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避難所・仮設住宅の運営について(5)災害食の問題と仮設住宅の暮らし [避難所運営]

食事・栄養の偏りや高齢者、乳幼児・アレルギー患者への配慮が課題に


災害時に食べる食事と言えば「乾パン」「味気ない」「最低限食つなぐための物」というイメージの非常食を思い浮かべますが、近年の災害を教訓をもとに被災後の生命・健康・生活を支える「災害食」の考え方が広まっています。

発災直後は命をつなぎとめるためにとにかく食べる事が重要ですが、食事・栄養の偏りも避難所では大きな問題になっているのです。


避難生活が長期化するにつれて体調維持を考えた栄養のバランスやカロリー方にも気を配ると同時に、食の楽しみを考える事も大切なのです。

食の楽しみは、明日を生きるエネルギーにもなり精神的に支えててくれることも最近分かってきています。

日本災害食学会では、「自然災害によってもたらされる被災生活を支え、健康二次災害の発生防止に役立てる事を目的とし、災害食に必要な条件をを整理し、消費者の商品選択に資すると共に備蓄推進に役立てるために災害食の規格化を検討」し、日本災害食認証制度をスタートさせたのです。


避難所で特に課題となるのは、高齢者・乳幼児・アレルギー患者などの配慮が必要な人への対応です。

高齢者の中には軟らかいものしか食べられない人もいますし、ミルクや離乳食が確保できなければ乳幼児に必要な栄養が不足する懸念が心配されます。

熊本地震の際に、フィンランドから支援物質として液体ミルクが贈られたことで注目を集めましたが、日本国内で2019年に製造が許可されてからは50以上の自治体が災害時の備えに採用しています。


避難所には多くの外国人の人々も避難してきますので、言語や文化、慣習の異なる人々と異なる人々との円滑・良好な共同生活を送る事も考えなくてはなりません。

例えばムスリム(イスラム教の信者)の人々は豚肉・アルコール類をはじめ口にしない食物が多く、イスラム法で許された食品=ハラールのみが食材として使用できるのです。


避難所の食事に関わる人は、前記の食物アレルギー・外国人の食生活について留意したり、専門家の助言を得るように心がけましょう。





在宅避難と仮設住宅の暮らし

首都直下型地震や南海トラフ地震のような広域災害が発生しますと、避難所の収容可能人数を大幅に上回り、膨大な避難者が発生することが予想されます。

したがって、「在宅避難」あるいは親戚・知人宅への「疎開」も視野に入れて準備しておくことも大切です。


在宅避難には大きな留意点が2つあります。

1)我が家の耐震性の向上と安全の確保
地震の第一撃で家屋が倒壊しないこと、余震に対して安全な場所を自力で確保すること。

2)ライフラインや流通が全停止したとしても1週間以上、完全自力で食事・トイレなど日常生活が可能であること



仮設住宅とは

震災などの自然災害で遺影を失った人には、一時的に住む事が出来る「仮設住宅」が必要になりますが、自治体が用意する物(建設型仮設住宅と、自治体が借り上げて家を失った人に供与する借り上げ型仮設住宅の2通り)と個人が自力で作る物とがあります。


応急仮設住宅

応急仮設住宅は、内閣府が所管する災害救助法に基づいて「住家が全壊、全焼または流出したものであって、自らの資力では住宅を確保できない者」を対象に供与するものとされていますが、実際には災害で住宅に困窮している者に対しては所得要件を課していません。

住宅の規模ですが、応急救助の趣旨を踏まえて地方公共団体が地域の実情、世帯構成等に応じて設定(単身用6坪、小家族用9坪、大家族用12坪を参考にします)し、費用の限度額は建設型で1戸当たり(平均)で551.6万円以内、借り上げ型は地域の実情に応じた額とされています。


着工時期は建設型で災害発生の日から20日以内、借り上げ型は災害発生から速やかにとされ、使用期限はいずれも完成の日から最長2年となっていますが、雑賀によっては、特例で使用期限の延長が認められる場合もあります。

東日本大震災では、エアコン、給湯機、ガスコンロなどは建設時に設置され、テレビ・洗濯機などの家電製品は日本赤十字社から寄付されました。


一般的に、建物の建設は県、用地の確保と入居者の公募・管理は市町村の分担で行われます。

個人で作る仮設住宅は「自力仮設住宅」と呼ばれていて、自力仮設住宅は応急仮設住宅と違い、法的な担保はなく阪神淡路大震災では神戸市内に約5000棟が建設され、東日本大震災の被災地でも相当建設されました。


仮設住宅は、阪神淡路大震災、新潟県中越地震ごろまでは被災後新たに軽量鉄骨を骨組みとするプレハブ建築を建設・供給する(建設型)ことが主流でしたが、東日本大震災以降から「家の形」が大きく変化してきています。

一つは構造的な変化で、木造で建築されるのもの増化が見られまたコンテナを活用された物やトレーラーハウスの活用も見られるようになりました。


もう一つは、既存の民間賃貸住宅をそのまま借り上げて、「みなし仮設住宅」として供給すると云うもので、東日本大震災。熊本地震では建設型よりも総戸数は上回りました。

このみなし仮設住宅は建設型仮設住宅よりも居住水準が高いなどのメリットがある反面、ばらばらに住むことにより入居者が情報過疎に陥りやすい等のデメリットがあります。


今後において、被災市街地内に設けられる仮設市街地が復刻の拠点になるという考え方の重要性は変わらず、その復刻拠点と各地に分散するみなし仮設住宅や広域避難者との連携を密にして、ともに復興を目指すことを追求していく必要があるのではないでしょうか。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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復旧と復興の考え方の違い、義援金について [防災対策]

災害対策は①予防、②応急、③復旧・復興という時系列的(防災対応サイクル)考えたで示される



私たちが災害にあったなら、いいえ災害に会う前から予め行っておかなければならない事が有るのです。

それは、災害対策基本法や防砂基本法計画法などで示される防災対応サイクルに基づいた行動をとる事です。



防災対応サイクル

1)予防
予防とは、これまでの被災経験から得られた教訓をもとに、被災を防ぐ対策を予め行っておくことで、例えば、食料品や飲料水、医薬品の備蓄や家屋の耐震化等がこれにあたります。

2)応急
応急とは、災害被害の発生に対して、取り敢えずの対応措置を取る事であり、例えば被災者に対する炊き出しや負傷者に対する応急手当、仮設住宅の建設や仮設橋の建設等がこれにあたります。

3)復旧・復興
復旧・復興とは、「被災した物を元の状態に回復させること」であり、例えば、負傷者に対する本格的に治療や住宅の修理や建設、ライフラインの回復等がこれにあたります。


阪神淡路大震災を契機に「復旧」と「復興」分ける考え方が強くなっていましたが、「復興」に関する定義は明確にされていませんでした。

しかし、復旧が「元の状態に回復させる」との「原型復旧」の考え方に対して、「復興」は「単純に元の状態に回復するだけではなく、新しい価値や形態を盛り込んだ再生を図るもの」という考え方が含まれているのが共通の認識でした。


「東日本大震災復興基本法」が制定の経験を踏まえて「大規模災害からの復興に関する法律」において、「生活の再建及び経済の復興を図ると共に、災害に対して将来にわたって安全な地域づくりを円滑かつ迅速に推進すること」が基本理念として示されましたが、その内容は、復興推進に係る諸手続きの簡素化・緩和化が主であり、東日本大震災における生業復興等に関する特別措置等の盛り込みはされていません。



災害救助法の目的

災害救助法はその目的に「災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかったもの(罹災者)の保護と社会の秩序の保全を図る事」を掲げており、その実施は都道県知事が行い、市町村長がこれを補助することになっています。

2018年に災害救助法が改正、2019年4月から施行されましたがその中で、仮設住宅の供与や避難所運営などの権限を都道府県から政令市に移すことが可能となり、都道府県は指定した以外の市町村での救助活動に注力できるようになりました。







適用基準とは

この法律を適用する災害の規模に関しては施行令が定められているのですが、その基準は「市町村の人口規模に応じた一定数以上の住家の減失がある場合」、とされています。

例として、人口規模が5000人未満の町村の場合、住家減失数が30世帯を超えた場合に適用されるのです。(半壊・半焼世帯は2世帯を、床上浸水世帯は3世帯を持って、1世帯の減失と算定)


上記の他にも一定基準を超える特別基準による支援が出来るとされ、現物支給を超える金銭支給さえ認められているのですが、これらの運営については、被災の状況に応じて柔軟な対応が必要です。

多発する災害、生活文化や成り立ちの異なる地域での広域災害など、一般基準のみでは対応できない状況を鑑みるとき、積極的に特別基準の検討と適用が関係者に求められます。




義援金と救援物資

義援金は大きな被害が出た自然災害や事故に際し、被災者やその家族のために募集された善意の寄付ですが、原則公的な受付期間によって処理されます。

その受け入れや配分の具体的内容については、厚生労働省の防災業務計画や地方自治体の地域防災計画に定められています。


1)義援金は、日本赤十字社と共同募金会が中心となって受け付け、その配分は、配分委員会が決定し給付します。

2)被災都道府県・市町村は、義援金について、支援関係団体で構成する募集(配分)委員会を組織し、義援金総額、被災状況などを考慮した分配基準を定めると共に、報道機関などの協力を得て、適切かつ速やかに配分を行います。

3)厚生労働省社会・援護局は、義援金の募集・配分に関し、助言などの必要な支援を行います。
なお、義援金については、税制上の優遇制度は有りますが、これは税関係法の適用を受ける事になります。

4)被災都道府県・市町村は、国民、企業からの救援物資について、被災者が必要とする物資の内容を把握し、報道関係などを通じて、迅速に公表することにより、受け入れ委の調整に努めなければなりません。


纏めとして義援金については、上記に記しているように税関係法の適用を受けるために、生活保護を受けている方の給付辞退が起きてしまったことや、分配期日が遅れたため義援金を拠出した多くの国民に不信感を与えてしまったのも事実です。

義援金を受け取ったために生活保護費が減額されたり、受給が出来なくなってしまったのが原因でした。


納税は国民の義務であり、生活保護費は国民の税金から拠出されているわけですが、多くの義援金を拠出した善意の国民の考えからは遠く離れているようにも思えます。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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地域の自主防災活動とは [防災対策]

大規模災害に備え、「自助・共助に基づく地域防災力」を高める事が喫緊の課題



災害の規模が大きけれ大きい程、救援活動を実施する行政機関(自治体・消防・警察・自衛隊等)も被災する可能性が高いと言われています。

東日本大震災時には市役所や町役場の建物も自衛隊基地も津波の災害に会い、復旧に於いてかなりの時間を要してしまったことは皆さんもご存知であると思います。


しかも道路損壊、渋滞や情報伝達の支障などによって、救援部隊の被災地到着や組織的な救援活動の本格化には時間を要することが分かったのです。

阪神淡路大震災の時に明らかになった「行政機関による初動対応の限界」は、東日本大震災に於いてもさらに顕著になってしまいました。


前述したとおり、岩手県大槌町で町長が犠牲になったことをはじめ、数多くの行政職員が津波によって命を失いあるいは負傷し、家族との離散や家・家財の喪失という極限の状態に直面して直ちに本来の任務にあたる事は不可能でした。

こうしたことから大規模災害発生時には、地域住民が「自分の命は自分で守る」「自分たちの町は自分たちで守る」事に徹しなければならないのです。


地域防災を担う主体は住民自身であり、そのもっとも実際的かつ効率的な形態が自主防災組織なのです。

東日本大震災においては、自主防災組織以外にも、企業やNPO、学校、町内会、業種組合などがそれぞれ初動対応から息の長い復興活動に参加しくれました。



隣近所が助け合う自主防災組織

地域の住民同士が話し合い、いざというときに避難の呼びかけや誘導・救出・救助・初期消火・避難所の運営などを行うために自主的に組織されるのが「自主防災組織」なのです。

自主防災祖域は普段から、防災計画立案、災害対応手順の確認、役割分担、資器材の確保などを決めておいたり、防災訓練や住民への防災啓発活動も行っています。


平成30年の消防白書によれば、自主防災組織は、2018年4月1日現在で全国1741市区町村のうち、1679市区町村で設置され、組織活動カバー率(世帯数に対する自主防災組織が活動範囲としている地域の世帯数の割合)は83、2%にまで向上しています。

自主防災組織は地域で自主的に住民同士が助け合い(共助)、災害対策に当たる組織のため、これまでは通例地域の自治会や町内会が自主防災組織になっていましたが、しかし、急速に進む高齢化や都市化に対応するには限界が出てきました。







新たに、急速にマンション等の集合住宅の管理組合では、防災活動に自主的に取り組んでいる所も出てきて、単独での自主防災組織と位置付けることが出来るようになりました。


自主防災組織は「平常時の活動」と「災害時の活動」とを効果的に実施するために、役割分担毎に「班」を編成し、普段から訓練などを行っておくことが大事です。


自主防災組織の整備が進んでいる静岡県では「自主防災組織活動マニュアル」を作成し、組織作りを提唱しています。


自主防災組織活動マニュアル


防災訓練を実施する際には一人でも多くの住民に参加してもらうようにしましょう。

その為には町内会の運動会やレクリェーションと連動させたり、炊き出しやバーベキューと組み合わせたりなどして「楽しく、家族ぐるみで参加できる」物にすると良いでしょう。


災害時には相当な混乱が生じると思いますので、避難所の開設の手順や部屋割り、避難誘導の留意事項等は事前に確認しておくこと、自分達の町の地形や災害履歴・言い伝えなどの特性を知ることも大切です。


訓練の実施は、地域住民の結び付きを強めますし、災害対応力の向上になります。

訓練通りに自主防災組織の役員が率先避難を呼び掛ける、初期消火を呼び掛ける等と言うことが大きな力となるのです。


消火器や防火バケツなどこれまで普及している道具に加え、住民が使える新しい消火器機材などがあればそれらの使い方や置場所なども確認しておきましょう。


自分達の町は、自分達で守る!これを忘れないでくださいね。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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多様な地域防災への取り組みかたとは [大規模地震]

多くの企業や事業所が大規模災害時における自らの役割を認識をしている



ハイパーレスキューを体験する芸能人がいました。

4月5日に放送された日本テレビの週イチで、ジャニーズKAT-TUNの中丸雄一さんが様々なレスキュー新人研修訓練に挑戦し、災害によって生じるであろう複雑化する救助法を体験していました。

ただ面白く見てい居るのではなく防災に関する興味を、多くの方に持ってい頂ければ幸いですね。



災害時における企業の立場は、社員・顧客の安全確保、事業継続などが主たる役割となりますが、同時に可能な範囲での地域への貢献も望まられています。

ガソリンスタンドと自主防災組織が協定を結んで防災資機材や生活用水の提供を行う事、としている例もあるのです。


都市部における帰宅困難者対策ではコンビニエンスストアー、ファーストフードショップなどが支援ステーションの役割を果たすことになっています。

企業もまた社会的存在であり、東日本大震災発生以来、多くの企業や事業所が大規模災害時に於ける自らの役割を認識し、防災計画立案や訓練・図上演習にと組んでいる例を散見出来るようになりました。



率先たる避難者となれ


学校・大学を拠点とした活動も重要な位置を占めており、最近では防災への活動が単位として取り入れられ、防災士の資格を取る事を義務づけている大学も有るようです。

防災訓練を経験している中学生・高校生・大学生は災害時には大きな戦力となりうるのです。


東日本大震災の時に、釜石市の釜石東中学校の生徒たちは、地震後ただちに避難を開始して「率先避難者」となりました、その姿を見て、隣の鵜住居小学校の児童や近隣の住民がその後を追ったのです。

避難行動中に中学生たちは合流した保育園児、小学生、高齢者の手助けをして、結果的に全員が無事に非難できました。

このことは全国の学校における、防災教育の模範的事例となっています。



避難支援のポイントと課題


避難支援のポイントは、1人のよう配慮者に対する「避難支援者」は必ず複数設定すること、日中の場合と夜間の場合、また地震災害時と豪雨洪水災害時の場合など、それぞれの時間帯、ケースに応じた支援プランを立てる事が大切です。

東日本大震災では、宮城県三陸町にある特別養護老人ホームでは、高台の高校に避難誘導しようとしましたが、急坂・階段であったために車いすを使用する人々や寝たきりの人々を搬送する事が出来ず、49人の人々が死亡・行方不明になってしまいました。


福祉や介護の第一線では絶対的な人で不足であり、平常時においてでさえ手が足りないのに、大規模災害時はさらに困難が待ち構えているのです。

自力で歩く事が出来ない車いすを使用する人や、寝たきりの人を人力で速やかに移動させるためには、5人の支援が望ましいとされています。


さらに在宅の要配慮者の場合には居住地が分散しているため、これを組織的に一斉に避難してもらうには多くの「避難支援者」が必要とされ、地域ぐるみの対策・避難支援ボランティアの仕組み作りが望まれます。







マンション防災について

住宅に住む全国の一般世帯を都道府県別に「一戸建て」か「マンション(共同住宅)かの割合でみますと、「一戸建て」は秋田県や富山県、山形県が8割を占め、東京都が約3割と最も低く、次いで大阪府や神奈川県などが約4割となっています。

マンション(共同住宅)では東京都が約7割と高く、次いで神奈川県が5割強、沖縄県が5割などを占めています。


大都市圏では、大規模災害が起きた場合は避難所の不足が予想されていますが、行政が避難者として想定しているのは、低層木造住宅(戸建て住宅)等で被災した住民であることに留意しています。

マンションは戸建て住宅に比べて耐震性や耐火性能が高く、ライフラインが途絶えたとしても居住スペースの確保に関しては問題が少ないと見て居るからなのです。

したがって、大地震でライフラインが1週間途絶えたとしても、マンション躯体・構造に特に問題が無ければ、マンション住人は「在宅避難」で被災生活をしのぐことになります。


昨年に台風19号で浸水した一部のマンションで基本インフラである、「電気」「ガス」「水道」の他にもう一つの「排水」という隠れたインフラがあぶり出されました。

トイレが流せないのは、ポンプ系統が水没したために、復電したとしても、ポンプが復旧しないと流す事が出来ませんでした。


タワーマンションに限らず、大規模マンションのインフラは、地下に集約されていることが多く、地下で一旦電気・ガス・水道を受けて、其処から各戸に小分けして配るというシステムになっています。

そして今回長期間にわたりダメージを受けてしまったマンションは、エントランス階の浸水は土嚢や止水板で食い止めたにも拘らず地下ピットへ浸水し、基幹インフラが水没してしまったのです。


この現象は100ミリ以上の土砂降りが数時間にわたって降り続けた時、アスファルトとコンクリートに覆われた都市部のインフラでは対処する事が出来ないと言われています。

雨水の排水が追い付かずに簡単にマンションのエントランスまで水が来てしまうため、この時に地下の竪穴に水が浸入、もしくは地下ピットからの染み出しで機械が水をかぶる事になれば、たちまちそのマンションは機能を停止してしまうのです。


高級住宅街とか下町住宅街とか関係なく、配電盤や変電気が水をかぶる事になれば、部品ごと交換しなければ復旧は出来ないため其れだけの日数を要することになりますが、それでも戸建て住宅よりはマンションの方が復旧も早く、被害が少ないと考えられています。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
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災害時の外国人に対する支援はどうなっているの? [防災対策]

外国人にとって地震や津波等からの避難は想像できない



近年、訪日外国人や日本在住の外国人が増えています。

筆者の住んでいる地域でも、ネパール系のインド料理店やイタリア人によるイタリア料理店など外国人シェフによるお店も増え、それに合わせるかのように数多くの外国人の姿見られるようになりました。


多様化していく都市部ですが政府は国家戦略として、「観光立国」を打ち出して訪日プロモーションに力をいれており、東京オリンピック、パラリンピック時点での訪日外国人の目標を大幅に更新して年間4千万人としています。

新コロナウイルスによって外国人の入国制限がされていますが、在留外国人も約256万人(2017年末調べ)で、前年末に比べて7.5%の増加で過去最高を記録しているのです。


多言語対応が遅れているという日本の多くの外国人が訪日している中で、もし大規模災害が起きてしまい多くの外国人が巻き込まれてしまった場合に、私たちはどのように対応していかなければならないでしょうか。

我が国は世界有数の災害国で様々な災害に対して経験値があり、教訓伝承に努めています。


地震時の身の守り方などは年少者から高齢者まで、一定の知識を有していますが、しかし、世界的に見ますと地震や台風襲来などを全く経験した事の無い国の人々も珍しくないのです。

そうした人々にとっては、大地が激しく揺れる事をイメージ出来ないし、津波からの避難についても適切かつ迅速な行動がとれるとは考えられませんね。


まして、日本語になれていない人々にとっては「避難勧告」「大津波情報」「高台」等も分かりにくいはずです。

このような非常時の対応や避難行動の難しさに加えて、避難所では文化や生活習慣の違いなどから様々な課題が生じやすい事となってしまうのです。

ピクト.jpg

対策として、日ごろから外国人を対象とした防災訓練、避難訓練を実施するとともに外国人向けの防災啓発資料の普及、外国語による避難の呼びかけ、外国人への災害情報伝達の工夫、避難場所、避難所の図記号による表示等を進めていく必要があります。







多文化共生街創りのルールとは

外国人が多く自治体では、その特性を積極的に捉えて、日本語教室、外国語による情報提供、外国人相談窓口の設置、外国にルーツを持つ子供の学習支援など「多文化共生の街創り」等を進めています。

災害発生時の応急対応への取り組みとして「災害多言語支援センター」を設置して、避難所の運営・巡回、通訳ボランティアの派遣等を行ったりしています。


また、自治体と観光協会、宿泊施設事業者等が連携して避難情報の提供、避難誘導、帰宅支援体制等を整備するほか、被害状況の把握、外国人(旅行者を含む)への情報提供・相談対応、通訳ボランティアのへ派遣等、活計機関との連絡・調整する体制を取るなどする自治体などもあります。

ユニークな試みとして、弘前大学社会言語学研究室が研究・開発する平易な日本語で災害情報を伝える「やさしい日本語」を応用した防災のための取り組みや、平時の生活情報の提供が普及しています。


コミュニティFMによる外国人向けの多言語放送や避難所の掲示板に外国語放送の案内を掲示したりすることも外国人支援の一環となるでしょう。

さらに、通訳なしで訪日外国人に情報を伝える事が出来る携帯翻訳機なども、効果が期待されています。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
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災害におけるボランティア活動とは? [ボランティア活動]

ハザードの違いによってボランティア活動は変わる



地震や水害・竜巻などの現象はあくまで自然現象であり、これらを引き起こす外力を「ハザード」と呼び、災害とは区別されますが、こうした外力に対して脆弱な部分が存在した時に初めて災害が発生するのです。

つまり災害は、私たちが生きている社会のありように密接に関わっていると言えるでしょう。

このような考え方から、災害時のボランティア活動は多様性を要し、ハザードの違い(例えば水害と地震)によって、あるいは脆弱性の違い(例えば、都会と中山間地)によって、その活動に違いが出てくるのです。



1)「ハザード」の違いに伴うボランティア活動

一般的に、水害時のボランティア活動は、被災エリアが限定的、また、被災者のニーズが一様(主に家屋の泥だし)で、人海戦術で対応する短期間型のボランティア活動です。

一方、地震時のボランティア活動は、被災エリアが広範囲であり、また、被災者のニーズが多様で、個別で対応する長期的型のボランティア活動になります。



2)「脆弱性」の違いによるボランティア活動

災害からの復興の課題として、阪神淡路大震災(都会)では、都市における住宅密集市街地と高齢化社会の課題が、新潟県中越地震(中山間地)では、中山間地コミュニティにおける過疎・高齢化の課題が浮き彫りになり、その課題に対するボランティア活動に違いがあった。



ボランティアの出現と存在について

現在の日本は、世界でも類を見ない速度で少子高齢化が進んでいると言われています。

阪神淡路大震災以降、高齢者の課題(孤独死など)が問題視されるようになり、その後も度重なる水害においても高齢者の犠牲者が多く出てしまったのです。


新潟県中越地震では、「避難所に於ける高齢者の生活不活発病」といった新たな課題も生まれたのです。

このまま進むと2050年までの人工減少に向かう過程で、災害が起きたときの対応に脆弱性が予想されるのです。







ボランティア元年


1960年以降社会の変化に伴う歪みによる複雑化していく被災状況に手をこまねいていた社会システムに対して、災害対応に於ける新たな主体として「ボランティア」と言う存在が出現し、その多用で柔軟な活動によって様々な課題を解決する糸口が見えてきたのです。

1995年阪神淡路大震災のときに多くの人々が駆けつけ、ボランティアとして震災から1年間で延べ138万人の
救援活動が行われました。


このボランティアは社会の変化に伴う行政の限界が露呈した大都市災害の過酷な現実のなかで、既存の対応主体の限界を補う被災者、被災支援を行ってくれたのです。

阪神淡路大震災のときに産声をあげたボランティア、この年を「ボランティア元年」と呼び、以後、各地の災害では必ずボランティアの姿が見られるようになりました。


現在では災害時には不可欠な存在として、ボランティアが認知されるようになりました。



災害ボランティアセンターとは?

被災者の救援やその後の復旧においてボランティアが果たしてくれる役割の大きさは言うまでもありませんが、被災者のニーズとボランティアを繋ぐコーディネート機能が不在でした。

「何かを手伝いたい」との思いで被災地に赴いてくれたボランティアと「何かを手伝ってもらいたい」と言う被災者とを繋ぐ橋渡し的な存在として生まれたのが「災害ボランティアセンター」と言う仕組みです


災害ボランティアセンターは、災害発生後、必要に応じて臨時に設置されるもので、地域計画では、地方自治体の責務として設置を明記するところが多くなってきています。

災害ボランティアセンターは「ボランティアして欲しい人」と「ボランティアしたい人」を繋ぐ機能を持ち、ボランティアと行政機関が連携して運営されているボランティアセンターではお互いの役割を保管し会う機能も持っています。


最近では設置されると同時にホームページやフェイスブック等にページが立ち上がり、その所在がどこからでも確認できるようになっています。

運営については行政がボランティアに対応するために限界があるため、ボランティアコーディネーターが常駐する社会福祉協議会職員、災害ボランティア団体、NPO法人、各種団体関係者などが対応しています。



皆さんも出来ることから手を差し出し参加してくれること願っています、貴方のその手を待っている人がいる事を忘れないでください。

一人ひとりは小さな力ですが、多くの人が集まれば例え小さな力でも人を助けることの出来る力に成るのですから、皆さんの勇気ある参加をお願い致します。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
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災害ボランティアの活動で、どのようなことを望まれているのか [ボランティア活動]

多様化するボランティア活動とは?



ボランティアのイメージについて多くの方は「避難所で被災者の世話をする人」や、「壊れた家屋のガレキの片付け」等を思っている方が多いと思います。

昨年のラグビーワールドカップの時に、台風19号の影響によりカナダ:ナミビア戦の試合が中止なってしまいましたが、既に第一次リーグ敗退が決まっていたカナダ選手達は釜石市に残り、土砂や泥を撤去するボランティア活動を行ってくれたことは記憶にあるのではないでしょうか。



カナダ選手ボランティア.jpg


ライフライン(電気・ガス・水道など)の破壊に伴う生活支援への対応や、一時的な生活場所(避難所など)での集団生活の運営支援などが応急対応(救援ボランティア)の主な活動と言えるでしょう。



救援ボランティア活動の例

1)災害時要配慮者に対するボランティア活動

◎ 高齢者・・・・健康への配慮、生活援助、話し相手など。

◎ 障碍者・・・・手話、内部疾患専用の食事の支援など。

◎ 外国人・・・・通訳、集団生活の支援、食事の支援など。

◎ 子供・・・・・遊び場の提供、学習の援助、アレルギーへの配慮など。


2)情報に関するボランティア活動

◎ 被災者への各種生活情報の提供、被災地外への被災地状況の発信など。







復旧・復興ボランティア

発災後、徐々に社会システムが復旧していきますと、生活の個別領域(仮設住宅、街づくり、産業再生など)での支援活動が主となります。

また、復興期のボランティア活動では、応急対応期同様に、既存の対応主体の限界を補う支援を行うと共に、被災者・被災地が、自らの生活循環を再構築していく力を引き出す側面支援等も行います。


復興ボランティア活動の例

◎ 仮設住宅及び、復興住宅における高齢者の見守り、コミュニティづくりの側面支援を行う。

◎ 復興まちづくりに対するアドバイスを行う。

◎ 復興にかかわる様々な主体(被災者、地域コミュニティ、行政機関、専門家など)を繋ぎます。



事前の備えとしての予防ボランティア

救援ボランティア、復興ボランティアの経験を生かして、平常時の防災活動を支援していく活動です。

具体的な活動としては、被災地におけるボランティア活動の経験や学びを生かして、災害時の初動体制づくり(連携)をスムーズにするために平常時から様々な主体(地域住民、行政機関、ボランティアなど)を事前にネットワークしておく活動で、その経験や学びに基づいて住民の災害に対する意識啓発を行う活動などが上げられます。


予防ボランティアの活動の例

◎ 地域にける防災ネットワークづくりを行う。

◎ 自主防災組織や地方自治体が行う防災訓練や地域防災の取り組みのマンネリ化を防ぐ。

◎ 地域コミュニティにおける、住宅の耐震化や家具の転倒防止活動を行う。

◎ 広域災害に対応できる全国ネットワークづくりを行う。



多様化していくボランティア活動に共通して大切な事の一つは、社会の変化に伴い、複雑化している被災状況に、ボランティアが果敢に立ち向かい、支援の隙間の課題を見つけ、その課題に対して様々な主体トの連携による新たな対応の仕組みを作る事によって、課題解決を行っていくことです。

もう一つ大切なことは、人とのつながりが傷ついた被災者や被災地の回復を助けている点で、ボランティアの活動を通した人と人との繋がりが、途方に暮れた人や地域を前向きにし、それをキッカケに再建に向き始めていることが分かるのです。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより




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ボランティア活動の基本とは? [ボランティア活動]

被災地の状況は刻一刻と変化し、ボランティアのニーズと環境も大きく変わっていく



最近の風水害は、過去の災害規模を上回り多くの被害の爪痕を居住地域に残していきました。

その爪痕を除去、復旧・復興に行政だけの力ではもはや対応は出来ないため、欠かせないのがボランティアによる協力と不可欠と言えるでしょう。


複雑化していく災害の中でハザードの違い(例えば水害と地震)、脆弱性の違い(例えば、とかと中山間地)、そして応急対応、復旧・復興、事前の備えの各期の違いなどによっ、災害時のボランティア活動には多様な活動がありますが、基本的な考え方、役割・機能面は共通しています。

被災地では刻一刻と状況が変化していくと共にボランティアのニーズと環境も大きく変わった行きます。



ボランティア活動には強い覚悟が必要

発災直後には、消防、警察、自衛隊などの公的機関による人命救助、二次災害防止、情報収集伝達が優先されます。

この時期、訓練されたボランティア団体の先遣隊は別として、経験のないあるいは経験の浅いボランティアが大挙して被災地に入る事は慎重に期したほうがよいでしょう。


ボランティア受け入れが可能になった時点で、ボランティアは必要とされた事は何でもやりますが、但し、危険な仕事や余震が激しい時期に応急危険度判定「赤」の住宅に入って手伝う事や屋根に上っておこうなう作業などは避けた方がよいでしょう。

仮に「自分が期待したような活動が全く出来なかったとしても喜んで帰る」、という覚悟は最低限必要であり、ボランティア活動は、自分のために行うのではなく、被災された方々のために行う行為だと言う事を忘れてはならないのです。


発災からの初期ボランティア活動は泥出しやガレキ撤去などの力仕事が主になりますが、次第に被災者より多様なニーズが発生してきます。

入浴サービスや、こもりや学習指導、買い物の手伝い、傾聴ボランティア、語学ボランティアなどが必要になり、一定時期を過ぎると、地場産業の復興のための農作業、収穫物の販売促進などの必要とされます。


ボランティア活動には柔軟な心で「被災者の方々に寄り添い、伴奏する」という気持ちが望まれます。






   [新月][新月]ボランティア活動と心のケア[新月][新月]

ボランティア活動をする場合は、「心のケア」として次のような点に注意する。

① オーバーワークにならない。

② 自分だけでなんとかしようと気負わない。

③ 自分の限界を知る。

④ 十分な休養や栄養を取る。

⑤ 声を掛け合う。

⑥ 体験や感情を抑えずに話し合う。

⑦ どんな活動をしたかを報告する。

⑧ 自分の行動をポジティブに評価する。

⑨ 交代を守る。

⑩ ボランティア後は日常生活に戻る。



忘れてはいけないのは、被災者であろうが、支援者・ボランティアであろうが、被災地では同じようにストレスにさらされることで有ると言う事です。 ストレスを軽減することは誰にとっても重要であり、それだからこそ、心のケアが必要とされるのです






ボランティア活動としての機能

ボランティアが被災地のために役に立ち、効果を上げるには次のような視点、機能が求められます。l

まず一つは行政機関をはじめとしたほかの主体が応対しない問題を発見し対応する「支援の隙間を埋めていく」機能です。


支援の隙間を埋めていく為には、ボランティア達の多様な目が欠かせません、新潟県中越地震の時に今までの災害で語られていなかった「避難所における高齢者の生活不活発病」の課題に、介護の仕事をしているボランティアの目がいち早く気づき、行き過ぎた ボランティアの生活援助をコントロールできたのです。

聴覚障害を持った被災者の心のストレスに、同じ聴覚障害を持つボランティアが気付き、ストレスによって閉ざされていた心を広げる事が出来ました。





もう一つは、その問題に関わる者同士を繋ぎながら「新たな対応の仕組みを作っていく」機能です。

新たな対応の仕組みを作っていく為には、様々な主体との連携・協働が欠かせません。


新潟県中越地震では、避難所の就寝環境を整えるため、災害ボランティアセンターとボランティアと企業を繋ぐネットワークと、マットレスを販売する企業によって、いち早く避難所にマットレスが入り、就寝環境を整える事が出来ました。

水道が止まり、洗濯に困っている高齢者施設を支援するため、湧水を毎日供給する仕組みが作られ、水道が復旧するまで給水活動が行われました。


このように過去の災害でボランティアは、支援の隙間である課題を見つけ、様々な主体との連携・協働による新たな対応の仕組みを作る事によって、課題解決を行ってきたのです。

大切なことは、今後起こる災害には過去の災害とは違った新たな隙間が現れてくるという学習効果であり、多様な目を持つ多種多様なボランティアを受け入れる事により、様々な主体が連携・協働して柔軟にその隙間を埋めていく事が出来るのです。


ボランティア活動の目的は、「被災者の自立支援」にあると言われていますが、これは実に難しい課題と言える事なのです。

これまでも、ボランティアがある一人の被災者に関わり続け、「自分がいなければ被災者はダメになってしまう」と思い込んで、支援活動にのめり込み、ボランティアは自分の生活に、被災者はその後の生活再建に支障をきたしてしまった事例が有ります。


しかし、ある明確な時期を持って、被災者自身が自分の力だけで生活再建を行っていくことにも無理があると言えるでしょう。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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地震直後は近隣住民同士の手で救出を [救出活動]

家屋倒壊による生き埋め救出は一刻を争うため、近隣住民による協力が不可欠と言える




大規模災害時には家屋倒壊によって生き埋めとなり、自力で脱出する事が出来ない人が多数発生する恐れがあります。

これらの人の救出は一刻を争うのですが、災害の規模が大きければ大きい程、地方自治体や消防、警察、自衛隊などによる救助活動が被災地域全体で、直ちに始動することは困難と言えるでしょう。


阪神淡路大震災では、要救助者の約77%を救出したのは近隣住民でした、

近隣住民が互いに助け合い、負傷者などの救出や応急手当を迅速に行う事が多くの人命を救う事になるのです。



地域に於いて日ごろから資器材の取り扱いや、基本的な救護法を学習・訓練し、一人でも多く、一刻も早く助け出すための備えをしておきましょう。

阪神淡路だ震災時に、地震後1~2時間に救出・救助活動に携わった人は20.6%で、30~50歳代の男性は3人に1人が救出活動に従事していたと言う事です。


資機材.jpg


生き埋めとなって自力で脱出できなかった人の4分の3以上は近隣住民の手で救出されたと見られていますが、地域住民による救出活動で問題となったのは資器材が圧倒的に不足している事だったのです。

消防署には市民から「スコップやバールを貸して欲しい」という声が殺到し、エンジンカッターやチェーンソー、残義英、ハンマー、自動車修理工場のジャッキまで思いつく限りのあらゆるものが使われ、木造倒壊現場では、包丁まで使われてそうです。





このような状況の下で効果的活動を行ったのは建設現場関係者で、地震発生直後からクレーンやパワーシャベルなどを使い、市民や公的機関と共にがれきの撤去や救助活動に取り組んでくれたのです。


三種の神器.jpg


救出活動のためには、倒壊した建物の屋根やドアを壊して侵入路を切り開いたり、要救助者の上になっている家具などを持ち上げたりする必要があり、其処で「救助活動の三種の神器」と言われているのが「バール、のこぎり、ジャッキ」であり、自主防災組織と腕はぜひ備えて欲しい物であり、このほかにもロープや担架、救急医薬品、消化器、水バケツなども用意しておきましょう。



倒壊家屋からの救出活動の基本

発災後に救助活動を始めるには、自らの安全を確保し、身の回りの火の始末をしたのち、家族や職場の同僚、隣近所の人々の安否を確認しましょう、特に高齢者などの災害時要配慮者の安否確認を急ぐ必要があります。

援助を求めている人を見つけた場合、周りの人に大声で協力を求め、力を合わせて助け出すのですが、自分たちで救出困難な場合には、自主防災組織、消防、警察、消防団などに連絡し火災の延焼が迫る前に救出出来るように、ましょう。



要救助者を発見した場合

◎ 挟まれている人に声をかけて安心感を与え、取り残されている人の数を確認します。

◎ 周囲の人に協力を求め、自分と挟まれている人の安全を確認しながら作業をしましょう。

◎ 救護活動をする場合、ヘルメットや軍手、厚底の靴を使用し、身を守ります。

◎ 活動時には情報からの落下物や足場のくぎ、針金、ラス網(モルタル壁の下地用の網)、鉄筋による切創、踏み抜きなどへの注意を払いましょう。

◎ 余震による建物の倒壊や救出作業中の崩壊など二次災害に注意してください。

◎ 救出作業時には、活動是wン体を監視する人(2方向以上、数名)を置き、危険を防止しましょう。


また、現場付近では、いつどのような形で火災が発生するか分かりませんので、近くに水や消火器などを用意しておき、倒壊家屋のガスの元栓や電気のブレーカーは切っておきましょう。





救出優先

◎ 救出は、「人命の危険が切迫している人」「救出作業が容易な人」を優先します。

◎ 挟まれている人を無理に引き出そうとはしないで、障害物を取り除き、負傷者の様子や変化を見ながら行います。

◎ 人命への危険が切迫している場合は、救出と並行して応急手当も行いましょう。

◎長時間、太い梁などによって菓子などを挟まれている場合はクラッシュシンドロームの恐れがあるため、そのままの状態にして医師などを呼び、指示や手当をしてもらいましょう。

救出した人は、速やかに病院に搬送してもらう事が大切です。



[新月][新月]自分が建物の下敷きになった時[新月][新月]

まず生き抜くことが大切です。

もし建物などの下敷きになって、身動きが取れなくなった場合、救出が出来る事を信じて頑張る気持ちが大切です。

初めは出来るだけ声を出します。

もしホイッスルを持っていれば吹いて下さい。

それがダメな場合、体力を消耗しないように瓶や缶などを利用し人工的な音を出してください。

むやみに動くことは問う怪物のバランスが崩れて、かえって危険なので控えるようにしましょう。


決してあきらめず、生き抜くことだけを考え、何ら中の手段を用いて音を出して外部の人に伝える事をして、救出されることを待ちましょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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日本の地震の原因は、4つのプレートに揺さぶられているから [大規模地震]

日本列島を震わす大鯰の正体は4枚のプレートがひしめき合っているからだった。



地震学や気象学については疎い私ですが、でも、昔から日本列島を震わすには地下に大鯰がいるからだ・・・という話は小さい時から聞かされていました、そのナマズの正体は4枚のプレートだったのです。

私の浅学で紹介するのはちょっと・・・とは思いましたが、日本列島の災害を考える中でどうしても通らなければならないのがこの問題なのです


地震とナマズの因果関係.jpg


夢を壊すような話かもしれませんが、実はこの4枚のプレートが今までの日本列島を襲った大規模地震の原因であり、これから先も日本列島を襲う可能性が有ると言う事なのです。

日本の国土面積は、地球上の陸地の約400分の1にすぎませんが、日本列島及びその周辺から吐き出される地震や火山噴火のエネルギーは、地球全体の約10分の1に達しており、これは日本列島が世界有数の変動帯に位置しているからなのです。


前述しましたが、日本列島の周辺には4枚のプレートがひしめき合っていますが、実は地球の表面は十数枚プレートと呼ばれる岩盤に覆われていて、そして互いに動き合っているのです。

これらのプレート境界あたりで地震活動や火山活動が活発だと云われ、プレートの境界では、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいる所もありますし、陸のプレート同士がぶつかり合っている所もあるそうです。



プレート境界と地震・火山活動


日本を取り巻く4枚のプレート.jpg


① 太平洋プレート

東太平洋領海で生まれ、はるばると西進してきた「太平洋プレート」は、千島海溝~日本海溝~マリアナ海溝とつづく海溝の所で日本列島を乗せているプレートの下に沈み込んでいます。

② フィリピン海プレート

フィリピン海プレートは小さなプレートですが、このプレートが沈み込む相模トラフや南海トラフで、関東地震や東海地震、南海地震を引き起こすのです。

最近よく聞く南海トラフ地震はこのプレートが原因の一つと言われており、なおトラフ=troughとは海溝の浅いものを呼びます。

③ 北米プレートとユーラシアプレート

北米プレートとユーラシアプレートはともに陸のプレートで、両者の境界が日本列島の中央部を横断していますが、その境界が新潟県の糸魚川から静岡にかけて伸びる「糸魚川~静岡構造線」で日本列島を東北日本と西南日本とに分断する大構造線=大活断層なのです。



このプレート境界付近ではしばしば大きな地震が発生しており、例えば海溝型の巨大地震で太平洋側だけでなく日本海側でも、1983年の日本海中部地震や1993年の北海道南西沖地震などがおきています。

また三陸沿岸に大津波をもたらすマグニチュード(M)8クラスの巨大地震も千島海溝や日本海溝で発生しています。

他にも、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界では、1944年の東海沖地震や、1946年の南海地震が発生しており、東海地震もその切迫性が指摘されています。





地震はなぜ発生するのか?

地震はなぜ発生するのか?科学の時代の今では大鯰の伝説はともかくとして謎とされてきましたが、地震学の進歩によって1960年代にようやく地震観が確立しました。

それは、地震は同じ場所で繰り返し起きる、地震には「顔」が有ると云うものです


① 地震は断層の活動である

地震とは地下深い所で岩石が破壊される現象で、破壊のショックが地中を並みとなって伝わり、地表に達したときに地上のあらゆる物を揺らすのですが、私たちはこの時に初めて地震が来たと感じているのです。

地下での岩石の破壊とは、断層の活動の減少で、断層活動とはある面を境にして両側の岩盤がずれ合う現象で、その面が破壊面となります。


地震の波が進む速さは、地盤の性質にもよりますが、速い方のP波が秒速7㎞、遅い方のS波が秒速約4㎞です。

② 地震は同じ場所で繰り返し起きる

ある場所を震源域として地震が発生し、余震を含めてエネルギーの放出が終わると其の後に、次の地震を起こすエネルギーが徐々に溜まってきて、それが限界に達すると次の地震が発生するのです。

③ 地震には顔がある

火山性地震や群発地震を除くいわゆる構造性の地震は、「海溝型の巨大地震」(海溝型地震)と「内陸直下の地震」(内陸型地震)、「沈み込みプレート(海洋プレート)の中が割れて起きる地震」に大別できます。


プレートの沈み込み.jpg


海溝型の巨大地震は、太平洋プレートやフィリピン海プレートが、日本列島を乗せている北米プレートやユーラシアプレートの下に沈み込んでいる海溝部で発生します。

海のプレートは、1年間に数㎝~10㎝の速さで陸側のプレートの下に沈み込んでいます、この時に陸側のプレートを固着しながら沈み込んでいくのですが、ある所まで来ると、陸側のプレートが限界に達しして大きく反発するのですが、この時に海のプレートと跳ね返った陸側のプレートとの境界で大規模な破壊が生まれ大地震が発生することになります

M8クラスの巨大地震となる事が多く、広範囲にわたって侵害をもたらすと共に大津波が発生して沿岸に襲来することも有ります。





内陸直下の地震で大きな被害をもたらすのは、活断層の活動によるものが多いと言われ、活断層は、最近数十万年の間に活動をした形跡が地形に残っていて、将来も活動して地震を発生させると考えられています。

不自然に一直線に伸びた谷や崖、(産地と平野の境界)が活断層の存在を示していることが多く、またそれを挟んで両側の地形が上下あるいは水平にズレているので分かりやすく、このような地形のズレは過去からの活断層の活動の累積によって出来たものなのです。


活断層の活動による内陸直下型の地震は一般的に震源が浅く、地表は激しく揺れ、局所的であるにも関わらず甚大な災害となる事があります。


「沈み込むプレート(海洋プレート)の中が割れて起こる地震」を「海洋プレート内地震」あるいは「プレート内地震」と呼び、この地震は「沈み込んだ海洋プレート」や「これから沈み込む海洋プレート」で発生し、前者は震源が深くなる傾向にあり、後者は浅くなることが多いと言われています。


④ 地震の顔に応じ、発生感覚に差がある

「海溝型の巨大地震(M8クラス)」は発生間隔が比較的短と云われ、関東大震災を引き起こした相模トラフ巨大地震は200年ぐらいの感覚で起きていましたが、M8クラスの倒壊・東南海・南海地震は100~150年の間隔で起きています。

特に駿河湾内から遠州灘にかけての部分は、1854年の安政東海地震以来160年も地震を起こしていませんので、「東海地震は切迫している」と考えられています。


これに対して、内陸の活断層が動いて起きる地震の間隔は比較的長く早いもので800年から1000年前後に、再来する周期の長いもになりますと1万年とか数十万年になる物もあるのです。

1995年に起きた阪神淡路大震災を起こした六甲断層系の活断層は、1000年前後の間隔で活動してきたと考えられています。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
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内閣府 防災情報のページより


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