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消防訓練の季節です。(3) [火災時の対応]

事業所において消防署の査察は大切、真摯に受け止め早期の対策を行う事が人命を救う事になる。



事業所の防災センターに勤務していますと、必ずと言って行われる消防署の査察に立ち会わなければなりませんが、内心はドキッとする場面も多々あります。

あれほど従業員に注意を促しているのに何故ここに段ボールが、機材が置いてあるのか??まして、こんな日に限って・・・・これも私たち防災を管理する側からの従業員などへの注意喚起が足りない、周知徹底がされていない訳で、特に外国からの来日勤務者への説明不足が最近では目立っているのが現実です。


かと言って、只手を拱いている訳には行きませんのでそれ等にも対応出来るようにして行かなければ、もしもの場合に多くの人命を失ってしまう結果になる事も考えられますので早期の対策が必要になります。

勤務者に合わせたポップ作成や案内板の設置などの改善、社内に置いての防災セミナー等においての周知を図る等、環境への対応をお願いしておくことで協力を得られるようにして置くことが大切なのです。



「査察あるある」は危険

消防査察について、大規模な事業所になりますと毎年、その他の事業所でも数年毎に、管轄の消防署による消防設備及び消火施設に関する査察が行われます。

チェックされるポイントは、避難通路に於ける避難障害、スプリンクラーの可動範囲内での散水障害、間仕切りで囲われた小部屋における煙感知器の未警戒区域のチェック、避難誘導等が適切に目視できるかのチェック、その他にも、消火器の適正配置や屋内消火栓の扉の開閉障害とホースやノズルのチェックが行われます。


指摘された事項については、然るべき時期に是正を行いその結果を消防署に報告する事になります。

査察が実施されるので、慌ててキャビネットの上に置いてある物品を片付け、査察が終了すると元に戻すことがよく行われる、「査察有るある!」は分からないでもありませんが実際には危険な状態である事には間違いではなく、一度是正したら、継続されるよう、防火担当者は努力すべき事項であり暗黙の了解によって多くの人命を失うかもしれないのです。




物を置くところがない

避難障害について通路上、特に避難誘導等が設置してあるでは入り口に向かっている通路上に段ボール箱や備品などが置いてあり、それらを避けながら出ないと出入り口に行けない場合「避難障害」として改善が求められます。

基本的に、通路上に物が放置されている状態は避けるべきであり、避難階段やその踊り場、避難階段に通じる扉付近に物が置いてある場合は、量の多少に係わらず全てを除去すように指摘されます。

避難障害.jpg


物があっては避難階段の扉が開けにくいとか、階段、踊り場に物を置くことは絶対に避けるべきなのです。



部屋を仕切り分けし活用したい!

散水障害とは180㌢以上の高さのあるキャビネット上に置いてある段ボール箱や書類によって、または後から施行して取り付けたパーティションにより、消火用のスプリンクラーが十分に機能しない(それらに遮られ、水が予定している場所に届かない)場合、「スプリンクラーの散水障害」として、それらの除去、あるいは撤去、スプリンクラーの増設が求められます。

基本的には、キャビネット上には物を置いてはなりませんが、特にスプリンクラーが近辺にある場合は絶対に行い事です。

散水障害.jpg


新たにパーティションを設置する場合は、その近辺にスプリンクラーがある場合、欄間を必ず開けて水の動線を確保しましょう。

それでも欄間を閉じたい場合は、或いは欄間を開けているものの、角度によりパーティションが水の動線を妨げてしまう場合、水が遮断されてしまう側に新たにスプリンクラーを設置しなければなりません。

天井裏の水道管を引き回すため、簡単では済まなくなるばかりではなく思いがけない経費も掛かる事になります。



煙感知器の未警戒とは、事務室の一角に完全に期間をふさいだパーティションにより、小部屋を作りその部屋の中の天井に煙感知器が無い場合は、その小部屋では火の手を感知できなくなります。

このような場合「煙感知器の未警戒区域」として、パーティションの欄間開け、もしくは小部屋に煙感知器を設置されるよう指摘されます。

このような小部屋を作りたい場合、既存の煙感知器を取り込むように、小部屋を増設する事が望ましいですね。





飾り付けや物で、避難誘導灯が見えない

避難誘導灯について、避難誘導灯はそれらが設置されているフロアからは、どこからでも見えるようにしなければなりません。

背の高いキャビネットやパーティションの設置、或いは営業会社でよくみられる垂れ幕等により、一部の場所で避難誘導灯が見えなくなるような状態は指摘事項となってしまいます。

間仕切り煙感知器、スプリンクラー障害.jpg


例えば、広いフロアですと当然のように上記のような状態が発生してしまう事が多く見受けられるのですが、その場合には誘導灯を増設し、その誘導灯を辿っていく事で避難口にたどり着けるようにする事が求められます。

また、誘導灯が設置してある扉に、コピー機や、その他簡単に移設できない物を設置して、避難口を塞いでいる場合が見受けられるのですが、本来なら、それらの物を撤去して避難口を生かさなければなりませんが、2方向避難の原則にの則って、その他に2つ以上の出入り口が存在するならば、その場合は、むしろ誘導灯を撤去し、避難できない扉に誘導する事の無いように、その他の出入り口に誘導するように誘導灯を設置しておきましょう。


如何であったでしょうか、消防訓練の季節です(1)(2)(3)と長くなってしまいましたが、これ等は我々防災に携わる者として知っておかなければならない事です。

当然ですが防災センターに勤務する者としては物品の移動や部屋の増設時には、意見を述べたりお願いをしたりしなければなりません。


多くは、総務や営業が報告もなしに独自に行っている所がありますが、建築基準や消防・防火基準と照合して行っていれば問題はないはずです。

請け負う工務店や建築会社の方々熟知してますので、届け出等は行ってくれていると思いますが。その後管理については防災センターが妥協のない仕事をすればよいだけです。


消防訓練の季節です(1)では、法的義務、計画書、実施時期、実施時間等を述べさせて頂いております。

消防訓練の季節です(2)では、サイレンや実施のポイント、避難のポイント、訓練の確認点などについて述べさせて頂いております。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページ
環境省 人とペットの災害対策ガイドライン
長野県諏訪地域振興局 長野県魅力発信ブログ
月間総務オンライン 総務辞典

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企業における震災対応(1) [大規模地震]

企業において地震対応とは、防災センターの職務とは、を見つめ直す。


30年以内に大規模地震が首都圏を襲うのではと云われ続けていますが、首都東京では850万人の人が仕事や観光、遊行を楽しんでいます。

もし、日中にM8クラスの大規模地震が発生したらあなたはどうしますか、企業人として、防災センターに勤務する者として私たちの取るべき行動はどのようにしたら良いのかを考えて行きたいと思います。


防災センターに勤務する立場の者として、また防災士や防災危機管理者として考えて行かなければならい課題があります。

企業の震災対応(防災対策)の管理責任者(防火管理責任者)の基本職務は、地震や風水の発生が予測され、実際に災害が発生した場合は、被害損失を最小限に留め、人命安全のために次のような職務を遂行する事と云われています。


(1)防災組織の編成と運営
(2)避難誘導体制の整備と防砂訓練の実施
(3)予防点検業務
(4)非常用具の点検
(5)消防機関等関係者との連絡

企業向け防災マニュアル.png


防災組織は、自衛消防隊組織を運用しますが、上記については当然の事ですから皆さんは実践していますよね。

避難場所については、一時避難場所(近隣の小中学校)及び、広域避難場所(消防署にて確認)を周知しておくことを忘れずに、そして非常用具は防火用の非常用具を使用します。

また、地震の震度を段階に分け、それぞれの段階における地震発生時対応及び、地震後の救護と点検項目を整理しておきましょう。




防災訓練について

防災訓練は通常の消防訓練に以下の事を追加して行う事がおすすめです。

(1)出火防止訓練・・・火気の使用を禁止し、ガスの元栓を閉鎖。
(2)初期消火訓練・・・防火訓練と同様とし、地震時は同時に数か所からの出火を想定。
(3)避難誘導訓練・・・地震規模・被害が大きいと想定した場合、業務を中止し速やかに従業員を避難場所に誘導。
(4)救護訓練・・・・・負傷者を救護する訓練。

等ですが、消防署と相談する事で様々なより実践に近い訓練を行う事が出来ます。

日常の管理.png


事務所内の各フロア整理整頓は、良好な就労環境を維持するばかりではなく、地震発生時における転倒を防いだり火災の延焼を防ぐうえでも重要であり、普段からの整理整頓を心掛ける事を周知させると共に定期的に広報等で促し実施して頂けるようにしましょう。

(1)保存書類の地下倉庫保存。
(2)キャビネット上の物品除去。
(3)廊下、通路、階段の物品除去
(4)ロッカー、キャビネット、自販機転倒防止措置
(5)窓ガラスの飛散防止措置。
(6)掲示物の落下防止措置。
(7)火気器具からの出火防止措置。

これ等は設備保守管理者に確認して頂き、不備が見つかった場合には早期改善勧告をすることをお勧めいたします。

また、地震時のための非常用物品として、飲料水、非常食、医薬品、懐中電灯、ラジオ、拡声器、救出器具(機材)等を各フロアーに設置したり、または保管場所を別途に定め、定期的に点検しておきましょう。




地震発生時の基本対応・方針とは

地震発生時には、事業所内の建物の管理や残留社員の安全管理及び避難誘導、建物自体が一時避難所になっている場合はその対応などに追われますが、以下の対応の基本方針に基づいて行動する事が大事です。

(1)社員とその家族をはじめ、近隣住民を含めた人命の尊重を最優先とする。
(2)顧客優先を基本とし、顧客を通じて企業の社会的責任を遂行する。
(3)会社の資産・情報を保全・管理し企業の存続基盤を確保する。

地震発生時における従業員の取るべき行動はパターン別に整理しておきましょう。

次に述べることは参考例ですが、企業独自に合わせたパターンを作成し訓練をしておくべきですね。


【Aパターン(震度1~2)】人体に感じる以外は特に影響はなし。

◎ 地震発生後、しばらく様子を見て、揺れがその程度で収まれば特に避難はしません。
  火気の使用は直ちに中止しましょう。

【Bパターン(震度3~4)】建物が大きく揺れ、不安定な物が落下する。

◎ 屋外に飛び出さないよう制止する。
  火気の使用は直ちに中止し、エレベータの使用を制限します

「Cパターン(震度5~6)」建物が激しく揺れ、歩行が困難。

◎ 揺れが続いている場合、下記の使用は直ちに使用中止し、エレベーターの使用制限、建物外への飛び出しは安全が確認されるまで制止すること。

◎ 緊急避難時には組織的な誘導指揮は無理なため、近くの社員と協力し合い避難を行いましょう。

◎ 揺れが静まった場合、事務所内の負傷者の救護、エレベーターに人が閉じ込められている場合には保守会社に連絡をしましょう。

地震発生時のエレベータ.jpg


慌てずに行う事が大切ですが、実際にはなかなか無理がありますのでその為にも最低限の行動をパターン化し、訓練する事が大切なのです。

みんなのFX


地震後の救護と点検について

地震発生時の対応は自衛消防隊組織を運用し、従業員の初動措置は全員が組織的な行動をする事が大切なのです。

突然の地震の場合は、その場での対応が重要であり、誰でもリーダとしてリーダーシップが発揮できることが重要なのです。


パニックを防止するためにも、自衛消防隊を主体として冷静に組織的な行動をとり、憶測で情報を流さない事です。

地震後の救護と点検は下記の通りとなりますが、他にも事業所内で必要と思えることを追加してください。

(1)負傷者の救出、救護・各室内を点検し負傷者や閉じ込められた人がいないかの確認及び救出にあたる。
   負傷者の救護をすると共に救急車の手配、状況によって必要な場合には公共機関に救護を要請する。
(2)設備の点検・電気配線器具及び配線器具の以上、停電箇所、ガス漏れ等の被害状況を確認し、被害状況を必ず写真に収める事とします。
(3)オンラインの点検・システム機器は、作動確認し、開通しない場合はシステム担当に報告をする。
(4)そのた・その他業務を実施するにあたっての問題個所の点検をする。 

如何でしょうか、ここまでが防災センター勤務者や管理者が行うべきことを紹介させて頂いていますが、実際に行動できるかは各事業所内での訓練次第になってきます。

多くの社員の命を、そして家族を守り、近隣住民への対応、企業人としての責務、また企業としての責務を、企業が動かなければ経済の復旧、市民生活の復旧が遅れてしまいます。


企業における震災対応(2)では、緊急対策本部の設置、及びその役割について深く掘り下げて紹介してます。

企業における震災対応(3)では、安否確認、行動基準、出退社判断についてを紹介しています。






参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
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タグ:自衛消防隊
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企業における震災対応(2) [大規模地震]

大規模地震が発生した時、我々企業人の対応の仕方とは


今までにも過去に対応の仕方を述べてきましたが、今回紹介するのは分かりやすく述べられている対応法ですので、このブログを見ていらっしゃる方にも参考になると思いますので、企業としての一考として見て頂ければ幸いです。

防災についてのHOW TOについて述べられている物は数多くありますが、これから紹介する物については私自身が防災センターに勤務していた時に大いに参考にさせて頂きました。


我々企業人は、大規模地震が発生し、自社に多大の被害が発生した場合、もしくは発生が予想される場合に於いては、全社横断の緊急対策本部を設置して対応する事になりますので、これからご紹介していく事が大変役に立つのではないかと思います。



緊急対策本部の設置について

企業に勤める対策本部設置委員や総務、もしくは防災管理責任者は防災センターに勤務する者を含め、緊急対策本部を即座に設置し、対応する事になります。

さらに、交通機関が途絶した場合でも容易に本社に辿り着ける非常招集メンバー等を任命しておき、緊急対策本部を設置する以前に情報収集を中心に活動をさせておくと、その後の措置が円滑に進むと言われています。

企業における緊急対策本部設置.jpg


非常招集メンバーの集合基準としては、震度5以上の地震が本社所在地、または事業所所在地、従業員の居住地で発生した場合に、自動的に本社に出社できること、またやるべき事項としては、緊急対策本部設置までに可能な限り下記の情報を収集しておくことです。

(1)被災地の特定

(2)各部・各店舗からの安否確認のまとめ

(3)本部・店舗建物設備の被災状況確認

(4)被災地域周辺状況の情報収集


また、緊急対策本部には、情報収集及び整理を担当する本部事務局、広報担当、社員救援担当、事業所支援担当等を設置しましょう。


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本部事務局の役割とは

本部事務局、緊急対策本部に於ける本部事務局の役割を明確にしておくことが大事です。

また、役割において円滑に動くようあらかじめ要点が纏められている災害時用書式様式を用いる事で、より分かりやすく記載・伝達する事が出来ます。


(1)対策本部事務局・各担当官調整
・ 対策メンバーへの連絡、招集
・ 対策本部の設営
・ 連絡手段の確保(直通電話・携帯電話)
・ 対策本部での必要機材、備品等の準備及び調達
・ 対策本部の食料、飲料水及び炊飯用具の調達

(2)情報収集
・ 被災地域周辺5kmの状況把握
・ ライフライン状況(電気・水・ガス・電話)
・ 指定避難先と緊急物資の到達状況
・ 火災発生時の二次災害の危険性把握
・ 緊急物資確保前・道路状況の把握

(3)建物被災状況把握
ライフライン途絶状況確認・本社機器設備、建物躯体確認

(4)建物緊急対応指揮・危険個所の発見と立ち入り制限

(5)建物復旧作業・修理業者への修理依頼

企業向け防災マニュアル.png



以上が役割となりますが、作業分担を明確にする事とともに、必ずしもメンバー全員が集まるとは限らない為、一人で複数の作業をする事になるかも知れません。

その為にも事前に行わなければならないことを明文化しておくことで、担当者が来れなくても素早い対応が出来る事になります。



免許合宿ライブ



広報担当、緊急対策本部における広報担当の役割について

(1)マスコミ対応・プレスルームの設置・広報担当の一元化・定期的な概況説明・被害実態と復旧作業の記録について
昨今のマスコミ対応については、マスコミ側の判断によって発表内容が切り貼りされ発信する側の真意とは違うものになっている場合も有るかも知れません。

それでもマスコミ発表内容に関わらず、従業員・従業員家族や地域住民など社会に正確に発表し続ける事で、発信する側としての責任対応が求められます。

(2)取引先対応・取引先被害状況の把握・当社復旧の見通しの連絡

(3)社内対応・社内向け緊急情報センターの設置
・ 社員被災状況の照会
・ 行方不明者の照会
・ ライフラインの復旧状況広報
・ 罹災証明取得方法照会
・ 事業所営業に関する復旧情報照会




緊急対策本部における社員救援担当の役割について

(1)社員の被災状況総合把握・安否確認の集計及び最終確認
・ 指定避難先の把握
・ メールなどのSNS機能を利用した安否確認サービス等の集計

(2)被災社員日常生活回復支援・緊急支援物質調達
・ 宿泊を含む避難体制構築
・ 近隣ホテル予約
・ 寮や社宅等の自社物件の開放
・ 公的災害援助活動の把握

災害復旧計画の具体的手順.jpg




緊急対策本部における事業所支援担当の役割について

(1)事業所被災状況の把握・被災地域を特定し、該当事業所の状況確認

(2)被災事業所の緊急対応・復旧作業・各事業所での避難状況の把握・通信手段の復旧・設備、OA機器の修理依頼

(3)経営資源の緊急再配置・販売商品供給の見直し・出社可能人員の振り分け


如何でしたでしょうか、企業が震災時に対応する事が列挙されていますがこれらが全てではなく、その時その場での臨機応変さの対応が求められるのではと思います。

いつ起こるか分からない大規模震災ですが、いつ発生しても我が社は大丈夫と云えるほどの準備をしていても、その時にならなければ分からないことが有るのは当然なのです。


その為にも数度となく訓練をして、作業を含め必要書類等の見直しを図る事が求められます。



企業における震災対応(1)では、防災組織としての運営や訓練、事業内の整理・整頓・救護・救援、基本対応などについて紹介しています。

企業における震災対応(3)では、安否確認、行動基準、出退社判断についてを紹介しています。







参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
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企業における震災対応(3) [大規模地震]

大規模地震発生時においての従業員の安否確認、そしてその後の判断によって企業感が問われる


もし大地震が今おきてしまったら、私たちは何をしたら良いのでしょうか、会社は私たちの生活を守ってくれるのでしょうか。

そんな不安を抱いている方もいらっしゃるはずです、しかし企業としての使命は多くの従業員の生活を守ること、そして企業として社会のために貢献していかなければならないと言えるでしょう。


今コロナ禍でも生活のために企業は経済を回さなければ、多くの従業員の生活をまた一般市民の生活をも脅かすことになってしまいます。

大地震の時も同じで、復旧だけに力を入れているばかりではなく社会を、生活を活性化させる為にも企業は早急に稼働していかなければならないのです。




地震発生時における社員の安否確認

私たち企業に勤める者として大規模地震(震度4以上)が起きた場合に、会社からの安否確認、家族への安否確認が求められます。

安否確認は、震度4以上の場所で働いているもしくは居住している者を対象とし、対象者は自社の役員・全従業員、パート・アルバイト・嘱託・内定者とします。


(1)安否確認原則・・・必ず誰かに連絡する事

・ 大きな揺れ(目安としては震度4以上)を感じたら必ず安否確認を行う。
・ 被災地域居住者より連絡を行う、避難した場合は避難先から連絡をする。
・ 直上司に連絡、連絡が付かない場合ににはその上司、最後は本部に連絡をする。

企業における安否確認.jpg


(2)管理者の行動基準(係長・課長クラス)について

・ 被災地域を把握し、管轄部署の社員のうち誰が該当するか確認する事。
・ 基本的には連絡を待つが、連絡がない場合は自ら確認作業に入る。
・ ある程度情報収集が出来た段階で、上司へ自分の状態を含めて報告をする。
・ 上司へ連絡が取れない場合は、その上の上長若しくは緊急対策本部へ状態を報告する。
・ 引き続き連絡が取れない者の安否確認は、現地調査も含め最後まで続けること。


(3)管理職者の行動基準(部長クラス)について

・ 被災地域を把握し、管轄部署の社員のうち誰が該当するか確認する。
・ 係長、課長若しくは一般社員からの情報を纏め緊急対策本部へ連絡をする。


(4)一般社員の行動基準について

・ 大きな揺れを感じたら必ず直属上司に安否確認連絡をする。避難した場合には避難先から行うものとする。
・ 直属上司に連絡が取れない場合には、その上の者へ連絡をする。最後は緊急対策本部へ連絡をする。


ここまでが全社員が取る行動なのですが、会社に緊急対策本部が立ち上がっていてこそ稼働するようになっています。

その為にも緊急対策本部を早急に立ち上げなければなりませんが、会社から最寄りの交通機関が途絶したとしても自発的に30分以内(あくまで目安)に会社へ容易に駆け付ける事が出来る社員をメンバーとして任命しておくこと、また設置前から情報収集を中心に先駆けて行わせておくことが大切と云えるでしょう。


スイッチBiz




ライフラインの確認、被害状況の確認をする

状況確認は本社建物やその周り、被災地域の事業所建物やその周辺等の状況が求められます。

(1)本社建物・設備確認

(2)ライフラインの確認(電気・ガス・水道・通信設備・交通機関)


首都直下型地震によるライフライン.png



(3)事業所建物・設備確認

(4)周辺状況確認:被災地域の周辺5㎞の被害状況把握(自転車、社有車等で確認する)

・ 被災地域のライフラインの被害状況の把握(電気・ガス・水道・通信設備・交通機関)
・ 指定避難先と緊急物質の到着状況の把握
・ 火災発生等の二次災害の危険性把握
・ 緊急物資確保先(コンビニ・スーパー等)
・ 補給物資や応援人員確保のための道路状況の把握


ここで取り上げられている通信手段の確保ですが、携帯電話等は多くの方一斉に利用するため輻輳状態になり電話が繋がりにくくなってしまいます。

東日本大震災時の時も同じ状態が長く続きましたが、その時に繋がりやすかったのが公衆電話での通話でした。


最近の震災時には、災害伝言ダイヤルの活用や災害伝言掲示板の活用にとって多くの方の安否確認が行われています。

また、多くの企業は身近な携帯電話を利用したメールやSNSを活用した安否確認サービスを利用しているようです。


免許合宿ライブ



出退社判断、及び台風などの接近時対応について 

出退社判断について本社や事業所、またはその周辺に甚大な被害が発生した場合の出社・退社について次のように求めている所が多いようです。

◎ 本社や事業所、またはその周辺に於いて甚大な被害が発生、またはこれから起こる可能性が有るとみられる場合において、緊急対策本部の指示がある場合にはその指示に従う。

◎ 出社・退社の判断に際しての注意事項としては、家族又は自宅に甚大な被害があった場合はその対応などを優先とする。

◎ 帰宅に際して、帰宅経路の安全などに十分に配慮する。

◎ 帰宅する事が困難な場合は対策本部の指示に従う事とする。

災害時の出社・退勤判断.jpg



台風時接近対応について、台風の接近が予想される場合にはまず気象情報の収集が必要となりますが、それには精度の高い情報を気象庁、マスメディア、電話サービス、新聞社、消防署或いはネット等より入手しましょう。

最新かつ精度の高い、地域で発表される情報を重視する事が大切です。


社内での予防措置としては各部の協力を仰ぎ、万全の態勢を整え、保守会社と建物維持について調整する事と重要物件(契約書・有価証券等)の保管場所の変更、交通機関の運行状況の確認と代替え手段の検討、及び長時間(長距離)通勤者、危険地域・交通不便地区からの通勤者の帰宅指示や宿泊先手配などが必要となります。

災害が発生した場合には、従業員の安全確保を最優先に行動し、被害が拡大しないよう最大の努力を払う事が求められます。


防災管理責任者は従業員安全確保から業務の継続が困難と判断された場合には、関連各部署と協議のうえ、業務を中止し、危険地域、交通不便地区からの通勤者に帰宅指示を、また帰宅不能の場合は宿泊の手配を行います。



以上、企業における震災時対応について(1)(2)(3)でご紹介させて頂きましたが如何だったでしょうか。


私の場合、2019年9月16日(当時、東京都中央区日本橋勤務中)に発生した台風19号が関東地方を直撃し甚大な被害が生じる可能性が高いと判断され、防災センター勤務者の多くがホテルに宿泊しました。


15日の勤務明け後、そのまま設備対応に追われ、午後からホテルに移動し、翌朝に勤務先に出社し設備機器点検や建物やその周辺、躯体確認等に追われたのが思い出されますね。

前日まで殴りつけるような雨風でしたが、予報円から台風が外れてくれた為に甚大な被害が発生しなくてよかったとスタッフ一同胸をなでおろした次第でした。




企業における震災対応(1)では、防災組織としての運営や訓練、事業内の整理・整頓・救護・救援、基本対応などについて紹介しています。

企業における震災対応(2)では、緊急対策本部の設置、及びその役割について深く掘り下げて紹介してます。






参考文献および資料
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避難所と避難場所との違いは [避難所運営]

意外と知らない避難所と避難場所の呼称と役割とは


日本全国どこにでもある避難所と避難場所、其れは公園や公民館であったり、または学校のグランドや神社やお寺など、様々な場所で看板を見ていると思いますが、実際にはどのような災害にあった時に、どのように利用するのでしょうか。

私たちが延焼火災や震災にあった時に避難する避難所や避難場所とは?いったいどの様な場所を指すのでしょう、これが意外と知っている人が少ないのです。


そこで、このブログ内では改めて「避難所」「一時(いっとき)避難所広域避難場所について、そして災害対策基本法に基づく避難措置について紹介していきたいと思っています。


避難に関する仕組みについて

知っているようで知らない避難所や避難場所について、標準的な呼称とその役割について紹介しますね。

(1)避難所

災害によって住宅を失うなど、被害を受けた人や被害を受ける可能性が有る人が、一定の期間避難生活をする場所を言います。
 具体的な施設としては、小・中学校や公民館など公共施設が多いです。

(2)一時(いっとき)避難場所

延焼火災などから一時的に身を守るために避難する場所で、地域の集合場所的にな意味合いもあります。
 具体的な場所としては、学校のグランド、公園や神社など、非カウ的規模の小さなオープンスペースなどが多いですね、一時避難場所が危険になった時には、さらに規模の大きな広域避難場所に集団で避難する事になります。

(3)広域避難場所

地震などによる火災が拡大して地域全体が危険になっと時に避難する場所で、その大きさは火災の輻射熱から身体を守るために概ね10ha(ヘクタール)以上が必要とされています。
 具体的には大規模な公園や団地、大学などが指定されていますが皆さんも下記の図を見たことが有るのではないでしょうか。

広域避難場所.jpg


地震や風水害、或いは津波など、災害の種類によって避難場所の指定が異なっているケースもありますので、普段から避難場所の位置を調べておくと良いでしょう。

災害ピクトグラム.jpg


上記の図は災害ピクトグラムですが、見た事があるのではないでしょうか、市町村など地方公共団体ではこれらを使用して我々に指定緊急避難場所や、指定避難所を教えているのです。





災害基本法に基づく避難措置について

私たちは市町村などの地方公共団体からTVやラジオ、最近ではSNS等で避難指示や勧告が出ますがそれに従わない場合、罰金や罰則などが有るのでしょうか、そんな疑問に答えていきたいと思います。

災害時の避難勧告・避難指示(緊急)は、災害対策基本法第60条第一項に基づいて行われています。


この法律では、「災害が発生し、または発生する恐れがあって、人の命・身体を保護し災害の拡大を防止する事が必要な場合、市町村長が住民などに避難勧告・指示が出来る」と定めています。

この避難の「勧告」と「指示」についてですが厳密な相違はかなり難しく、どちらも被害の危険が切迫してきた段階で実施されるものであって、避難指示(緊急)は特に「急を要すると認める時」に出す事が出来るとされており、避難指示(緊急)は避難勧告よりも強い呼びかけと云えるでしょう。

しかし、いずれも違反した場合の罰則無く、また従わない人への強制力がないという点では共通しています。

つまり、罰則や強制力がないと言う事でそれぞれ市民一人ひとりの判断、いわゆる自己責任によって行動する事なのですが、身の危険を感じる時に「俺は行かない」なんてことが言えるのかはその時のあなた次第です。


当然ですが前述した通り、災害時においては、市町村が出す避難勧告や指示に従わない人が必ずと言っていい程出てくるのが現状だそうです。

避難指示・勧告.jpg


市町村は、避難勧告や避難指示(緊急)の発令にあたっては、気象庁や国土交通省の観測データ、被害状況などに基づいて判断をしているのですが、避難に関する情報を無視する事は極めて危険な行為と云えるでしょう。


但し、避難勧告は発令されましたが、結果として被害が発せしていない場合も出てきますがこれは当然な事であって「だから避難しなくてもよかったんだ」「被害が無かった避難勧告は外れた」等と自ら避難させたことに対して行政に責任を追及する事ではなく、自らの命を守る事に対して過剰に行政依存の状態になっていると言わざるを得ない事を知るべきなのです。

避難勧告や災害情報の限界を理解しつつ、自らの命を守る情報として主体的に活用しようとする姿勢が有れば、避難がたとえ空振りに終わったとしても「被害が無くて良かった、避難勧告が外れて良かった」等とポジティブ(前向き)に捉えられるようになるのではないでしょうか。





自主避難の呼びかけも有る

災害時に市町村では、災害対策基本法で規定される避難勧告や避難指示(緊急)の他に、「自主避難の呼びかけ」を発表する場合もあります。

「自主避難の呼びかけ」は法的に規定されていないものですが、市町村としては避難勧告や・避難指示(緊急)を発令するまでに至らないものの、災害発生の危険が予期され、早目の対応を促す場合に発表することが多いようです。

岩泉町河川氾濫.jpg


したがって、市町村からこのような呼びかけがあった場合には、速やかに災害に備えた対応行動を釣る必要があります。

平成28年・台風10号による水害では、岩手県岩泉町の高齢者施設において、避難準備情報の意味するところが伝わらないと言う事が発生し、適切な避難行動が取られなかったと言う事が有りました。


避難は悲惨な水害などの災害事故を招く前に、人の命が関わる事として一人一人が速やかに判断し行動をとって頂きたいと思います。





参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページ
環境省 人とペットの災害対策ガイドライン
長野県諏訪地域振興局 長野県魅力発信ブログ
月間総務オンライン 総務辞典

より




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