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避難所、新型コロナウイルス感染防止に新たな指針 [避難所運営]

複合災害で備えを促す緊急提言を発表



気象学や災害医学など防災に関連した58学会で作る「防災学術連携たい」(事務局・東京)が、2020年5月1日、新型コロナウイルスの感染拡大と大雨などの自然災害が重なる「複合災害」への備えを促す緊急提言を発表しました。

複合災害については当ブログ内でも、筆者自身が2020年4月21日に「新型コロナウイルス対策で追われる中で、もし大規模災害が起きてしまったら?」の中で意見を述べていますが、早くも多くの方々が同様な意見を持っていたことがうれしく思うと共に、自治体や地域自主防災組織の方々に浸透して頂ければと思っています。


5月の大型連休後あたりから、日本列島は沖縄から順に梅雨入りに入りますが、合わせて風水害による避難報告もされる時期になります。

提言では、住民と自治体に水害時などの避難所での密閉、密集、密接の「三密」状態を避け、ウイルスの集団感染を防ぐための手立てを示したのです。


具体的には、被災者同士が接触しないよう、衝立(ついたて)を設置したり、感染者を隔離する別の建物を用意したりなどの工夫を求めています。

梅雨明け後の猛暑対策も盛り込んであり、熱中症で基礎体力が落ちると重症化の危険性が高まるため、扇風機や空調を用意するよう促しています。


連携体代表幹事の米田雅子・慶応大特認教授(土木・建築額)は「複合災害が生じると、被災者と感染者の両方への対応で医療崩壊が生じかねない」と話しています。







対策を求められる自治体

新型コロナウイルスが流行する中で、梅雨や台風の時期が近付いているだけに大規模災害を想定した避難所での感染防止対策は欠かせません。

専門家は、「感染者の受け入れが最大の課題だ」と話しながらも、感染要望対策が遅れていることを指摘ししてきました。


内閣府などは、可能な限り多くの避難所の開設や感染者への対応を事前に検討しておくことを求める通知を、4月に自治体に発出し、対策の徹底を呼び掛けたのです。

各地の自治体は、感染を防ぎながら避難所を運営できるか?不安を抱えていたのが実情ではないでしょうか。


そこで内閣府などは通知の中で、可能な限り多くの避難所を開設したり、親戚・友人宅への避難検討を周知したりと云った方法で、三密とならない環境を確保するよう自治体に求めています。

また、発熱や咳の症状がある人がいる場合には、専用スペースをもける事を要請し、新型コロナウイルス感染者の発症者が生じた場合に備えて、事前に対応することも呼び掛けています。


避難所の運営に詳しい日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は「もはや想定外のリスクではない」と強調しています。

「設備の整った病院ですら集団感染が発生している。避難所で感染拡大する可能性が有る」と警告し、対策強化を訴えています。





自治体の実際の対応「災害は待ってくれない」

北海道地震で大規模な土砂崩れが起きた厚真町では、2020年3月10日に大雪と融雪で土砂災害の危険性が有るとして、2ヵ所の避難所を開設しました。

受付でマスクを配り、保健師が検温と問診を実施し、異常のある人に移ってもらう別室も用意したと言う事です。

当日の避難者は11人に留まり混乱はなかったそうですが、町の担当者は「人数が多ければ別室での対応も難しく、配れるほどのマスクもない」と話しています。


3月13に、石川県輪島市で震度5強の地震が発生しました、同氏の担当者は「能登半島地震のような規模で有れば、密集は避けられない。できるだけ分散されるよう避難所の数を増やすことも考えなければならない」と語っています。


熊本地震で震度7を記録した熊本県益城町も対応を急がれています、その例として避難所のレイアウトを練り直し、1人当たりののスペースを2平方メートルから4平方メートルに広げるほか、2mの通路幅を確保するよう検討を進めているそうです。

担当者は「目標人数分のスペースを確保できておらず、課題は山積だ」と話しています。


熊本地震や西日本豪雨などで避難所支援に携わった岩手医科大の桜井滋教授は「新型コロナウイルスに限らず病原菌は無数にあり、シンプルな対策を完璧にやる事が大事だ」として、手洗いの徹底を訴えています。

その上で「避難所の感染症対策を自治体に任せるのは難しい」とし、感染制御の専門家チームが避難所を巡回し、柔軟に支援する体制を作る必要があると指摘したのです。


新型コロナウイルスへの緊急事態宣言について、期間延長が5月6日後も行動制限をすべきだとの提言が纏められる中で、これからの季節に対する急がれる対策、政府としても対策を急がれます。

前述してある通り、「災害は待ってくれない」この言葉の重さを我々防災士・各自治体や地域自主防災組織も考えて行かなければなりません。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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