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火災状況の実際 [火災時の対応]

布団の中にタバコが落ち、数時間かけて出火する場合も有る。




前述のブログでは大まかに火災の現実について記述してきましたが、今回はその過程について述べていきたいと思っています。

初期火災期

出火直後の火災状況は、室内に空気が十分にあるために、着火した可燃物の種類や配置によって燃え方が決まります。

寝たばこをしてそのまま布団の上にタバコが落ちて、数時間たってから出火することも有りますし、カーテンのように吊るされている物ですと、天井まで急激に炎が立上がり燃え出すものもあります。


一般的には、ほのおが立ち上がって近くに燃えやすい物がある場合、火源の発熱速度は、時間の二乗に比例した火災成長となります。

火源から立ち上がる高温の煙層が天井に蓄積されると共に、炎によりその温度が上がり部屋全体の温度を上げていくのです。


フラッシュオーバー.jpg

この高温の煙層から火源に放射熱で再加熱されることにより、急速に室内全体へ延焼拡大が進み、その過程でフラッシュオーバーと呼ばれる急速な燃焼が生じることが有るのです。

なお、初期火災において、窓が占められていたりすると、空気の供給がないため、燃焼が緩慢になるのですが、この時期には、不完全燃焼を起こした多量の可燃性ガスが室内に充満していることから不用意に開口部を開けると、急激な空気の流入でバックドラフトと呼ばれる爆発的な燃焼を起こすことになってしまうのです。






火災最盛期

フラッシュオーバーやバックドラフト現象等によって燃焼は急激に拡大した後、室内の温度は約1000~1200℃に達し、室内全体が炎に包まれるようになって、開口部からは黒煙や炎を噴出するようになります。

その後、内部の燃焼温度は800~1000度の高温が長時間持続するのですが、この時の燃焼は、換気支配型燃焼と云って、窓や扉から流入する空気の量によって決まるのです。


火災によるコンクリートの爆裂.jpg


建物の中の可燃物が多くても、開口部が小さいと激しい火炎になる事はなく、その場合は、火災が長く継続することになるのです。

火災が長時間に渡ると、天井の上塗り、プラスターボード等が音を立てて弾け落ちるようになり、場合によっては天井のコンクリートが大きな音を立てて落下し、鉄筋や鉄骨が露出する特異な破壊、(コンクリートの爆裂)現象を起こすことが有ります。







減衰期

建物内の可燃物を燃やし尽くすと、やがて火の勢いは衰え、煙は白色にそして次第に薄くなりこの時室内温度はまだ高温ですが、徐々に低下していきます。

ビル火災は、出火から沈下までの時間が長いのが特徴で、継続時間や最高温度は建築物の規模、構造に影響されます。


火勢は急激に変化する

火勢が一気に拡大する現象としてフラッシュオーバーとバックドラフトと呼ばれる現象がありますが、いずれも火災時に急激な燃焼を伴う現象で、これに巻き込まれると非常に危険です。

一般の火災で厳密にフラッシュオーバー現象とバックドラフト現象を区別することは困難で、両者が時を同じくして発生する場合も有ります。


*注)フラッシュオーバーは文字通り、室内の局所的な火災が数秒あるいは十数秒のごく短い時間に部屋全体に拡大する現象の総称で、物理的に明確な定義は有りません。
現象として、窓からの炎の噴出やその後、短時間における空気不足による黒鉛の大量噴出が特徴です。


バックドラフト現象.jpg


バックドラフトは、空気不足による一酸化炭素等の可燃性ガスが発生するとともに、燃焼による室内温度の蓄積された状況の下、扉など・開口部の開放によって急激に空気の供給が行われることにより爆発的な燃焼が起こる現象とされています。
つまり、燃焼している部屋から外部に吹き返してくる強い気流(ドラフト)がこの現象を特徴づけています。







消火の方法

消火とは一般的に「燃焼の三要素」の全部または一部を取り除くことによって燃焼の継続を絶つことを言います。

冷却消火法

燃焼している可燃物を発火点以下の温度に冷却して消火する方法で、主に水系液体消火剤を用いて行う方法を言います。
消火剤として一般的に簡単に利用する事が出来毒性がなく、気化熱と比熱の大きい水が代表的な消火剤です。

窒息消火法

燃焼に必要な酸素の供給を遮断して消火する方法で、不燃性気体、不燃性泡又は不活性個体を使用する消火方法です。
土砂、布団、毛布等で燃焼を覆ったり、霧状の水膜で空気と遮断する方法も窒息消火の応用と云えるでしょう。

除去消火法

可燃物を除去し燃焼を中断させる方法です。
ガスや油の元栓を止めて燃料の供給を絶つとか、大火災の場合には一定の範囲にある建物や立ち帰島の可燃物を排除して延焼阻止線を作り、燃焼を止める方法です。

希釈消火法

可燃性ガスの濃度や可燃物の組成を燃焼限界がいに薄めて消火する方法です。
アルコール、アセトンなどん模様に水溶性液体に水を注いで薄め、蒸発する可燃性上記の発生を減少させ、燃焼か限界以下にする「液体による希釈消火法」と窒息消火同様に不燃性気体を燃焼している中に注ぎ込み、空気中の酸素濃度を低下させて消火する「気体による希釈消火法」があります。


他にも可燃物の分子が連鎖的に分子を活性化させて酸化反応(燃焼)を起こしている所に酸化反応に直接関係ないハロゲン化物等を加えて連鎖反応を抑制する不触媒消火法も有ります。

水による冷却消火には、窒息効果や希釈効果も働き、空気泡や二酸化た酸素による窒息消火にも冷却効果が働くなど複数の効果が重なり合って相乗的に作用している、と云えるでしょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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