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帰宅困難者受け入れ態勢が決まらない功罪(1) [防災対策]

企業は他人(部外者)の意見を聞かずに面子ばかりにこだわりすぎる傾向がある。

前回にに受け入れ態勢についての心構えと云いますか述べさせていただきましたが、今回は企業側が未だに受け入れ態勢が出来ないのかについて、私がオブザーバーとして参加した企業(名前は言えません)内での出来事について述べていきたいと思います。

あくまで私個人が友人から紹介されて企業の帰宅困難者受け入れに対して意見を聞きたいと云われ参加したもので、皆さんの企業ご希望に添えるかどうかは様々な考え方もあると思いますのでその辺はご容赦願いたいです。


◎ A社(2019年10月~2月)は社員規模1200名、26階建ての自社ビル、防災センター+設備を委託管理で警備会社との契約はなく守衛室に3名の方が24時間体制で嘱託の方が勤務しています。

◎ B社(2019年11月より)は社員規模890名、22階建ての商業ビルですが管理しているのは子会社で、B2~3階まではレストランや書店、会社等の賃貸フロア、いわゆる商業スペース、4階~21回は自社ビルでありながら子会社から借りている形となっており、子会社は管理委託を入札によって管理会社に委託し、管理会社が警備会社や清掃会社を契約し警備業務、清掃業務を任していると云うものです。

◎ C社(2020年4月~6月)は社員規模が200人、6階建ての自社ビル、防災センターは外部委託で常駐者1名(24時間)、守衛室1名(7:00~19:00まで外部委託その後不在)と云うものです。


三社三様でそれぞれ特徴がありますが、如何ですか皆さんの勤務している会社に当てはまるでしょうか?参加した企業順に並べてみましたが、まず結論だけを述べさせていただきますとA社とC社は対応マニュアルは既に出来ており、社員訓練も済んでいます。

しかし、残念ながらB社につきましては昨年11月からの資料はたくさん増えているのですが、いまだに結論にまで漕ぎつける事が出来ていません、たぶんですが今年中は無理かもしれませんね。


私はアドバイザーとして参加してきましたが、私の勤務してきた企業ともまた違う環境を見る事が出来とても刺激的で勉強にもなり今後の活動へ参考になりましたね。

企業側の考え方と市区町村の要望、そして複雑化している企業管理業務計画との乖離をまざまざと見せつけられ、自分の会社でなくて良かったぁ!と思ったしだいです。






A社の場合、女性意見を積極的に

在館社員1200名、防災センター+設備は委託管理、守衛室1名24時間管理

この会社に総務部内に総務課と人事課、庶務課がありそれぞれが分担化されています。


人事課は、人事管理一般を管理し守衛も人事管理となっています。 

庶務課は一般備品購入や車両管理、備品交換の指示を設備に連絡。

総務課は防災センターとの委託管理や食堂管理を行っている。


あくまで部外者である私への説明であり、内容についてはもっと複雑化しているはず??であり、私としてはそれ以上知る必要も有りませんでしたので最低限の知識として捉えてください。

都内23区内にあるため、都・区により帰宅困難者受け入れの要請があり社内会議を通して参加する事になり、総務部長が私の知り合いと云う事でアドバイスをして貰えないかとの要請で参加した次第です。



東京都からのお知らせ.jpeg



毎月2回・各2時間の会合を行うとの事で集まった人数は11名(人事2名・庶務2名・総務2名、営業2名、総務部長、営業部長、そして私ですがメンバーの中に女性3名)で、それぞれが防災についての知識が乏しく・・・:皆無に近かったですね。

区により提供された資料を基に、総務部長が読み上げていくのですが防災そのものの知識がないため聞く方も首を傾げるばかりでした。


そこで、防災士としての立場から阪神淡路大震災、東日本大震災じの状況説明を行い、特に東日本大震災時における駅での帰宅困難者の混乱状況徒歩で帰って人、携帯電話の輻輳などを説明、何故、いま企業における帰宅困難者受け入れが必要なのか!を理解していただきまして改めてスタートした次第です。

2011年3月11日に起きた東日本大震災ですが、メンバーの中に当時14~18歳だった方が大学を出て社会人となり当時の混乱状況を知った訳ですから時代の流れは怖いものです。


話しは戻しますが、初日は概要説明、受け入れ時の体制についてメンバーそれなりの感想及び疑問についての意見交換を行い終了。

その後何度も会合を重ねていく中で、女性としての観点から要配慮者や要支援者への対応、女性の体の悩みやトイレについての相談が出てきました。






私も含め男性から見る立場と女性としての立場では大きな差があり、これらの意見が後々大きな影響となり安心できる受け入れ態勢が出来たように思えます。

帰宅困難者を受け入れるスペースとして正面エントランスが狭いため、1階面談ルームやホワイエ、2階ノマドや会議室を開放する事に、また社員用受け入れとして8階・16階会議室・24階食堂、25階大会議室をフル活用する事になりました。


それでも、いざ発災した場合には移動が出来るのかどうかなどの疑問の声も出ましたが、営業社員が外に出ている場合(約600名)約半分であること、そして発災後都内に出ている営業社員が帰宅出来ずに会社に戻るであろうことを考え会議室を開けておくことにしたのです。

携帯食料や飲料、ブランケットなどは女性でも運び出せるように地下や二階へ、社員用として各会議室近くに移動させることで合意しました。


以前は地下と25階に誰も使わない開いているスペースに置いていましたが、其処からどのようにして運ぶのかを考えると小さな会議室を無くしてでも対応出来るようにしたいとの考え方になり、総務としてもそれが望ましいとの判断になりました。

受け入れ場所が確定しましたので受付をどうするかとの動きになりましたが、この時に12月末から中國武漢からの原因不明のウイルスによる病気発生が始まり出し、隣国韓国で死亡者も出たとの声が聞こえ始めました。


当時メンバーから日本にこのウイルスが入ってきたらどうするの?との声が出始め、そして豪華客船ダイアモンド・プリンセスによる爆発感染により日本が危ない状況になるかも!、との危機感が芽生えました。

案の定、それ以降日本列島は新型コロナウイルの渦に巻き込まれいまだに終息は見えない状況となり、受付体制のの見直し、受け入れ態勢の見直し、動線の変更が行われました。


7月中旬に雨の中、総務主体の防災訓練の後に帰宅困難者受け入れ訓練が行われまして、在館者全員の協力を得て無事に終了する事が出来たそうです。


総評:第一に帰宅困難者目線で考え、女性の意見を積極的に取り入れたことにより多くの社員が防災に参加しやすくなった。新型コロナウイルスに対する危機感に情報を集め、より早く対応・改善が行えた。帰宅困難者受け入れチームの会議内容を社内メールで社員全員が共有し、社員の意見も吸い上げフィードバックしており一丸となって取り組んでいた。

この会社は大手警備会社の災害・帰宅確認メールシステムを早くから取り入れており、発災時にどこの場所にいても社員の安全確認が出来るようになっています。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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帰宅困難者受け入れ態勢が決まらない功罪(3) [防災対策]

大手企業の構図そのもの、船頭わがままで船動かず


前回と前々回の最後になりますが、A社、C社の帰宅困難者受け入れ対策内容をご紹介してきましたが、これからご紹介しますのはB社です。

B社は国内ばかりではなく世界にも支社を持っているグローバル企業なのですが・・・問題は企業ではなく管理している子会社、そして更にその下に設備全般を請け負っている管理会社、その傘下に物流会社、清掃会社、警備会社が有ると云う典型的なぶら下り構図ですね。


こちらの会社は2019年11月より一時避難対策受け入れを決め対策を始めたのですが、前述した通りビルに勤務している社員は890名(全社員は数万人規模になります)、22階建ての自社ビルでB2~3階まではレストランや書店、会社等の賃貸フロアーのいわゆる商業スペースを持っているビルです。

1階にエントランスホール、B3は自社専用の駐車場、B2はお客様用駐車場、B1~3階は商業スペース、3階に防災センター、3階と4階の間が免震層、5階は受付及び面談室と会議室、6階~16階まで占有エリア、18階会議室、19階社員食堂、20・21階幹部フロアーとなっています。


毎月第1・3水曜日X2時間の会合を開いているのですが、資料はA4サイズでファイルが何冊もあるのですが、結果的に殆ど決まっていません。

参加しても意見を聞かれるわけでもなく、こちらの意見を述べても聞く耳を持たないと云うか、部外者は黙って居てくれれば良いって感じですかね。


何がいけないのか??参加者は企業から総務部2名、不動産を管理している子会社から幹部1名、設備管理会社幹部2名、警備隊長1名、清掃責任者1名、物流責任者1名、全員男性です。

そして企業形態そのものが意見を変えてしまうため、毎回同じことを述べては消えると言う事の繰返しでしょうか。


三井不動産帰宅困難者受け入れ訓練.jpg


企業内は総務が一丸となってもうすでに発災時の対応は出来上がっており、安否確認対応も自社に出入りしているシステム会社を利用して対応は完了しています。

問題は企業の名前を出している以上、帰宅困難者受け入れで断るようなことはしたくないとの思いから、万全を期して準備をして頂きたいとの姿勢が出ているのですが、問題は下部組織ですね。


防災に関しての知識の低さ、勉強不足、責任回避、防災の知識がないために何をすべきがよく見えてこない、かといって資料がないわけではなく、都や区から頂いた資料は沢山あるのですが、目を通していないので質疑応答が成り立たないのです。




帰宅困難者受け入れ時に喫煙所は必要なの?


タバコを吸われる方もこのブログを読んでいらっしゃると思いますので、その辺りからの勘違いを説明していきたいと思います。

第一回目の会合の内容ですが、まず議題に上がったのが喫煙室(場所)をどうするかでした。参加者全員が喫煙者であったと言う事から取り上げられたのですが、初日2時間がこれで終わりましたが決められた場所は、2020年4月都受動喫煙防止条例、改正健康増進法施行で2人以上の人が利用する施設は原則屋内禁煙ですので使用できません。



【東京都受動喫煙防止条例】・【改正健康増進補】

都条例内容として、2020年4月1日以降は決められた場所以外での喫煙は出来ません。施設の方針が決まらない場合や喫煙室の設置が間に合わない場合等は、禁煙として下さい。

改正健康増進法・東京都受動喫煙防止条例に違反した場合、保健所等による指導・助言のほか、過料の対象となる場合があります。

過料は保健所による指導・助言に応じない場合などに課されるものであり、職員が即座に支払いを求める事は有りません。


【非常時時くらいは勘弁してくれよ】等との声も出るかも知れませんが受動喫煙防止には協力して頂きたいと思います。


喫煙所における新型コロナウイルス感染症拡大防止について


新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、「3つの密(密閉。密集、密接)」の防止が重要です。

限られた空間で拭くy数の方が利用する喫煙所は「3つの密」の状態が生じる可能性が有りますので注意が必要なのです。

・ 混雑時の利用は避ける
・ 利用する人との距離を取り、間近で会話をしない。

喫煙所設置者は次のような対応が求められています。
・ 利用者に対して、「混雑時の利用を控える事」「利用する場合は人との距離を取り、間近で会話をしないこと」等の注意喚起の張り紙を掲示する。
・喫煙所を一時的に閉鎖する


受動喫煙によって、肺がん等の疾患リスクが高まる事が明らかになっています。
こうした健康影響を未然に防止し、誰もが快適に過ごせる街を実現するため、都独自のルールが構築されたのです。







会合は重ねど天の声で白紙に


2回目からはビルの設備全般(壁材や天井吊り部材)などの説明、免震層の説明、エレベーターやエスカレーターの説明、電気設備や空冷設備の説明が今年の2月まで行われました。

3月につきましては私は参加していませんが、議事録では避難者のためのテントの作成、エアマットの作成の仕方などを行ったようです。


4月になって部屋割りも決まりかけたのですが、複合災害のことも有りまた考え直すと言う事で白紙になりましたね。

5月6月に部屋割りと受付対応等を話し合いましたが、残念ながら天の声で再考と云う事になりましたが、何故このように纏まらないのか???、不思議ですよねぇ!。


天の声の持ち主は防災について多少の知識が有るのですが、残念ながら会社の面子にこだわりが強く、また誰もがその意見に対して何も言えないという実に組織構造のはっきりした最悪状態なのです。

前にも述べていますが、会合時のみに話し合いだけで誰も持ち帰って対策を考えて来ていないと言う事、たった一人の天の声で簡単に変わってしまう事、防災について知識がないこと、女性の意見が聞こえず、要配慮者に対しての意識が低いなどが上げられます。


各会社の参加していない方々に意見を聞いたところ、誰もが帰宅困難者会議の内容について知らないと言う事でしたから、以下に参加者自体の意識が低いと言う事が分かりますよね。

7月に入り、設備の若い方が上司から意見を述べろと言われたと言う事で私の所に相談に来ましたが、まず帰宅困難者受け入れの説明をして、それから受け入れ期間の大体の日数、帰宅困難者のその後の行動についての案内などを話しました。


一般の方の受け入れ場所、要配慮者の受け入れ場所とトイレ、外国人などの受け入れ場所、熱などのあある方の浮け入れ場所とトイレの動線などの説明をしてあげました。

7月の2回目に警備員の方(隊長以外)に相談を受けたため前回と同じような説明をして、動線の確保の仕方、トイレの等の交差線を無くすには、等を説明してあげましたが活用されるかは不明です。







受け入れをするのは誰なのか?


8月に入り、これから準備が進んでいくとは思いますが考え方が変わらない以上は難しいものがありますよね、実際にどこの企業でも発災時の時間によって対応する方は違います。

その為には周知徹底もそうですが、各時間帯に対応する方の訓練、そして意見交換が出来なければ引継ぎなどに問題が出やすくなります。


帰宅困難者受け入れ図上訓練.jpg



B社では昼間は設備と警備や清掃、物流、及びテナントなどが協力してくれますが、テナントが閉店する10時以降に発災した場合には、警備と設備の方が主流となります。

警備と設備の方の訓練が出来ていなければただの烏合の衆、困るのは集まってきた人々になりパニックが生じてしまう可能性も考えなければなりません。

その為にも受け入れのための環境整備の一つとして、受け入れ時に受け入れ条件を承諾の上利用してもら為の受け入れ条件の掲示や、受け入れ条件に承諾したことを示す署名が出来るよう、書面・帳票などを準備しておく必要があります。


これらについてはB社ではパワーポイントでの表示物などは完成していいたりして出来ていましたので大丈夫だと思いますが、最終的な運用について問題があると言う事に気付いていないんですね。

運用するのは誰なのか?基本的に人なんです、人と人の繋がりがあって困っている人を受け入れ居る訳ですから、其処を忘れているために決まらないんだ思いますね。


天の声は企業体面を重んじ過ぎている為に細かく決めようとしていますが、細かく決め過ぎては人が動けないことも有るんです。

マニュアルで細かく決め過ぎてしまいますと、決まりごとが増えて身動きが取れなくなってしまう事になるかも????・・・マニュアルは大事ですが、あくまで基本であると言う事を忘れないで欲しいですね。


まして受け入れの条件を許諾して頂いているわけですから、あとは皆さんに誠意を持って対応し休んで頂けれる様にして上げるだけなんですから。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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ガイドラインから見る帰宅困難者受け入れ対応(1) [防災対策]

首都圏大地震帰宅困難受け入れはM7クラス以上の大地震が平日昼12時に発生を想定


皆さんはご存知ですか、なぜ首都圏大地震対策を急いでいるのか???それは30年以内に起こるであろうと言われる首都圏直下を震源地とするM7クラス以上の大地震発生が見込まれているからです。

本当にM7クラス以上の大地震が起こるのか????このブログで何度も紹介していますが、首都・東京は世界で稀に見る複雑に入り組んだプレートの上にあると言う事なのです。


首都圏直下型地震.jpg



国や都は、大都市圏においてM7クラス以上の地震が平日昼12時に発生した事により都市圏内の鉄道・地下鉄などが少なくとも3日間は運行停止するだろうと見ており、そして、郊外と大都市圏を結ぶ路線は3日間のうちに復旧し、折り返し運転を行う見込みであろうと考えてガイドラインを作成しています。

このガイドラインの中ではライフライン(電力、通信、上水道、ガス)についても、一定の被害が生じていると想定していますが、都合よく昼の12時に大地震が起きるとは考えられませんがとりあえずは時間設定は仕方が有りませんよね。


行政機関は発災後3日までに休憩救助活動、消火活動を中心に行う事に対応し、発災4日目以降に帰宅困難者等の帰宅支援の体制へ移行していく事としています。

しかし、災害の規模や被害の状況によっては3日目までの間に帰宅支援が出来る場合も有る等、4日目以降でないと帰宅させてはならないと云うものでは有りません。






平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響により、首都圏内では鉄道の多くが運行を停止すると共に、道路においても大規模な渋滞が発生する等多くの公共交通機関の運行に支障が生じていました、皆さんも困ったはずです。

地震の発生時刻が平日の午後(14時46分)でありながら、鉄道等を使って通勤・通学してい居る人々の帰宅手段がなくなってしまい、結果として、首都圏において約515万人に及ぶ帰宅困難者が発生してしまったのです。


発災後、多くの人達はあれくらいの揺れ多分対した地震ではない、電車などの交通機関はきっと動いているはず???との思いで学校の授業もいつも通り、会社の業務もいつも通りに終わらせていざ駅に行って見たら人が溢れている・・・・!!!!!そこで初めて地震によって最寄りの交通機関が動いていないことを知り、パニックが生じてしまったわけです。

人手溢れる各駅舎の中で駅員と揉める人、警察に何とかしろなどと怒鳴る人たち、そして動かないと諦め徒歩で自宅へ帰る人が続々と現れ始め主要幹線道路には人の列が出来、自動車の列と共に人の列も動き出したのです。

帰宅困難者溢れる人々.jpg



このように、首都圏において約515万人(内閣府推計)に及ぶ帰宅困難者が発生したわけですが、この膨大な数の帰宅困難者への対応は様々な会合で指摘されて、国や地方公共団体においても対策を進めてきました。

大規模地震による多数の死傷者・避難者が想定される中では行政機関による「公助」には限界があるため、可能な限り「自助」を前提としつつ「共助」も含めた総合的な対応が不可欠であると云えるでしょう。


これらの対応は、国・地方公共団体・民間企業等による個別の取り組みだけではなく、各機関が連携・協働した取り組みが重要であり、さらに国民一人一人の取り組みにつなげていく事がもっとも重要と云えるでしょう。


帰宅困難者対策協議会の参加団体は、①国の関係機関、②都道府県、③市区町村、④警察・消防、⑤報道機関、⑥通信事業団体、⑦交通事業者団体、⑧経済団体、⑨小売業者団体、⑩災害救護団体等が上げられます。

参加団体の名簿管理、協議会の運営(資料作成、司会進行)、協議会の開催連絡、訓練の企画立案等については、都道府県のいずれかが事務局となるか、都道府県と市が共同事務局となって実施するのが基本となっています。




一斉帰宅抑制の基本原則

大規模地震発生時には、救命・救助活動、消火活動、緊急輸送活度などの応急活動を迅速・円滑に行う必要があります。

皆さんも東日本大震災の時に、自衛隊員を乗せた車両や警察機動隊、消防隊車両などやトラックなどの前面に救援物質配送などと書かれた横断幕を付けたトラックが走っていたことを覚えているでしょうか。


帰宅困難者対策条例の概要.jpeg



公共交通機関が運行を停止している中で、大量の帰宅困難者が徒歩等により一斉帰宅を開始した場合には、これらの緊急車両の通行の妨げになる可能性が有り、応急活動に支障を来すことが懸念されるのです。

このような帰宅困難者の一斉帰宅に伴う混乱を回避する事とに合わせ、帰宅困難者自身の安全を確保を図るとともに、従業員を施設内に待機させることが需要なのです。


このため、大規模地震発生時においては「むやみに移動を開始しない」と云う一斉帰宅抑制の基本原則を徹底する事が不可欠でなのです。

企業等における従業員等の施設内待機やその為の備蓄の推進、一時滞在施設の確保、家族等との安否確認手段の確保等の取り組みを進めていく必要があるのです。


その為に、帰宅困難者受け入れ対策が進められているわけですが、企業としても協力姿勢を示しながらも様々な思いからなかなか進んでいません。

多くの企業が防災に対して高い意識が持たれているならば、そして実際に対応する方々に防災への知識が高まる事を願っている次第です。


次は企業等にける対応についてご紹介させて頂きます。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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ガイドラインから見る帰宅困難者受け入れ対応(3) [防災対策]

発災後は企業は施設の特性に応じて受け入れを行う


帰宅困難者受け入れについては誤解があるようで、すべての人を受け入れなければならないと考えがちですが実は、施設そのものの特性に応じて受け入れ態勢をする事が大事といえるのです。

施設にはそれぞれの広さやトイレ数なども限られていますので、規模に応じた受け入れ人数やトイレの位置などによって動線交差が起きやすいと考えられる場合には、発熱等のある方の受け入れは出来ませんよね。


この様に、施設提供側の思惑に一致した受けれ体制つくりが必要なわけで、その為にも施設側では受け入れ条件の提示、そして避難する側もその条件を受けれる許諾書に署名するなどして貰う必要があります。

帰宅困難者の一斉帰宅に伴う混乱を回避する事と併せ帰宅困難者自身の安全を確保を図る事、そして企業等においては従業員等の安全の確保を図るため、従業員等を施設内に待機させる事が一斉帰宅抑制の重要と云えるでしょう。


企業等は施設内の安全点検を地チェックシートにより施設の安全を確認するとともに、災害関連情報等を入手し、周辺の火災状況等を確認し、従業員等を施設内または他の安全な場所に待機させる必要があります。

来所者に対しても、従業員等に準じて施設内または他の安全な場所で待機して頂きますが、建物や周辺が安全でない場合は一時滞在施設(災害時帰宅支援ステーション施設等)等へ、従業員等を案内または誘導しましょう。




企業(事業所)における対応は

企業は防災計画の策定と従業員等への周知を図り、利用者の保護を目的に、発災直後の施設内待機、他の安全な場所への案内・誘導を行わなければなりません。

また、施設の特性や状況に応じ、高齢者、障がい者、乳幼児、妊婦、通学の小中学生、外国人等の要配慮者が必要とする物質等の備えをしなければなりません。

帰宅困難者対策、官民共同で.jpg



平時から耐震診断・耐震改修や家具類の転倒防止対策等の施設の安全確保をすると共に、施設の安全点検のためのチェックシート作成や訓練を行います。

前述のように施設の特性や実情に応じて、利用者の保護に必要な水や毛布などを備えておくことが大事で有り、また年1回以上の訓練等による定期的な手順の確認と改善を行って頂きたいものです。


帰宅困難者の一時滞在施設となる受け入れ施設は、都道府県や市区町村から帰宅困難者等を一時的に受け入れる事についての指定を受けたか、または協定を締結した施設の全部または一部の区域を基本としています。

受け入れた帰宅困難者等が安全に帰宅開始できるまでの間、原則として発災後3日間の運営を標準としますが、開設期間はあくまで目安であり、発災時の対応は施設や周辺の状況、協定内容等によてことなる事があります。


帰宅困難者の受け入れは床面積約3.3㎡あたり2人の収容を目安としてきましたが、最近の新型コロナウイルス対する複合災害対応として、4㎡あたり2名未満の収容が推奨されているようです。

施設管理者の役割は災害発生時の状況に応じて、可能な範囲で次の支援を行うと共に必要に応じ、受け入れ者へ施設運営の協力要請をしましょう

① 施設の安全を確認した後、受け入れスペースに帰宅困難者を速やかに受け入れる
② 水や食料、毛布等の支援物資を配布する。
③ 周辺の被害状況や道路、鉄道の運行状況等の情報収集及び施設滞在者に対する情報提供を行います。


要配慮者への対応として、市区町村や関係機関と連携し、高齢者、障がい者、乳幼児、妊婦、遠距離通学の小中学生、外国人等には特に配慮しなければなりません。




一時滞在施設の運営の準備は

施設管理者は、運営皆生杭全は防災計画を基に運営体制を決めておかなければなりません。
① 施設内における受け入れ場所
② 受け入れ定員
③ 運営委員の確保
④ 関係機関との連絡手順
⑤ 帰宅困難者の受け入れ手順
⑥ 施設在住者への情報提供の手順
⑦ 備蓄品の配布手順
⑧ 要配慮者への対応
⑨ セキュリティ・警備体制の構築

受け入れの場所の選定に際しては、余震等の可能性を考慮して、天井部等から物が落下する恐れがある場所を避ける必要があります。

平成26年4月1日に施工された建築基準法施行令において特定天井(脱落によって重大な危害を生じるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井)の脱落防止措置が定められており、改正規定が適用される天井は脱落防止措置を講じなければなりません。

また、受け入れ者に対して受け入れ時に受け入れ委条件を承諾の上利用してもらうため、受け入れ条件の提示や、受け入れ条件に承諾したことを示す署名が出来るよう、書面・帳票を準備しておかなければなりません。





受け入れ条件の内容とは

1) 共助の観点から施設管理者が善意で施設を提供・開設している事や、停電の中で運営せざるを得ない場合がある事を理解してもらう

2) 施設滞在者は施設管理者の指示に従うこと、また指示に従わない場合には一時滞在施設からの退去を要求する場合がある事。

3) 一時滞在施設は、災害時に共助の観点から善意で開設されたものであるため、施設内における事故等(建物・施設の瑕疵(かし)による事故を含む)については、施設管理者は故意または重過失がない限り責任を負わないこと。

4) 施設滞在者が自らの体調を崩したり、インフルエンザ等の感染症に関する場合についても、施設者はは故意または重過失がない限り責任を負わないこと。

5) 施設滞在者の所持する物品は基本的に預からないことまた、やむを得ず預かる場合でも、故意または重過失がある場合を除き、破損や紛失の責任を負わないこと。

6) 余震、延焼、電力途絶の影響で建物の安全性や周辺状況に変化が生じた場合、施設管理者の判断により急遽閉鎖する可能性が有る事。

7) 施設を閉鎖する場合等において、施設管理者または行政から全員または一部の施設滞在者へ移動の指示があった場合には、その指示に従う事。

8) 負傷者の治療は出来ない事や、備蓄品に限りがあり食料等の配布が出来ない場合がある事など、施設において対応できない事項がある事を理解している事。

等が上げられます。


施設管理者は、事後に災害救助法による費用の思弁を地元自治体に求める事を考慮し、地元自治体における避難所運営基準等に準じて、以下の書類・帳票等を一時滞在施設に整備し、保存してお置きましょう。

① 受け入れ者名簿
② 受け入れ委記録日計表
③ 一時滞在施設運営及び収容状況記録表
④ 一時滞在施設設置及び運営に要した物品受払証拠書類

他にも帰宅困難者の受け入れ委に必要な水、毛布、ブランケット、簡易トイレ等の物資の備蓄に努めなければなりません。

何度も前述しておりますが、年1回以上の訓練等による定期的な手順の確認、そして改善を行っていく事が大切ですね。
  



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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ガイドラインから見る帰宅困難者受け入れ対応(4) [防災対策]

発災時の施設の運営は施設管理者が判断する


これまで、ガイドラインから見る帰宅困難者受け入れ(1)(2)(3)で細かく述べてきましたが、すべてが企業側らから見て対応の仕方についての説明となっています。

これまでは地震の前の準備についてでしたが、今回は発災時の対応について企業の判断の仕方、開設までを述べていきたいと思っています。


今まで漠然と準備について皆さんに考えてもらい為にダラダラと述べてきましたが、準備がしっかりと出来ていれば発災時の対応はスムーズに行えるはずなのです。

何度も述べてきましたが、年1回以上の訓練による確認と改善が行われていれば、安心できる滞在施設の運営が出来るのではないでしょうか。



一時滞在施設の運営について!

施設管理者は、発災後安全点検の為のチェックシートによる点検を行い、行政機関・その他関係機関からの要請や、災害関連情報等による周辺状況を踏まえ、一時滞在施設を開設するか否かを判断します。


チェックシート.png



一時滞在施設として開設した場合(一部スペースも含む)、また一時滞在施設として開設後収容人員に達した場合には、新たな受け入れを停止するとともに、速やかにその旨の掲示及び協定締結先の都道府県や市区町村に報告を行わなければなりません。


此処が大切です、行政からの要請がなくとも、または、あらかじめ指定されていなくても、施設の安全性を確認したうえで、施設管理者の自主的な判断による開設を妨げるものではありません







此れから一時滞在施設を開設していく流れを時系列的に説明していきたいと思いますが、あくまでガイドラインに沿った説明ですので参考にして頂ければと思います。

企業には、一時滞在施設を開設するそれぞれのタイミングが有りますが、その施設が安全であるかどうかが確認されていれば、受け入れ条件を提示する事などで自然に受け入れ条件にあった方々が利用できるようになるはずです。


発災後開設までに概ね6時間後くらい

発災後は、下記の事柄を行うのですが、開設は概ね6時間後までにする事が望ましいです。




受け入れ場所の開設

① 発災後は必ず建物内の被害状況の把握やチェックシートによる安全点検を行い施設の安全性を確認しましょう
② 施設内の受け入れスペース、女性専用スペース、要配慮者スペース、運営要員専用スペース及び立ち入り禁止区域等の設定をするのですが、要配慮者スペースについては別室を確保しておくことが大切です。
③ 受け入れい場所の選定に際しては、余震等の可能性を考慮して、滞在者が負傷しないよう、天井部等からの落下物の恐れがある場所を避ける事が大切です。
また、受け入れ場所については、暗がりの部屋、入り組んだ場所の様に管理が行き届かない場所を避け、防犯面についても配慮をしておくことが重要です。
④ 従業員等による運営組織の編成、備蓄や設備の確認等の運営準備が必要です。
⑤ 一時滞在施設である事の表示をしましょう
⑥ 受け入れ条件の掲示、書類・帳票等の準備をしましょう。
⑦ 電話、特設公衆電話、FAX、無線機、Wi-Fi等の通信手段の確保が出来るようにして置きましょう。
⑧ 市区町村等への一時滞在施設の開設の報告をしましょう。


準備が出来たら、帰宅困難者受け入れを始めましょう(概ね12時間後まで)


受け入れ開始

① 帰宅困難者受け入れの開始、受け入れ者の留意事項への署名をしてもらう。
* 受け入れにあたり署名を拒否する者は受け入れを拒否しても良い。
② 簡易トイレ使用区域の設定等の保健衛生活動を行います。
③ 計画的な備蓄の配布など、水、食料等の供給を開始します。
④ し尿処理・ごみ処理のルール確立・周知を行います。
⑤ テレビ、ラジオ、インターネット等での情報の収集及び受け入れ者への伝達を図ります。
⑥ 受け入れ委可能人数に達した場合の新たな受け入れの停止、都道府県、市区町村等への報告を行います。


公共交通機関等の運行が開始・確認が取れた場合には、一時滞在施設の閉設(概ね4日後以降)をしましょう。


閉設のための退去要請

① 帰宅支援情報の提供を表示物やテレビ等などで行います。
② 一時滞在施設閉設の判断を決めますが、行政機関からの情報等を踏まえる事が基準となります。
③ 受け入れ医者の帰宅誘導を促します。
* 一定期間を超えてなお滞在する施設滞在者等に対し、退去要請等を行います。
④ 他の避難所への要配慮者の誘導を行いましょう。




国や都道府県市区町村の災害時の支援策

・ 国、都道府県及び市区町村は交通機関の復旧情報や道路の被災・復旧に関する情報等、帰宅が可能かどうかの判断が可能な情報を適宜提供してくれます。

・ 都道府県及び市区町村は、一時滞在施設からの報告をもとに受け入れ人数薬種物資の過不足を把握し、施設間の調整を行います。

・ 都道府県及び市区町村は、受け入れ者の帰宅等により施設の滞在人数が少数となった時は、他の一時滞在施設に移動させるなど、一時滞在施設の早期閉設を支援してくれます。

・ 一時滞在施設の開設期間は、原則3日間としていることから、都道府県及び市区町村は、施設管理者の要請に基づき、一定期間を超えてなお滞在する施設滞在者等に対する退去要請等の対応を実施しなければなりません。

・ 国、都道府県及び市区町村は、一時滞在施設の運営に関して施設管理者に損害が発生した場合または発生する恐れがある場合には、積極的に協力して対応しなければなりません。

なお、災害救助法が適用された区域については、食品の給与、飲料水の供給等が国庫負担の対象となる可能性が有ります。
 




国民一人一人が行うべき平時からの取り組みへの啓発


大規模地震発生時の帰宅困難者対策についていこれまで述べてきましたが如何でしたでしょうか、帰宅困難者対策については多数の死傷者・避難者が想定されているため、行政による「公助」だけでは限界がある事などから、可能な限り「自助」を前提としつつ「共助」を含めた総合的な対応が求められています。


子民一人一人が実施すべき平時からの取り組み.png



発災時には、平常時には問題なく利用できていた通信や交通等の手段が利用できなくなる事態が発生すると考えられています。

国民一人一人がそうした事態事態を想定して、発災時に情報収集や徒歩帰宅等をより円滑に行う事が出来るよう、対応策に平時から取り組みことをしていかなければなりません


この為、国、地方公共団体、事業者等は、国民一人一人が平時から行うべき取り組みが理解され、認識できるように、帰宅困難者対策に関するポスターの掲示やチラシの配布等の啓発活動を継続的に行うことが重要なのです。

また、企業や学校等においては、従業員や児童・生徒等が帰宅困難者となる場合を想定して、対応策への取り組みを行うよう、平時から従業員や生徒・保護者に推奨・指示を行う事が重要となっています。


企業等は、従業員等を一定期間事業所内に留めておくことが可能となるよう、事業所建物の耐震化、家具類の転倒、落下・移動防止、ガラスの飛散防止など、従業員等が事業所内に安全に待機できるよう環境整備に努めなければなりません。

また企業等は、事業継続計画(BCP)に基づいて首都圏直下地震発生時における従業員等の大気及び帰宅の方針をあらかじめ定めておき、従業員に周知しておきましょう。


他にも、首都直下地震発生時には電話が輻輳する事を踏まえ、事業所と従業員間の安否確認方法をあらかじめ定めると共に、従業員とその家族間においても、携帯電話災害用伝言版や災害用伝言ダイヤル171、ソーシャル・ネットワーキング・サービス等の複数の安否確認手段をあらかじめ確認し、当該手段を利用するよう周知しておきましょう。

企業等は、首都直下地震を想定した訓練を定期的に行い、必要に応じて対策の見直しを行わなければなりません。



今まで、ガイドラインから見る帰宅困難者受け入れ対応について述べてきましたが、多くの企業やコレラ路読んでくださっている方々にはは企業等内において、参考及び活用して頂ければ幸いです。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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コロナより避難を優先、避難所は満員 [防災対策]

台風10号、長崎県内で12市町133ヵ所で満員状態に


大きな被害をもたらした台風10号、気象庁でも過去最大級の大きさである事を予想しており甚大な被害がが出る可能性を示唆していました。

気象庁は過去の被害状況を鑑み、明るいうちの早期避難を呼びかけ、被害が予想されている地域では多くの方々が避難を始めたのです。


避難レベル.png



長崎県内でも自治体が設けた避難所全体:742ヵ所の18%にあたる12市町村133ヵ所で収容定員に達する満員状態であった事が分かりました。

新型コロナウイルス感染症対策で1ヵ所当たりの収容人数を制限する中、想定を上回った所もあり、近隣の避難所を案内する等自治体は対応に追われたそうです。


県では各自治体が台風9号の時に247ヵ所を開設しましたが、10号時には避難所を増設、それでもピーク時には約1670人を大きく上まる5万人超が来所し満員状態が相次いだとの事です。

避難所では、避難者同士の距離を保つなどコロナ対策を取ったそうですが、多くの方から「コロナより避難」と云う声も上がり、現場の職員は板挟み状態になり、感染症対策と避難所運営のバランスの難しさが浮き彫りになったのです。





社会的距離を保った多様な避難を

新型コロナウイルス感染症の影響が懸念される中、大雨や台風、地震が発生した時に自治体が開設する指定避難所における感染拡大をどう防ぐのか?、感染リスクが高まるとされる「3密(密閉・密集・密接)」状態の中で防災対策と感染予防を両立させた避難所の運営は出来るのか?、対策が急がれます。

避難所運営の基本は、「災害で人を死なせない」「新型コロナウイルス感染症に罹患させない」、「避難生活下での関連した病気を極力防止する」・・・・コロナ渦の中で災害が発生した場合、最も重要なのはこの3点に尽きると専門家は述べています。


世界の避難所から見間ますと、もともと日本の避難所環境は劣悪とまで言われており、数百人の避難者が体育館などに密集し、冷たい床の上に雑魚寝状態になっているのが実情です。

トイレのスペースも小さく、数が少ないなど、衛生上よくない環境が上げられてきましたが改善の兆しは見えず3密と3K(汚い、危険、きつい)、多くの課題を改善しなければならないという議論が置き去りにされてきたのです。


早期避難.jpg



台風襲来の季節の前に、より質の高い避難を考え、自治体も住民も意識と役割を見直し、新しい環境づくりを模索していかなければなりません。

台風9号・10号で分かったことは以下に3密をどう回避するか、多くの避難者をどのように受け入れるべきか、これまでの避難所における1人当たりの収容面積は1~1.6㎡でしたが、感染防止のためのソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つには、1人当たり4㎡が求められます。


つまり、今までより広くとるため、避難所の収容能力が従来より3~4倍多く必要となり、避難所が不足するのは目に見えているのです。





分散避難を考えよう

避難所不足を補うためには、住民の逃げ方を変える事を変えなければなりません、その為には「分散避難」の考え方です。

「動かない避難(在宅避難)」をはじめとする親類や知人宅への縁故避難、ホテルなどへの日案、車中などの青空避難等が上げられます。


避難所に寝泊まりするのは原則1日、もしくは2~3日以上ですが、留まらないの前提で、その後は、ホテルなどに移る手立ての検討が自治体などに求められますが、3密の他、空気中のウイルスの飛沫感染と接触感染が考えられるからです。


避難所の運用についても、避難者の健康状態によって生活空間を区分しなければなりません、感染が疑われる人などには別室(教室など)に分離する必要があります。

体育館などでは、段ボールなどの間仕切りを設け、床面で就寝しないように対策を施し、トイレや食事場所は分け、それぞれの場所に行く動線も分離しなければなりませんが自治体は新型コロナウイルスにおける避難場所を早く住民に示す必要があります。


新型コロナウイルス感染症予防を考えながら「3密、3K」の避難場所に身を寄せる訳ですが、まず、自分が感染しない、周囲に感染させないことが大切なのです。



持ち出し袋に何が必要かを考える

自然災害時の避難に備えて用意している非常用持ち出し袋に、コロナ予防に使える衛生用品などを追加しておくことも大事ですね。

マスクやアルコール消毒液、使い慣れた体温計、常用薬等をはじめ、家族単位のハンドソープ、出来る限り多くのティッシュやポリ袋などを用意しておきましょう。


上履きやスリッパは床からの接触感染を防ぐためにも重要で、使い捨てのビニール手袋はドアノブなど多くの人が触れるものからの接触感染から身を守れますし、使い捨てのビニールエプロンやゴミ袋も、避難所の運営協力に役立ちます。

揃えるだけでも難しいですよね、何が必要か、先次て考えなければなりませんが、必要な物資を揃え、家族での逃げ方、そして逃げる場所等も、其れも1日だけではなく数日単位、もしかしたら長期に及ぶ場合の避難場所を考えておきましょう。


自宅が安全ならば、避難所に行かずに在宅避難も選択肢の一つですが、その場合には、自宅で1週間過ごすための必要な水や食料、常用薬、ライト、ラジオなどを用意しておくといいですね。

また、親戚や知人宅への縁故避難も考えられる手段の一つですが、】安全な場所にある親類や知人宅が同じ地域や隣接地にあればもしもの場合にはと事前に一時避難場所としてお願いし合う事を考えておくべきです。


高齢者や障がい者、妊婦などの要支援者や要配慮者などは、民生委員等が大雨予報時の避難先を事前に聞いたり、避難所や福祉施設に早めに誘導したりする必要があります。

しかし、福祉施設の場合は感染防止が優先されるため、事前に確認をしておくほうが良いかも知れません。





参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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意外と知らないハザードマップ [防災対策]

各市町村で作成しているハザードマップ、各家庭に必要なはずですが・・・・??


ハザードマップ????それって何!!
私の家にはないわね、配布されたの、其れって必要?・・・えっ地震や洪水の時必要って?だって避難所って近くの学校じゃないの?。

意外と知らないハザードマップ・・・それはどうしてなのでしょうか、私の住んでいるところは水害に合わないし大丈夫だから、、、、って思っている人が多いんです。


各市町村では新しいハザードマップが出来たら配布したり、各公民館や市区町村出張所、市区町村役場において配布を促していますが、本当に只配るだけでよいのでしょうか?

地域によっては自治会が主体となってハザードマップに沿った様々な取り組みを行ったりしていますが、参加者が少ないのが問題になっています。


実際に私の住んでいる地域の防災マップハンドブック(市区町村のHPからダウンロードもしくは印刷で入手する事も出来ます)を見てみますとを見てみますと、避難場所の選定から始まり連絡先の記入などがあり、そして地震対策、火災対策、風水害対策、土砂災害対策、地域防災対策、高齢者・障がい者の方向け防災対策、集合住宅防災対策、そして市の防災対策、市を各ブロックに分けた防災マップまでが編纂されています。

実際に手に取ってみますと、内容的には私がこれまで述べてきたものが簡略されて記載されていますので分かりやすいですね。


避難所に移動する際の準備として、地震対策乱に家族会議にて連絡方法や集合場所の取り決め、非常持ち出し品の用意の仕方などが記載されています。

実際には、30年に一度起こると言われている大地震より、大雨時の河川の氾濫、洪水、土砂崩れ等ののほうが多いわけですからこれから台風を迎える季節になりますので早めの準備を進めて欲しいものです。






非常持ち出し品を用意しましょう

① 被災地に救援物資が届くまでには3日かかると言われていますので、この持ち出し品はこの3日間に必要なものを厳選して揃えておきましょう。

② 家族構成に応じて準備し、乳幼児やお年寄りなどで、特に必要なものが有れば付け加えておきましょう。

③ 非常持ち出し品は、一つにまとめ、、すぐに取り出せる場所に保管しておきましょう。

④ 非常持ち出し品は、定期的に点検しましょう。

⑤ 保存状態や使用期限などを定期的にチェックして、必要に応じて新しいものに交換しましょう。


FireShot Capture 031 - 日頃の備え - 防犯・防災・安全 - asukamura.jp.png



一次持ち出し品  大地震などが発生した時に避難する場合、最初に持ち出すべきの物です。

① 貴重品ですが、現金(10円玉が有ると公衆電話利用に便利)、預金通帳、印鑑、免許証、保険証、権利証などです。現金はあらかじめ1万円前後は用意してい置いた方がよいかも知れません、停電の場合、ATMが使えない可能性もあるからです。

② 下着類とタオル、靴下などを家族構成に合わせて準備しておきましょう。

③ 非常食ですが、乾パンや缶詰など火を通さなくても食べられるものですが、缶切りや栓抜きも忘れないようにしましょう。

④ 飲料水ですが、持ち運び用にペットボトルを、使用後も配水時に使用できます。

⑤ 救急医薬品・常用薬ですが、絆創膏や傷薬、訪台、胃腸薬、持病のある方は常用薬などを入れて用意しておきましょう。

⑥ 懐中電灯や携帯ラジオ(AM・FM両方聞けるもの)、予備電池も用意しておきましょう。

⑦ そのほか、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、ティッシュペーパー、ビニール袋(45L,90Lなどの大型のもの)、軍手、ロープ、マッチ、洗面用具、簡易トイレ、生理用品など


非常持ち出し品リスト、備蓄品リスト.jpg


二次持ち出し品  大災害時に、組織的に救援、復旧活動が軌道に乗るまで、最低3日間は自活できるようにして置きましょう。

① 食料ですが、アルファ米など簡単な調理で食べられる食品

② 飲料水ですが、一人1日3Lが目安となりますのでポリタンクなどに保存しておきましょう。

③ 卓上コンロや固形燃料、そのほかにライター、マッチ、携帯電話の充電器(ソーラー式、手回し機、モバイルバッテリーなど)ラップ、アルミホイル、紙皿など


他にもこんなものが必要です。

① 赤ちゃんがいる場合、粉ミルク・液体ミルクや哺乳瓶、離乳食、紙おむつなど。

② お年寄りがいる場合、予備のメガネ、居れば、補聴器、大人用紙おむつなど。

③ ペットを飼っている場合、5日分以上のペットフード、水、予備の首輪、リード(伸びないもの)食器、ガムテープ、薬など


スプレッド最狭水準宣言




風水害対策

近年台風や集中豪雨のため、洪水や崖崩れ等の災害が全国各地で発生しているの皆さんもご存知だと思います。

首都圏地域では、市街化が進むにつれて、雨水を貯めていた田畑や森林が大幅に減少したのに併せて、道路の舗装や排水路整備が進み、雨水が一気に河川に流れ込む危険が有るのです。

ゲリラ豪雨の増加で深刻化する都市型水害.jpg


また、冷房使用におけるクーラー排熱と道路舗装などによる輻射熱等で、ヒ-トアイランド現象が原因とみられる集中豪雨が近年頻繁に起こっているのです。

都市部では、地下に浸透してい雨の殆どが下水道に流れ込み、下水施設の処理能力を超えて道路冠水や住宅への浸水被害が発生すると云う「都市型水害」が発生しています。


都市部での集中豪雨は、私たちの想像事情に大きな被害をもたらす場合がありますので、十分な注意が必要ですね。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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ハザードマップの活用方法って??? [防災対策]

あなたの命や街を守るハザードマップ、貴方はご存知ですか?


各自治体がご家庭に配布したり、または市町村役場や公民館、図書館などに置いてありますので一度は手に取ってみたことが有ると思います。

えぇっ、アパートだから分からない?、配布されていない?、引っ越ししたばかりだから?!!等などの方も一度は必ず訪れなくてはならない市区町村役場や公民館、職員に声を掛けてみて下さいね、もしかしたらハザードマップであなたの命が守られるかも知れません。


ハザードマップは最新の知見に基づいて作成されていますので、的確にこれを利用するならばあなたの命、財産を守るためには非常に有効なのです。

内閣府・防災情報のページには2018年倉敷市真備町の洪水について、浸水したエリア、浸水深はハザードマップとほぼ一致していたと言われています。


倉敷市ハザードマップ.jpg



このように事前に洪水ハザードマップを確認していた人は、洪水の危険性を知っていたであろうと思いますし、避難行動につながったのではと推察されます。

国土交通省「水害ハザードマップの利活用事例集」等に見られますように、ハザードマップは平時から地域の防災家初活動に活用されているのです。





ハザードマップを家庭・地域で確認し合いましょう

ハザードマップは地域の自助力、共助力を向上させるツールとして活用されることが望まれていますが、しかし、現実にはハザードマップによる防災意識の啓発効果は十分に得られていないと言われています。

しかし、それには理由があり、多くの住民は多忙な日常生活の中でハザードマップをしっかりと確認して、我が家の対策を考える機会を作りにくいのです。


そこで、家庭、地域では様々な事の中で心掛けて頂きたいのです、例えば時間を作ってハザードマップを囲んで我が家の防災会議を開き、自治体から配布されたハザードマップを全種類確認する等です。

もし我が家にいハザードマップが無い場合、市町村役場で貰ってくるか、自治体のホームページからダウンロードしましょう。


家族会議の議題として、家にいる場合、学校や職場にいる場合など時間帯を想定しながらみんなで話し合う事です。

連絡方法や確認方法は?、移動ルートは?、どのように移動するか?、非常持ち出し袋は?等々思いついたことからきちんと話し合い家族ルールを決めておくことです。


防災図上訓練.JPG



地域の自主防災組織としてはハザードをしっかりと認識するには、災害図上訓練を行う事が効果的です。

自分の手で地図にハザードを書き込むことで、イメージが湧き、対応も現実的に考えるようになるからです。





ハザードマップ活用の利点と課題

ハザードマップを活用する際に気を付けなければならないのはハザードマップに示された被害予測情報が最大値であると云う思い込みを招きやすい事です。

津波や洪水の水深が50センチ未満と表示されていれば「我が家はこの程度だから避難する事はないだろう」という誤解を生じかねないのです。

最近では「災害イメージの固定化」を解消する対策としてシュミレーション技術を用いた「動くハザードマップ」が開発、公表されています。


利用者の結果として、時々刻々と状況が変化するアニメーションによって、視覚的にわかりやすく表現され、災害対応力の向上に効果が期待されています。


東日本大震災を経験して求められることは、自らの命を守るためには主体的な姿勢を持つこと、そのうえで、被害想定やハザードマップの作成の前提条件を正しく理解しながら、自らの命を守るためのツールとして有効活用できノウハウを身に着ける事なのです。

大規模災害は、時には我々の想定レベルを超える超過外力によって襲ってきます、想定レベルまでの災害を防ぐ事は出来てもそれ以上に対しては無力なのです。


我々は、ハザードマップで浸水想定区域を示しますと、浸水想定区域外の住民にとってはあたかも行政が安全を保障してくれると勘違いする傾向にあります。

防災行政に過剰に依存することなく、災害は人知を超える事がある事を意識して、全国民が災害に備えなければなりません。


何度も述べますが「自助」「共助」、「協働」、そして最後に【公助】であること忘れないでくださいね。





参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページ
環境省 人とペットの災害対策ガイドライン

より




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都市防災を根本的に考える [防災対策]

人口集中と高蜜高層化、新旧の混在、地盤沈下や軟弱地盤、それでも我々は生活していかなければならない


私たちの住んでいる日本列島は以前にも記述していますが、世界で稀に見る3つのプレートの上に乗っているのは皆さんご存知ですよね。

特に首都である東京はそのもっとも危険なところにあり、30年以内に起きるであろうと云われている首都圏直下型地震に向け、準備・対策を練っておかなければならないのです。


リスクレベルを減じる事を考える必要がある。

都市の多くは農業・水産業・林業などの第一次産業からの生産物の集約と、流通の起点として生まれている事は、学校教育の社会で習ったと思いますが、流通の基となる移動手段は河川周辺の平坦な場所に立地し、利便性を高めていくうちにそれはしばしば河口エリアに集中する事になってしまったのです。

これ等が第二次産業、三次産業が発達して人口集中が進み、それに伴って道路や建物が増え、交通網が作られて都市が構築されてきた。

こうした都市の成り立ちや発展の経緯は個々の都市によって異なり、世界一と云われる巨大都市・東京を核とする首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)と、札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、広島、福岡と云った拠点の大都市、その他の拠点都市では都市機能の集積度合いが違うのです。

防災 リスクレベルを減じるには.jpg


それらを考えた上での都市防災の目標は、都市化によりプラスされたリスクを減じて、周りに人が居ない野中の一軒家と同等レベルのリスクレベルにする事であって、リスクをゼロにする事では有りません。

人知を超える自然災害に対しては、この「減災」しか立ち向かう術はなく、その中で同時に損害の選択も必要になります。

家を捨てれば助かる命は過去に多数の例が有りましたが、しかし、災害の中で最優先されるのは人命で、このことは肝に銘じておかなければなりません。




防災面から見た都市の特徴とは

私たちが知っておかなければならない防災の基本は、自分の安全は自分で守る事ですが、都市特有の要因がそれを阻害することが有ります。

防災面から見た都市の特徴.jpg


その為には、まず都市特徴をきちんと把握しておくことが大切で、都市の成り立ちや規模などからそれぞれの都市別にレベルの差は有りますが、特徴提な危険性やリスクを知ったうえで、地域や職場の防災・減災活動に携わる事が求められます。

① 人口集中と施設の高蜜高層化
商業が活発な都市部において人が増えれば居住、生活、就労などの場所が必要になり、しかも利便性や効率性から施設も集中するため、高蜜高層化は避けられません。

② 新旧の混在とその結果の危険の存在
「ローマは一日にして成らず」の言葉があるように、殆どの都市は一世に出来たわけではなく、次第に大きくなってきた訳で、住居や施設の建設時期はみなバラバラなのです。
 建築基準法で耐震性や耐火性の新たな基準を作っても、古い建物に遡及させる事は難しく、その為、旧基準の建物が残り、危険の偏在が生じてしまうのです。

③ 地盤沈下や地盤軟弱
生活の分布が広がるにつれて土地が足りなくなり、埋め立て地などの軟弱地盤も利用されるようになります。
 また、地下水の汲み上げ等による地盤沈下も起こりやすく、液状化や都市水害の危険性にもつながるのです。

④ 地下空間の進出
高蜜高層化は上への拡大ばかりではなく、地下へも広がり、より深くに拡大して行きます。
 交通網や、商業施設なの度地下展開は多くの都市にみられ、変化のスピードに規制が追い付いていない等のが現状です。

⑤ エネルギーの高密消費と供給網での大量蓄積や滞留
都市部への人口集中の結果、エネルギー消費も高蜜になり、其れに伴って電力やガスの供給網も高密度になり、ガソリンスタンドも各所にあるなど、これ等の平常時には安全に管理されているエネルギーが、災害時には火災、爆発の原因となる事も有ります。

⑥ 住民の移動距離の大きさと人間関係の希薄化
人間の数は多くても互いに知らないし、濃密な人間関係を遮断できることが都市の魅力の一つですが、これ等は巨大化すればするほど顕著になります。
 さらに夜間人口と昼間人このギャップに見られるように、生活と仕事などの場が遠くなり、さらに流動性が高い旅行、出張、レジャーなどの人達も加わるのです。
 この「顔が見えにくくなった」と云う都市人間の特性は災害時には特に留意しなければなりません。




新旧混在の問題点

都市の特徴としては、新旧の混在と危険の偏在が上げられますが、その端的な例が古い建物と新しい建物の混在と云えるでしょう。

古い建物には、地震による倒壊の危険ばかりでなく、火災の危険もあります、このため各都市では、都市の弱点である木造密集地域対策、或いは密集市街地対策を進めて都市の防火区画化を急いでいます。

東京都木造地域不燃10年推進プロジェクト.jpg


東京都を例にとりますと、山手線の外側を中心に面積で約4割が木造密集地になっています。
 都の木造密集地域の定義は、木造建築物棟数率70%以上、老朽木造建築物棟数率30%以上、住宅戸数密度55世帯/ha以上、不燃領域率60%未満となっていますが、これ等の地域は高齢化が進むとともに、利権関係が複雑で建て替え意欲が低いのです。

この為、都は首都圏直下地震を想定し、2010年から「木造地域不燃10年推進プロジェクト」をスタートさせました。

① 市街地の不燃化により炎症による焼失ゼロ(不燃領域率70%)を実現

② 延焼遮断帯となる主要な都市計画道路を100%整備

を掲げ、こうした区画を整備する事で「燃えない街・燃え広がらない街」の実現を目指しています。

この木造密集地域対策は、どの大都市にも共通する課題で「災害に強い街づくり」を進めるうえで大きな柱となっています。





参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページ
環境省 人とペットの災害対策ガイドライン
長野県諏訪地域振興局 長野県魅力発信ブログ
月間総務オンライン 総務辞典

より






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