SSブログ

帰宅困難者受け入れ態勢が決まらない功罪(2) [防災士]

スポンサーリンク

薄毛は飲み薬で治る時代!悩まないで挑戦してみて下さい

社会貢献を社是に掲げ、社員一丸となって


前回A社の防災への取り組み方をご紹介しましたが、総務部長がたまたま私の友人であったと云うだけで、私が意見を多く述べたわけでは有りません。

あくまでアドバイザーとして相談を受けたことのみに対して受け答えをするだけで、多くは各メンバーが同僚の意見や上司の意見などを私に話してくださり、それに対して防災としての考えを述べただけです。


A社の場合はメンバーが若い方と中間職また管理職の混合となっていましたが、それらの垣根を取り除いて積極的な意見交換を行っていました。

メールでの様々な意見を取りまとめてからの参加で有り時間の無駄がなく、また新型コロナウイルスについても早くから意見交換されていましたので私自身が驚いたくらいです。


若いメンバーが妻夫木聡さん主演の映画「感染列島」を見ていたと言う事で、バンデミックになるかも?と云う意見は2月時点ですでに述べられていましたね。

私の友人は「そこまではいかないだろう!」と当時は話していましたが、現実にはかなり厳しい状況になってしまいました。


さて、続きましてB社ではなくC社の対応についてご紹介したいと思っています。





C社の場合、社長自ら社会貢献に

在館社員200名、6階建ての自社ビル、防災センターは外部委託(24時間監視)、守衛室1名(7:00~19:00まで以降は不在に、外部委託)、1階はエントランス、商品展示場、兼配送センター、2~3階は倉庫・工場、4階~5階営業・会議室、6階は食堂及び総務管理など。


製造会社であり機械設備は自社の人達が管理しており、防災センターの方はどちらかと云うと電気全般と自火報管理、空調とボイラー管理を、人の出入りに関しては守衛室で管理されており、商品配送の受付は配送センターが行っています。

社員人数が少なく、技術者、営業社員、管理部門が混在していますが、社員の連携は密であるそうです。


営業・工場兼務のビルですが出来るだけは協力したいとの事で、意見が欲しいと云われアドバイザーとして参加しました。

社長が社会貢献をしたいとの考えにより対策メンバーを社員公募で決め、配送センターから2名、製造部門から2名営業から2名、総務部から2名選出したそうです。


当初から社是として社会貢献を掲げており、社長もボランティアとして参加するなど有言実行を行っていて、このような会社なら私などに相談をしなくても良いのではと思いました。

きっかけはこのブログを読んで下さり助言が欲しいとの事でしたので浅学である事を、其れでもよければと伝え、それならば私のためになると思い参加した次第です。


最初の会合で社長のボランティア時の話になってしまい、参加者から私にボランティアと帰宅困難者受け入れの違いについて質問がありました。

災害ボランティアは需要と供給のバランスが保たれ、相手がいま行って欲しい要望を行うものですが、帰宅困難者受け入れは同じ無償の行為でありながら発災後にま帰れない人たちに安心・安全である休憩若しくは仮眠出来る場所の提供と云う事です。

東日本大震災時の新宿.jpg



つまり、災害ボランティアの場合は相手の要望に対して作業を相手に代わり行ってあげる事、帰宅困難者受け入れは場所の提供と保温具などや飲食物の提供を最寄りの交通機関や道路などが回復もしくは安全であると確認されるまで受け入れを行う事です。

公共交通機関が運行を停止している中で、大量の帰宅困難者が徒歩等により一斉帰宅を開始した場合には緊急車両の運行の妨げになる可能性が有るなど、応急活動に大きな支障をきたすことが懸念されており、これらは帰宅困難者の一斉帰宅に伴う混乱を回避する事になります。


企業においては、従業員等の安全確保を図るために、従業員等を施設内に待機させることが重要となってきます。

この為には発災時(大規模地震発生時)には、「むやみに移動を開始しない」と云う一斉帰宅抑制の基本原則を徹底する事で、従業員等の施設内大気やそのための備蓄推進、一時滞在施設の確保、家族等との安否確認手段の確保等の取り組みを進めていかなければなりません。






一時滞在施設の基本的な考え方に沿った対応とは

・一時滞在施設の対象となる施設は、都道府県や市町村から帰宅困難者等を一時的に受け入れる事についての指定を受けるか、または協定を締結した施設の全部または一部の区域を基本としています。

・受け入れた帰宅困難者が安全に帰宅開始できるまでの間、つまり原則として発災後3日間の運営を標準としていますが、開設期間はあくまで目安であって発災時の対応は施設や周辺の状況、協定の内容によって異なります。

・帰宅困難者等の受け入れは床面積3.3㎡あたり2人の収容となっていますが、最近では新型コロナウイルスの感染を防ぐためのソーシャルディスタンスの考え方により4㎡あたり1名となるなど複合災害を捉えた考え方になってきています。

・施設管理者は災害発生時の状況に応じて可能な範囲で以下の支援を行とともに、必要に応じ、受け入れ者へ施設運営の協力をお願いしています。

① 施設の安全を確認した後、受け入れスペースに帰宅困難者を速やかに受け入れる。
② 水や食料、毛布等の支援物資を配布する。
③ トイレやごみの処理等の施設の衛生管理を行う。
④ 周辺の被害状況や道路、鉄道の運行状況等の情報収集及び施設滞在者に対する情報提供を行う。
④ 市区町村や関係機関と連携して、高齢者、障害者、乳幼児、妊婦、遠距離通学の小中学生、外国人等のよう配慮者に特に配慮する。


等が主な目的であり課題なのですが、B社においては社員全体の意識が高く、当初月2回の会合が仕事終了後に毎週行われたとの事で、私が週2回程度しか参加できませんでしたが殆どが出来上がっておりましたね。


企業などと連携した帰宅困難者対策|防災環境都市・仙台.JPG



要配慮者と熱などがある方などの部屋分けやトイレ分け、動線が重ならないような仕組み造り等が出来ており、また受け付け等の配慮として当初防護服着用を考えていたそうですが、ソフト面を考えてフェースシールド(マスク着用)のみとし、検温は非接触式、記名に使って頂くボールペンはアルコール消毒をする等を決めていました。


A社と同じように非常用備蓄品は1階と2階、そして従業員用に5階に置かれ、女性従業員でも直ぐに対応できるようにされていましたね。

非常用備蓄品の中に新たに生理用品や女性用簡易トイレ、ペーパー下着類なども用意したそうですがこれらについては男性では計り知れない配慮と云えるでしょう。


会社の規模は小さくても、こちらの会社も従業員安否システムを導入していますので、携帯メールでの確認がすぐに出来るそうです。

特に目を引いたのが誰でも分かる様に、1階と2階に非常時における行動すべきことのポップやセッティングの仕方が張り出されていると言う事です。


本当は写真を皆さんに見せたかったのですが、一部に社秘が有ると言う事でしたので残念ながらご紹介する事は出来ません。



総評:帰宅困難者の立場に沿った対応が目に見える形で出来ている。社員の意識が統一されている事と、女性の立場に立って考え方が成り立ち、男性の協力を得る事でより活動ができやすくなっている。様々な場所でより身近に防災が意識されていて、防災士の資格を取る方が数人いるとの事です。



大規模地震対策に伴う帰宅困難者取り組み対策事例集(内閣府・防災担当作成)


身近な取り組み対策として、内閣府(防災担当)が作成した各自治体などの事例がありますので、参考にして活用されてはいかがでしょうか。







参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより




スポンサーリンク



スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。