応じ筋交いなどの地震に対する抵抗要素どのくらい設けるかを規定したものです。
此の壁率は、現在でも木造建築物の耐震規定の中心をなす規定なのです。
その後、1968年の十勝沖地震で耐震建築の代名詞であった鉄筋コンクリート造りを始めとする多くのビルが被害をかぶり、それをきっかけとして1971年に耐震基準の見直しが行われ、さらに、1978年に宮城県沖地震が発生、それを教訓として、1981年に「新耐震基準」が施行されました。
2000年には、約20年ぶりに建築基準法が改正され、その改正で木造建物に於いては壁率には変化はありませんでしたが、基礎に関する規定や柱と梁や土台との接合部の使用に関する規定、壁をバランスよく配置するための規定等が取り入れられましたが、これ等は阪神淡路大震災での被害を教訓としたものと考えられます。
耐震診断とは
耐震診断とは、既存の建築物にどのくらいの耐震性能があるかを調査するもので、人間で言えば健康診断のようなものです。
2004年に大改訂された木造住宅の耐震診断基準は、特に大地震での倒壊の可能性の有無に焦点が絞られています。
診断の対象となる建物の種類は、大きく分けて在来軸組広報、伝統工法、ツーバイフォー工法の三種類であり、改訂された耐震診断基準には目的別に3種類の診断方法が用意されています。
なお、此の基準は2012年に再改訂され、対象として「非住宅」が含まれましたが、基本的な考え方や手順は変わっていません。
一般ユーザーを対象とした耐震診断をより身近なものとしてとらえてもらうツールとして「誰でもできる我が家の耐震診断」が日本建築防災協会が作成しています。
興味のある方は「財団法人日本建築協会」ホームページにて診断してください。
「財団法人日本建築協会」
一般診断は原則として非破壊の調査でわかる情報による診断となっています。
精密診断は、一般診断で補強の必要性が高いと判断された住宅について、本当に補強が必要かどうかを最終判断をすること、および補強設計した場合の妥当性に関する診断を目的としたものです。
地震に強い工法
構想建築物や公共建築物を中心とした新たに建築される大規模ビルの他、最近では一般家庭の住宅に於いても新耐震基準の耐震性を確保しより地震に強い構造を目指して、様々な工法が開発されています。
耐震・制震・免震工法とは
耐震は、壁や柱など建物の構造自体を強化し、建物そのもので振動エネルギーを受け止め地震の力に耐えられるようにした工法です。
制震(制振)は、オイルダンパーや鋼の塑性を利用したダンパー等の振動抑制装置を柱や壁、屋上に設置し、振動エネルギーを吸収して建物の揺れを制限する工法です。
免震は、地面と建物の間に入れた免震装置が地面と建物の縁を切り、建物に振動が伝わらないようにする工法です。
安心してすめる我が家を守るためにも、耐震診断をしてみてはいかがでしょうか。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより
地下街は安全か?安全神話の真実とは! [建築物]
地震に強いと言われる地下街、その根拠は正しいものなのか?水害に弱いと云われる地下街その対策は克服できるのか?を考える
昨今地下街などの地下空間、地下鉄は安全であると言われています。
今回はなぜそのような事が言われているのか、現実にはどのようなものなのか、天井などにある天井設備の落下等はないのかなどを考えてみたいと思います。
まず安全神話が唱えられた原因の一つである阪神・淡路大震災以降から地下街は安全と云われていますが、その根拠は正しいものなのかについて知らない人が多いのではないでしょうか。
海外映画の猿の惑星などや国内映画でも、地震に対しての地下街は安全だと思えるような映像表現されていますが果たして本当なのでしょうか?実際には建築基準でも地下に対しての構造物(躯体)に関する規制は有りますが、天井設備に対する規定は緩いようで、釣り天井には規制が曖昧になっているようです。
そんな中で、特に地下土壌構造に関心を向けると、はたして関西地区と関東地区での地下土壌構造は同じなのでしょうか。
実は全く同じではなく、それぞれその地域の特性(火山灰などの堆積、隆起)、最近では埋め立ても特性と云えるようです。
地震は軟弱な地盤で有ればあるほど振幅幅(揺れ)が大きくなると言われていますが皆さんはご存知ですよね、つまり地表での揺れの大きさは地表付近の地盤の状況によって変わると言う事なのです。
一般的に、地表付近の地盤が軟弱な場所の場合は固い地盤の場所に比べて大きな揺れになると言う事で、また、地下の深い部分の地盤の構造によって地震の振幅が大きくなることや、屈折や反射などによって地震波が重なり合う事でさらに振幅が大きくなることもあるのです。
首都東京の地下はどのようなになっているのかご存知ですか?殆どの方は知りませんし、筆者だってつい最近まで知りませんでした。
東京の地下には地下鉄が所狭しと走り、地下街によってビルとビルが繋がっていてどこに行くにも便利な街構造を形成しているのですが、その下がどのような構造をしているのかなんて考えたことは有りませんでした。
調べていくと東京を中心とした首都圏は世界に稀を見るほどの特別危険地帯・・と云えるほどの三重構造(フィリピン海プレートと太平洋プレート、北米プレート)の真上にあると云う事で、この危険と云える場所に日本の要である首都があり約850万人と云う人が集まっているのですから怖いですよね。
この三重構造を土台とした上に富士山からの火山噴出部である関東ローム層を中心とした軟らかくてよく揺れる沖積層が分厚く覆っていることが分かりました。
この軟らかくて地震をよく伝える土壌の中に地下鉄が走り地下街があり、そして地表には高層ビルなどの構造物が立っているわけです。
実態があまり見えないのに構造は分かっている、つまり地震はものすごく起きやすいと云う中で人口密集が起きているわけですからこれって超危険と云えますよね。
ただ、ここまで述べている中で分かると思いますが固い岩盤から地表に向かっていくほど地震の振幅が大きくなること、なるほど、と言う事は地下街などは地表に比べて振幅が小さい・・・だから安心だということのようなのです。
それは地表の震度が7クラスだったら4~5程度と云うだけの問題であって、構造躯体は安全かも知れませんが中の構造物つまり内壁や天井などの落下、倒壊・損壊等は地上と変わらないと言う事で安全であると云う意味は違うものと云えるでしょう。
被害日本震災で見た天井落下物による被害
地下街でも天井崩落はあり得ると言えるでしょう、最近の建築物では東日本大震災後から天井崩落を防ぐための建築技術を高めてきていますが、それ以前の構築物では対策はされていないのが現実です。
そんなかで地下は安全だ・・とは言えないのではないでしょうか、地下の構造物は地盤と同じように揺れるため建物が揺れる地上程被害は生じないとされていますが天井版や壁、柱の仕上げ材の落下など非構造部分の被害も見られ、また地下湧水の吐出量が増えたりするなどの報告もされているようです。
私が言いたいのは前述でも述べているように、地下にはそれぞれの固い岩盤や軟らかい地盤などがあり同じ地下街でも連結されていた場合伝わる地震の振幅が違う、つまり揺れのズレが起こると言う事です。
この揺れのズレが歪みを起こしやがて大きな被害を起こしかねないと言う事、そして建築構造技術の発展により安全になったと言われていますが実際に経験をしているわけではなく、あくまで阪神・淡路大震災、そして東日本大震災の経験をもとに技術向上しているだけ机上のデータや実験上のデータなのです。
首都圏直下型ではある程度の大きな被害を受けるという前提で揺れを抑える構造物が建築されていますが、それでも古い建物が数多くあるのですが一般市民ではどの建物が古い構造物で有るのかなどは分かりませんよね。
其れでも地下は安全だとはいいがたいものがあるのではないでしょうか、「地下施設は安全だ」と云う思い込みは却って危険であると言えるのではないでしょうか。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより
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昨今地下街などの地下空間、地下鉄は安全であると言われています。
今回はなぜそのような事が言われているのか、現実にはどのようなものなのか、天井などにある天井設備の落下等はないのかなどを考えてみたいと思います。
まず安全神話が唱えられた原因の一つである阪神・淡路大震災以降から地下街は安全と云われていますが、その根拠は正しいものなのかについて知らない人が多いのではないでしょうか。
海外映画の猿の惑星などや国内映画でも、地震に対しての地下街は安全だと思えるような映像表現されていますが果たして本当なのでしょうか?実際には建築基準でも地下に対しての構造物(躯体)に関する規制は有りますが、天井設備に対する規定は緩いようで、釣り天井には規制が曖昧になっているようです。
そんな中で、特に地下土壌構造に関心を向けると、はたして関西地区と関東地区での地下土壌構造は同じなのでしょうか。
実は全く同じではなく、それぞれその地域の特性(火山灰などの堆積、隆起)、最近では埋め立ても特性と云えるようです。
地震は軟弱な地盤で有ればあるほど振幅幅(揺れ)が大きくなると言われていますが皆さんはご存知ですよね、つまり地表での揺れの大きさは地表付近の地盤の状況によって変わると言う事なのです。
一般的に、地表付近の地盤が軟弱な場所の場合は固い地盤の場所に比べて大きな揺れになると言う事で、また、地下の深い部分の地盤の構造によって地震の振幅が大きくなることや、屈折や反射などによって地震波が重なり合う事でさらに振幅が大きくなることもあるのです。
首都東京の地下はどのようなになっているのかご存知ですか?殆どの方は知りませんし、筆者だってつい最近まで知りませんでした。
東京の地下には地下鉄が所狭しと走り、地下街によってビルとビルが繋がっていてどこに行くにも便利な街構造を形成しているのですが、その下がどのような構造をしているのかなんて考えたことは有りませんでした。
調べていくと東京を中心とした首都圏は世界に稀を見るほどの特別危険地帯・・と云えるほどの三重構造(フィリピン海プレートと太平洋プレート、北米プレート)の真上にあると云う事で、この危険と云える場所に日本の要である首都があり約850万人と云う人が集まっているのですから怖いですよね。
この三重構造を土台とした上に富士山からの火山噴出部である関東ローム層を中心とした軟らかくてよく揺れる沖積層が分厚く覆っていることが分かりました。
この軟らかくて地震をよく伝える土壌の中に地下鉄が走り地下街があり、そして地表には高層ビルなどの構造物が立っているわけです。
実態があまり見えないのに構造は分かっている、つまり地震はものすごく起きやすいと云う中で人口密集が起きているわけですからこれって超危険と云えますよね。
ただ、ここまで述べている中で分かると思いますが固い岩盤から地表に向かっていくほど地震の振幅が大きくなること、なるほど、と言う事は地下街などは地表に比べて振幅が小さい・・・だから安心だということのようなのです。
それは地表の震度が7クラスだったら4~5程度と云うだけの問題であって、構造躯体は安全かも知れませんが中の構造物つまり内壁や天井などの落下、倒壊・損壊等は地上と変わらないと言う事で安全であると云う意味は違うものと云えるでしょう。
被害日本震災で見た天井落下物による被害
地下街でも天井崩落はあり得ると言えるでしょう、最近の建築物では東日本大震災後から天井崩落を防ぐための建築技術を高めてきていますが、それ以前の構築物では対策はされていないのが現実です。
そんなかで地下は安全だ・・とは言えないのではないでしょうか、地下の構造物は地盤と同じように揺れるため建物が揺れる地上程被害は生じないとされていますが天井版や壁、柱の仕上げ材の落下など非構造部分の被害も見られ、また地下湧水の吐出量が増えたりするなどの報告もされているようです。
私が言いたいのは前述でも述べているように、地下にはそれぞれの固い岩盤や軟らかい地盤などがあり同じ地下街でも連結されていた場合伝わる地震の振幅が違う、つまり揺れのズレが起こると言う事です。
この揺れのズレが歪みを起こしやがて大きな被害を起こしかねないと言う事、そして建築構造技術の発展により安全になったと言われていますが実際に経験をしているわけではなく、あくまで阪神・淡路大震災、そして東日本大震災の経験をもとに技術向上しているだけ机上のデータや実験上のデータなのです。
首都圏直下型ではある程度の大きな被害を受けるという前提で揺れを抑える構造物が建築されていますが、それでも古い建物が数多くあるのですが一般市民ではどの建物が古い構造物で有るのかなどは分かりませんよね。
其れでも地下は安全だとはいいがたいものがあるのではないでしょうか、「地下施設は安全だ」と云う思い込みは却って危険であると言えるのではないでしょうか。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより
地下空間の危険性と「駅ナカ」を考える [建築物]
様々な災害を想定したリスク回避策は急務
益々広がる地下空間、地下40m下に進む開発、しかし、地下にはいまだ分からない部分もあると云うのですが、調布市の市道陥没事故は大きな問題を提起し、今だに市道や住居の地下部に大きな空間が発見されているのです。
調布市の場合には、東京外かく環状道路の地下トンネルルート上にある市道が陥没したわけですが、地下空洞について東日本高速道路(NEXCO東日本)の有識者委員会は「トンネルを掘るシールド工事が要因の一つ」とする中間報告をまとめました。
中間報告ではトンネルを掘っている地下約47mの深さに、小さな石の割合が高くシールドマシン(大型掘削機)で取り込みにくい地盤があると確認しています。
夜間の工事休止後にマシンのカッターが回転しなった為、動きやすいように地中に気泡を注入したところ掘削断面が緩み、トンネル上の土砂が落ち込んだと推定したのです。
NEXCO東日本では「陥没などのメカニズムが判明するまでは外環道のシールド工事は止める」との判断を示しましたが、地表から40m以上深い地下空間は2001年施行の大深度地下使用法により首都圏、中部圏、近畿圏の一部区域を対象に、公共目的の事業に使用が認められるようになりました。
大深度地下空間においては用地の買収は不要であり、東京外かく環状道路(外環道)やJR東海が進めるリニア中央新幹線など4件が認可されています。
リニア工事では、21年度初めに北品川非常口(東京都品川区)からシールドマシンが発信し、都内の大深度工事が始まる予定になっています。
地盤工学の専門である芝浦工業大学・稲積真哉教授は東京新聞紙上で河川に近い地盤の砂などに含まれる地下水がシールドマシンの振動で分流して流れ出し、陥没や空洞が出来る現象は珍しくない「こうした現象は大深度でも起きる、リニアのトンネルも多摩川や中小河川の流れる地域を掘る。ボーリング調査の数を増やし、地中をレーダ探査するなど、事前に対策を考える必要がある」と解説しています。
地下空間とそのリスク
都市は年々その姿を変えてきていますが、特に地下空間の活用には著しいものが有ります。しかし、この地下空間において地震などの大災害に遭遇した場合の対策は、実はまだ決して十分であるとは言えないのです。
これから述べるのは、地下鉄と駅ナカなど地下にある商業エリアを巡る問題ですが、一番の問題は地下空間の危険性が知られていない事と、発展のスピードが速く、規制が後追いになってしまっていると云う事なのです。
地下空間にいる人の数は飛躍的に増えており、様々な災害を想定したリスク回避策は急務の対策と云えるでしょう。
東京の地下鉄駅の場合、新しい線は古い線の下を通るために駅はどんどん深い所に造られる事になり、駅舎も次第に深い所に造られるようになり深い駅では地下40mを超える所にあるのです
もし、駅舎ではなく、地下鉄車内で災害に遭遇した場合を考えてみると、切迫して車外に出ようとした場合、緊急のドアの開閉装置はどこにあるのだろうか?実は地下鉄は車両によってバラバラで、まして今は地下鉄と私鉄との相互乘り合いが有るためさらに複雑化しており、分かりづらいのです。
このように地下鉄は地上車両も地下を走る、さらに車両によっても異なるなど緊急時への対応が標準化されていないと云う事から考えて行かなければなりません。
そして、一番懸念されている車両への送電線が線路近くに設置されているのは2路線(丸ノ内線・銀座線)ですが、あとの路線は地上軌道のように上から受電していますが、このような知識も共有はされていなのが現実です。
大深度地下は安全である?
地下は揺れが少ないと云う「安心神話」は信用が出来るのか?実はそのように考える人が多いのは確かですが、其れは地上と同じ強度の建築物であれば正しいのかも知れません。
しかし、揺れが小さいならそれらに応じて構造設計されるのが普通であるため、一概に地上より安全であるとは言い難いものがあります。
地下空間で怖いと考えられているのが、主に次のような事ではないでしょうか。
① 地震による構造的破壊で外に出られなくなるのではないか。
② 火災時は凄い煙で逃げ出せないのではないか。
③ 窓がないのため爆発が起これば一瞬にして炎に包まれるのではないか。
④ 水が流れ込んできたら水没してしまうのではないか。
また、「暗黒の空間に閉じ込められたら」という心理的な恐怖に対する配慮はどうなっているのだろうか、この問題は「度合いが高ければ高い程設計の安全レベルを上げる必要がある」というのが結論です。
防災上の課題として残っているのは、地下空間の使い方やその危険について、利用者・従業員にしっかりと理解させる工夫が殆ど行われていないことです。
危険な理由がどこにあり、どんな使い方をすると危険が起きるのか、また、安全のためにはどんな仕組みが用意されているのかの知識を持ち、それをどのように説明して理解して貰うかについて学習しておくことが求められます。
駅ナカの防災対策
一般的に言われている「駅ナカ」ですが、鉄道事業者が駅構内に展開する商業スペースの通称(従来はJRの用語であったが他の鉄道会社の類似スペースも同様に呼ばれるようになった)で、地上から地下までもそう呼ばれるなってきています。
ターミナル駅では近隣の商業施設と複合化しているなど、従来の駅としての機能は様変わりして来ている
従来、駅舎は交通手段を利用するための場所として位置づけられているため、人が滞留する場所ではないとされています。
消防法では改札口の内側にはスプリンクラーの設置を義務付けていませんが、ターミナルビルは「複合用途防火対象物」にあたるため、スプリンクラーの設置は義務付けられています。
その結果、大きなターミナルビルの駅ナカはスプリンクラーは必要ですが、小さな駅の駅ナカには義務化されていない所が多く、また、コンコースやプラットホームは不要となっています。
地下であれば、一般商業施設と同様の避難、誘導の問題が有り、乗降客への対応と共に混乱の危険性が存在していると云っても過言ではないでしょう。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページ
環境省 人とペットの災害対策ガイドライン
長野県諏訪地域振興局 長野県魅力発信ブログ
月間総務オンライン 総務辞典
より
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益々広がる地下空間、地下40m下に進む開発、しかし、地下にはいまだ分からない部分もあると云うのですが、調布市の市道陥没事故は大きな問題を提起し、今だに市道や住居の地下部に大きな空間が発見されているのです。
調布市の場合には、東京外かく環状道路の地下トンネルルート上にある市道が陥没したわけですが、地下空洞について東日本高速道路(NEXCO東日本)の有識者委員会は「トンネルを掘るシールド工事が要因の一つ」とする中間報告をまとめました。
中間報告ではトンネルを掘っている地下約47mの深さに、小さな石の割合が高くシールドマシン(大型掘削機)で取り込みにくい地盤があると確認しています。
夜間の工事休止後にマシンのカッターが回転しなった為、動きやすいように地中に気泡を注入したところ掘削断面が緩み、トンネル上の土砂が落ち込んだと推定したのです。
NEXCO東日本では「陥没などのメカニズムが判明するまでは外環道のシールド工事は止める」との判断を示しましたが、地表から40m以上深い地下空間は2001年施行の大深度地下使用法により首都圏、中部圏、近畿圏の一部区域を対象に、公共目的の事業に使用が認められるようになりました。
大深度地下空間においては用地の買収は不要であり、東京外かく環状道路(外環道)やJR東海が進めるリニア中央新幹線など4件が認可されています。
リニア工事では、21年度初めに北品川非常口(東京都品川区)からシールドマシンが発信し、都内の大深度工事が始まる予定になっています。
地盤工学の専門である芝浦工業大学・稲積真哉教授は東京新聞紙上で河川に近い地盤の砂などに含まれる地下水がシールドマシンの振動で分流して流れ出し、陥没や空洞が出来る現象は珍しくない「こうした現象は大深度でも起きる、リニアのトンネルも多摩川や中小河川の流れる地域を掘る。ボーリング調査の数を増やし、地中をレーダ探査するなど、事前に対策を考える必要がある」と解説しています。
地下空間とそのリスク
都市は年々その姿を変えてきていますが、特に地下空間の活用には著しいものが有ります。しかし、この地下空間において地震などの大災害に遭遇した場合の対策は、実はまだ決して十分であるとは言えないのです。
これから述べるのは、地下鉄と駅ナカなど地下にある商業エリアを巡る問題ですが、一番の問題は地下空間の危険性が知られていない事と、発展のスピードが速く、規制が後追いになってしまっていると云う事なのです。
地下空間にいる人の数は飛躍的に増えており、様々な災害を想定したリスク回避策は急務の対策と云えるでしょう。
東京の地下鉄駅の場合、新しい線は古い線の下を通るために駅はどんどん深い所に造られる事になり、駅舎も次第に深い所に造られるようになり深い駅では地下40mを超える所にあるのです
もし、駅舎ではなく、地下鉄車内で災害に遭遇した場合を考えてみると、切迫して車外に出ようとした場合、緊急のドアの開閉装置はどこにあるのだろうか?実は地下鉄は車両によってバラバラで、まして今は地下鉄と私鉄との相互乘り合いが有るためさらに複雑化しており、分かりづらいのです。
このように地下鉄は地上車両も地下を走る、さらに車両によっても異なるなど緊急時への対応が標準化されていないと云う事から考えて行かなければなりません。
そして、一番懸念されている車両への送電線が線路近くに設置されているのは2路線(丸ノ内線・銀座線)ですが、あとの路線は地上軌道のように上から受電していますが、このような知識も共有はされていなのが現実です。
大深度地下は安全である?
地下は揺れが少ないと云う「安心神話」は信用が出来るのか?実はそのように考える人が多いのは確かですが、其れは地上と同じ強度の建築物であれば正しいのかも知れません。
しかし、揺れが小さいならそれらに応じて構造設計されるのが普通であるため、一概に地上より安全であるとは言い難いものがあります。
地下空間で怖いと考えられているのが、主に次のような事ではないでしょうか。
① 地震による構造的破壊で外に出られなくなるのではないか。
② 火災時は凄い煙で逃げ出せないのではないか。
③ 窓がないのため爆発が起これば一瞬にして炎に包まれるのではないか。
④ 水が流れ込んできたら水没してしまうのではないか。
また、「暗黒の空間に閉じ込められたら」という心理的な恐怖に対する配慮はどうなっているのだろうか、この問題は「度合いが高ければ高い程設計の安全レベルを上げる必要がある」というのが結論です。
防災上の課題として残っているのは、地下空間の使い方やその危険について、利用者・従業員にしっかりと理解させる工夫が殆ど行われていないことです。
危険な理由がどこにあり、どんな使い方をすると危険が起きるのか、また、安全のためにはどんな仕組みが用意されているのかの知識を持ち、それをどのように説明して理解して貰うかについて学習しておくことが求められます。
駅ナカの防災対策
一般的に言われている「駅ナカ」ですが、鉄道事業者が駅構内に展開する商業スペースの通称(従来はJRの用語であったが他の鉄道会社の類似スペースも同様に呼ばれるようになった)で、地上から地下までもそう呼ばれるなってきています。
ターミナル駅では近隣の商業施設と複合化しているなど、従来の駅としての機能は様変わりして来ている
従来、駅舎は交通手段を利用するための場所として位置づけられているため、人が滞留する場所ではないとされています。
消防法では改札口の内側にはスプリンクラーの設置を義務付けていませんが、ターミナルビルは「複合用途防火対象物」にあたるため、スプリンクラーの設置は義務付けられています。
その結果、大きなターミナルビルの駅ナカはスプリンクラーは必要ですが、小さな駅の駅ナカには義務化されていない所が多く、また、コンコースやプラットホームは不要となっています。
地下であれば、一般商業施設と同様の避難、誘導の問題が有り、乗降客への対応と共に混乱の危険性が存在していると云っても過言ではないでしょう。
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
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二酸化炭素消火設備設置事業所に東京消防庁が注意喚起に回っています [建築物]
1月に続いて5月にも起きてしまった二酸化炭素消火設備事故、事故は防げなかったのか
先日、私の勤務している池袋のビルに東京消防庁池袋消防署の方が来られまして・・・。何故来たというと私のビルの駐車場の消火設備が二酸化炭素消火設備だったからです。
もう皆さんはご理解いただけますよね、2021年4月15日新宿区下落合の満床地下駐車場で天井の張替え工事中に二酸化炭素消火設備が作動したために駐車場に二酸化炭素が充満し、作業員4人が死亡、2人が負傷するという事故が発生してしまいました。
警視庁はこの工事を請け負った建設会社を業務上過失致死傷の容疑で家宅捜査をしています。
実はこのブログでも2021年2月6日に「起こしてはならない地下駐車場でのCO2放出事故」でも港区西新橋の地下駐車場の消火設備点検事故を紹介していますのでご覧になった方もいるのではないでしょうか。
今回事故が起きてしまったマンションは03年2月に完成した地下1階地上4階のマンションで、問題の駐車場は地下に設置してある機械式で、普段は人が立ち入る事は有りませんが事故当日は7人が老朽化した天井の張替え工事をしていました。
麹は二日に分けて行う予定であったとか、工事中に何らかの原因(理由)で消火設備が作動して防火扉が閉まり、作業員が閉じ込められてしまったと見られて捜査が進められているようです。
二酸化炭素消火設備設置の条件
二酸化炭素消火設備は、火災時に二酸化炭素を室内に放出して空気中の酸素濃度を下げる事で消火する仕組みになっています。
消防法や、同法施行令などでは、ボイラー室のような「多量の下記を使用する場所」や通信機器室、普段人が立ち入らない機械式立体地下駐車場などへの設置を認めています。
通知では、二酸化炭素消火設備の設置場所付近で工事などを行う場合には、
1)消防設備士又は消防設備点検資格者が立ち会って監督し、安全対策を管理できる体制を確保する事
2)消火剤を放出品様に閉止弁を占めると云った措置を講じてから工事などを開始する事
の2点を徹底して安全を確保するよう求めています。
事故時に現場に到着した東京消防庁が測定した所20%を超える濃度の二酸化炭素がが検出されたそうです。
この数字は通常の空気中の数百倍に当たり、10%以上になると数分以内に意識がなくなり、放置すれば死に至ることも有るのです。
地下駐車場では作業員らが消火用の二酸化炭素ガスを吸い込んで死亡する事故が最近、相次いで起きています。
ではなぜ、そんな危険な消火設備を使用するのかと云いますと、「自動車のガソリンに引火した際の消火に効果的なために地下駐車場に設置されることが多い」、また消火設備で安全性が高いと言われる窒素やハロンなども有りますが、ボンベの数が増えてコスト高になってしまうのです。
またフッ素系の薬剤を使用する「泡消火設備」では消火後に車両に付着した泡(産業廃棄物のため残処理が必要)が落ちにくいなどの難点もあるため、二酸化炭素炭素を放出するタイプが増えているのです。
この様にに脱炭素社会が叫ばれている中で、コスト面だけを考えた二酸化炭素消火設備が身近な地下駐車場などで使われている、その為にも二酸化炭素の安全対策の見直しが求められています。
東京消防庁二酸化炭素消火設備取り扱い方指針
令和三年4月、新宿内の機械式地下駐車場において、二酸化炭素消火設備の消火剤が誤って放出され、死者4名、負傷者2名を出す事故が発生しました。
皆様の建物で同様の事故が発生しないよう次の事項にご注意ください。
工事を行う際には、事前に管轄消防署に相談してください。 1 工事・メンテナンス等
二酸化炭素消火設備が設けられている付近で工事やメンテナンスを行う場合には
① 二酸化炭素消火設備を熟知した消防設備士や消防設備点検資格者を立ち会わせ、消火剤が放出されない措置を講じた上で工事を開始するなど作業時の安全を確保する。
② 関係者以外の人が立ち入らないように管理を徹底する
2 建物利用者等への周知
防火管理者や自衛消防隊員、二酸化炭素消火設備設置場所の利用者に対して、設備の適正な取り扱い方法、作動の際の対応方法、避難方法、二酸化炭素の人体に対する危険性等について周知する。
3 消火設備作動時の対応
二酸化炭素消火設備の消火剤が放出された場合には、すぐに119番通報をして、放出場所に人を立ち入らせない。
(東京消防庁パンフレット原文のまま転載)
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
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寒地土木研究所 雪崩に関する基礎情報
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先日、私の勤務している池袋のビルに東京消防庁池袋消防署の方が来られまして・・・。何故来たというと私のビルの駐車場の消火設備が二酸化炭素消火設備だったからです。
もう皆さんはご理解いただけますよね、2021年4月15日新宿区下落合の満床地下駐車場で天井の張替え工事中に二酸化炭素消火設備が作動したために駐車場に二酸化炭素が充満し、作業員4人が死亡、2人が負傷するという事故が発生してしまいました。
警視庁はこの工事を請け負った建設会社を業務上過失致死傷の容疑で家宅捜査をしています。
実はこのブログでも2021年2月6日に「起こしてはならない地下駐車場でのCO2放出事故」でも港区西新橋の地下駐車場の消火設備点検事故を紹介していますのでご覧になった方もいるのではないでしょうか。
今回事故が起きてしまったマンションは03年2月に完成した地下1階地上4階のマンションで、問題の駐車場は地下に設置してある機械式で、普段は人が立ち入る事は有りませんが事故当日は7人が老朽化した天井の張替え工事をしていました。
麹は二日に分けて行う予定であったとか、工事中に何らかの原因(理由)で消火設備が作動して防火扉が閉まり、作業員が閉じ込められてしまったと見られて捜査が進められているようです。
二酸化炭素消火設備設置の条件
二酸化炭素消火設備は、火災時に二酸化炭素を室内に放出して空気中の酸素濃度を下げる事で消火する仕組みになっています。
消防法や、同法施行令などでは、ボイラー室のような「多量の下記を使用する場所」や通信機器室、普段人が立ち入らない機械式立体地下駐車場などへの設置を認めています。
通知では、二酸化炭素消火設備の設置場所付近で工事などを行う場合には、
1)消防設備士又は消防設備点検資格者が立ち会って監督し、安全対策を管理できる体制を確保する事
2)消火剤を放出品様に閉止弁を占めると云った措置を講じてから工事などを開始する事
の2点を徹底して安全を確保するよう求めています。
事故時に現場に到着した東京消防庁が測定した所20%を超える濃度の二酸化炭素がが検出されたそうです。
この数字は通常の空気中の数百倍に当たり、10%以上になると数分以内に意識がなくなり、放置すれば死に至ることも有るのです。
地下駐車場では作業員らが消火用の二酸化炭素ガスを吸い込んで死亡する事故が最近、相次いで起きています。
ではなぜ、そんな危険な消火設備を使用するのかと云いますと、「自動車のガソリンに引火した際の消火に効果的なために地下駐車場に設置されることが多い」、また消火設備で安全性が高いと言われる窒素やハロンなども有りますが、ボンベの数が増えてコスト高になってしまうのです。
またフッ素系の薬剤を使用する「泡消火設備」では消火後に車両に付着した泡(産業廃棄物のため残処理が必要)が落ちにくいなどの難点もあるため、二酸化炭素炭素を放出するタイプが増えているのです。
この様にに脱炭素社会が叫ばれている中で、コスト面だけを考えた二酸化炭素消火設備が身近な地下駐車場などで使われている、その為にも二酸化炭素の安全対策の見直しが求められています。
東京消防庁二酸化炭素消火設備取り扱い方指針
気をつけて!
二酸化炭素消火設備の誤放出
令和三年4月、新宿内の機械式地下駐車場において、二酸化炭素消火設備の消火剤が誤って放出され、死者4名、負傷者2名を出す事故が発生しました。
皆様の建物で同様の事故が発生しないよう次の事項にご注意ください。
工事を行う際には、事前に管轄消防署に相談してください。 1 工事・メンテナンス等
二酸化炭素消火設備が設けられている付近で工事やメンテナンスを行う場合には
① 二酸化炭素消火設備を熟知した消防設備士や消防設備点検資格者を立ち会わせ、消火剤が放出されない措置を講じた上で工事を開始するなど作業時の安全を確保する。
② 関係者以外の人が立ち入らないように管理を徹底する
2 建物利用者等への周知
防火管理者や自衛消防隊員、二酸化炭素消火設備設置場所の利用者に対して、設備の適正な取り扱い方法、作動の際の対応方法、避難方法、二酸化炭素の人体に対する危険性等について周知する。
3 消火設備作動時の対応
二酸化炭素消火設備の消火剤が放出された場合には、すぐに119番通報をして、放出場所に人を立ち入らせない。
(東京消防庁パンフレット原文のまま転載)
参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
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