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北陸地方に多くみられる融雪雪崩 [冬山]

冬の1月・2月でも起きる北陸地方の融雪雪崩とは



2021年になってから上信越、東北、北陸等高速道路において大雪による家屋の倒壊の恐れや交通障害が多数起きています。

TVなどのニュースによってご存知の方も多いとは思いますが県の自衛隊派遣要請が行われ、隊員の手によって建物に降り積もった雪の除去や道路上の雪の除去が各地で行われている姿が連日のように放映されています。


自衛隊員の派遣要請は、これは自衛隊員の訓練の一環として行われているものであって、決して便利的な使い方ではないのです。

政治的な思惑が強く出る派遣要請ですが、冬山訓練と人命救助が連立されていると云う考えの行動であり、これ等によって多くの人命が助かっているのですから感謝しかありませんね。 


雪崩はなぜ起きるのかご存知の方は少ないですよね、雪崩の定義とは「斜面上にある雪や氷の全部、または一部が肉眼で識別できる速さで流れ落ちる現象」(日本氷雪学会「雪と氷の時点」から)を指します。

一般的に雪崩は積雪が崩れて動き始める「発生区」と発生した雪崩が通る「走路」、なだれ落ちた雪が堆積する「堆積区」から成り立っています。また雪崩によって堆積された雪を「デブリ」と呼びます。

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除雪管理されている道路は雪崩の発生区ではなく、走路や堆積区にあたり、雪崩発生が交通に大きな障害を及ぼすことも有るのです。

雪崩の起きる構造については雪崩と土砂災害の類似点の中でご紹介しておりますので参考にして下さい。




なぜ北陸地方は融雪雪崩が多いのか?

地滑りが発生する紫因として、地質や地形等が上げられますがいずれの場合も直接的には降雨や融雪、地震、河川の先掘りなどの自然的な誘因をキッカケとして発生しています。

北陸地方においては、これ等の自然誘因の中で、特に融雪水を誘因とする地滑りが多くみられる、と云われています。

北陸地方は寒冷地方と比べて比較的冬季の気温が高い地域での積雪(準寒冷地積雪)であって、寒冷地積雪と準寒冷地積雪では密度、雪温等の雪室や気温、地温、日射量等の気象条件が大きく異なるのです。

融雪雪崩の多くは、積雪後の気温の上昇の時に多くみられ、融雪が急であったり、雨が降ったりした場合に、大雨が降った時と同様な災害、融雪洪水なども発生するのです。


大雪の表面は日中の気温上昇で融け、夜の寒さで固まって氷状態になり、そして、その上に新たな雪が積もる事になるため、新しく積もった雪は滑りやすくなるのです。

北陸地方などの場合は、地温が高いため地表での融雪が見られ地滑りが起こりやすい状態に、その為、融雪と雪崩の他にも地滑りにも注意が必要になります。


地滑りは、山地などで斜面を構成している岩石や土壌が日々の変化が追える程度の速さで(極めて緩慢に)斜面化に滑り落ちる現象です。

土中の粘土(真砂土など)が水を吸うと、一種の滑剤となって地滑りを助長するため、雨下降ったりすると誘発されると言われる所以です。

融雪雪崩.png


融雪の時期には、水がゆっくりと地面に染み込んで、思わぬところで地滑りなどの誘因となる事が有るのです。

その為、大雪の後の気温上昇は、融雪と雪崩に注意が必要ですが、地滑りなどの土砂災害に対しても注意が必要なのです。


雪崩にはすべり面の違いによって「表層雪崩」と全層雪崩」に分けられますが融雪雪崩はそれらを起こす条件が融雪になるものを指すのです。

表層雪崩.png


春先に発生しやすい「全層雪崩」は斜面上の固くて重い雪が流れるように滑り落ち、樹木が少なく、勾配が35~45度の斜面で特に発生しやすいため注意が必要です。

自宅周辺の危険個所の把握や山間部に出かける時には、周囲の様子に注意するなどの被災防止に努めましょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページ
環境省 人とペットの災害対策ガイドライン
長野県諏訪地域振興局 長野県魅力発信ブログ
月間総務オンライン 総務辞典
寒地土木研究所 雪崩に関する基礎情報


より


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