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火山噴火予知は可能か? [火山噴火]

火山噴火の短期予知は、一部の火山を除いて・・・・・・・!、日常において細心の注意が必要



日本列島に縦横して鎮座するように連なっている火山群、はたしてこの火山群の中から火山噴火の予知が可能なのだろうか?火山噴火予知連絡会・火山観測体制等に関する検討会が平成27年3月に次のような発表を行いました。

これは平成26年9月27日に噴火した御嶽山水蒸気噴火によって、死者57名、及び行方不明者6名(平成26年10月28日時点)という惨劇が起きてしまったことを踏まえたもので、平成19年に気象庁が噴火警報の発表を開始してからは初めて犠牲者を出す噴火だったのです。


御岳山噴火.jpg


また、この犠牲者数は近代的な火山観測が始まってから、大正15年十勝岳噴火に次ぐものであり、昭和40年1月1日に気象庁が火山情報の発表を正式に開始して以来最多の人命を失ってしまったのです。

噴火に先行して出現する現象は、同じ火山であっても同じとは限らないと言う事で、一部の現象のみが観測されて噴火に至る場合も有るなど多様性がみられるのです。


特に御岳山噴火のような水蒸気噴火においては、先行現象の規模が小さく、現象がみられる場所も火口付近など比較的狭い領域に限られる場合が多いと言われてきました。

火山観測体制に関する検討会では、これまでの調査研究の推進及びその成果を踏まえた監視体制の在り方、観測データの流通および共有化体制、各機関の役割分担と観測精度の優先度を踏まえた火山ごとの具体的な観測網の在り方についても検討を行ってきました。


その結果として、現在の火山に関する知見、火山噴火予知の科学的水準では、水蒸気噴火の発生を予測することは困難であると発表したのです。






御岳山噴火で明らかになった課題とは?

御岳山噴火の災害を防止できなかったという観点から、噴火に至るまでの気象庁の対応からいくつかの課題が明らかになりました。


1) 水蒸気噴火の兆候把握に役立つ山頂付近での観測体制が十分でなかった。

2) 山頂直下で2007年以来の一時的な火山性地震の増加を認識していたが、過去の噴火前に見られた火山性微動や地殻変動が観測されておらず、このような場合の総合的に評価する体制が十分でなかった。

3)火山活動に変化があった場合の連絡や意見交換の在り方が関係者間で定められていなったことも有り、名古屋大学や火山噴火より委員会との間で十分な意見交換、認識の共有がなされていなかった。


このような点を踏まえ、噴火による人的被害を二度と発生させないためにも、気象庁は、今後以下の事項について、真摯に対処することが必要である。

◎ 水蒸気噴火の先行現象を把握するための、火口付近の観測体制。

◎ 噴火警報を発表するための火山活動評価の在り方。

◎ 現地調査や現地での情報収集、多くの専門家の意見を聞くための体制。


緊急に対処すべき事項

検討会では、御嶽山で明らかになった課題の基づき、御嶽山を含む全国の活火山において緊急に対すべき事項として、以下の項目を検討し「御岳山の噴火災害を踏まえた活火山の観測体制の強化に対する緊急提言」を纏め、提言をしています。

① 火口付近への観測施設の増強

② 水蒸気噴火の兆候をより早期に把握できる手法の開発。

「御嶽山の火山活動の推移を把握するための観測強化。常時監視が必要な火山の見直し(八甲田山、十和田、弥陀ヶ原の追加)」

を必要としたのです。。







火山噴火予知と観測体制

火山噴火予知の5要素として、① いつ噴火するのか、② どこで噴火するのか、③ どれくらいの規模の噴火か④ どのような噴火化、⑤いつまで続くか、を明らかに出来るようになる事が期待されています。

十分な観測体制が取られている火山で、やや大きめの噴火が発生する場合には、噴火の前兆現象を捉えて、何時頃噴火するのかについては把握できると考えても良い・・・と云う所まで来ています。 


気象庁によって24時間体制で監視されている火山を常時観測火山と呼びますが、日本の111の活火山すべてがこの対象になっているわけではないのです。

2009年時点では34火山で有りましたが、2010年には観測点の増設が行われ47火山となりました。


火山噴火予知連絡会の観測体制検討会による2014年度の提言を受けて、2016年11月から八甲田山、十和田、弥陀ヶ原の3火山柄谷咥えられ、常時観測火山は50火山となったのです。

しかし、百年以上噴火していなくて、常時観測も行われていない火山では、今後不意打ち噴火などの可能性も考えられますよね、ここの火山のどこで(山頂か山腹かなど)噴火するかも噴火前に特定することは地殻変動観測などが十分に行われている火山でない限り、困難なことが多いのです。


このため、噴火警戒レベル導入の当初から、各火山のパンフレットには、レベルの引き上げは、噴火が発生した場合か、噴火の恐れがある場合に引き上げらると明示されていましたが、このことの周知が不十分でした。

活火山への登山や、活火山近くの経済活動、日常生活には細心の注意が未だ必要とされています。





火山噴火のの中・長期予測

噴火の規模や様式をあらかじめ予測することは困難であって、よほど規則的に噴火を繰り返ししているような火山か、地下でのマグマの蓄積状況を地殻変動観測などによって、連続的に把握できている火山でない限り、次の噴火が何時頃起こるのかについて数年ないし数十年スケールの予測を行う事は困難なのです。

つまり、今、何事もない火山であっても、数年先に突然地震活動や噴火活動が活発になって、噴火に至ると云う可能性も十分に考えられることなのです。


このように中・長期予測も現時点では困難ですが、それぞれの火山について、ボーリングなどを活用した詳細な地質調査によって、数百年から数千年スケールでの噴火の繰返し周期などについての知識が得られていれば、地殻変動観測によるマグマ蓄積量の推定と合わせて、ある程度の長期てな予測を行う事も可能となるのでは、と考えられています。

個々の火山について、中・長期予測を行う事は困難でも、国全体の火山活動について100年程度の時間枠で考えると、ほぼ一定程度の活動度であるとみなすことが出来るのです。


日本では3億立方メートル以上の噴出物を出す噴火は1世紀に5~6回程度発生していますが、1929年の北海道駒ヶ岳噴火以来、3億立方メートル以上の噴火は起きていないのです。

最近の100年ほどは以上に火山活動が低調であったことから、21世紀中には数回以上の大きな噴火が起こる可能性が高い、と言われています。


20世紀以降、マグニチュード9程度の巨大地震は6回発生していますが、いずれも数年以内に近くの火山が噴火しており、日本でも誘発火山噴火が警戒されましたが2019年1月現在誘発火山噴火は確認されていません。

東北地方太平洋沖地震は日本の地殻構造に大きな変化を与えたことは確かなので、今後も火山活動の活発化などに注意する必要が有るでしょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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風水害の季節を迎える時期に、対策は出来ていますか [風水害]

地球温暖化と気象変動が招く地球規模の風水害に、日本列島も襲われている



日本は北半球にありアジア大陸の東の端に位置し、南北に伸びた細長い国土を有しているのをご存知ですよね、そのため日本には世界で珍しいと言われる四季があり、春には温暖な気候を、夏には湿気と暑さに耐え、そして秋には自然の実りを得られる秋が、そして雪が降り自然も眠り付く冬を迎えるという一年の流れの中で私たちは生活をしています。

また、太平洋側と日本海側を高い山で分断するかのようになっているために、冬はユーラシア大陸から寒冷な空気が北西方向から日本列島に吹き込み、乾燥と寒さを持たらしますが、日本海側の地方では大陸との間に日本海があるために、乾燥・寒冷にはならず、日本海の水蒸気が雲となって日本海側に雨や雪をもたらします。


梅雨前線.jpg


夏は太平洋高気圧に覆われ、海からの湿った暖かい空気が日本列島に吹き込むのですが、このように夏と冬とでは季節風のもたらす効果が逆であるため、その入れ替えの時期が梅雨と秋雨になるわけですが、梅雨前線と秋雨前線はほぼ毎年一定の期間日本付近に留まって、まとまった雨を降らすことになるのです。


秋雨前線.jpg


日本は北東から南西に細長く横たわっている4つの主要な島々により形成され、これらの島々には高さ2000mから3000mに及ぶ脊梁山脈が縦走しており、このため、河川は一般に急こう配で流路延長が短く、流域の面積も小さいという地形的特性が有ります。






降水雨量の呼び方が変わった

年間降水雨量について、多雨の年と少雨の年が大きくなってきていますが近年では集中豪雨が増加傾向にあり、特に1時間降水量50mm以上及び80mm以上の短時間豪雨の発生回数の10年平均を比較すると、1976~1985年はそれぞれ173.8回及び10.7回だったものが、2006年~20015年は230.2回及び18.0回とともに増加してることが分かったのです。

気象庁では2012年より、記録的な大雨が発生した場合において、気象情報の中で「これまでに経験した事の無いような大雨や「〇〇豪雨に匹敵」等の文言を用いて非常に危機感を抱いている状況を明確に伝えているのです。


堤防決壊.jpg


最近では、急速な都市化の進展と河川流域の開発という社会的要因によって国土の10%の洪水氾濫区域(洪水時の河川水位より地盤の低い区域」に、総人口の50%の人達が居住し、全資産の約75%が集中するなど、洪水や高潮によって大きな被害を受けやすい状態になっています。

日本の年の大部分は沖積平野に位置し、洪水時の河川水位より低い部分も少なくなく、堤防に守られている場所でも、洪水時には河川が地盤高より高い所を流れているので、堤防が決壊してしまうと、勢いよく水があふれ出て住宅を損壊、流失させ、長時間にわたって広範囲に水没させることになってしまうのです。


これらを踏まえて、治水事業の計画的かつ着実な進歩に伴い、水害による浸水面積は減少してきていますが、被害額については洪水氾濫区域の市街化と資産集積の進展によって、依然として減っておらず、特に都市域では、氾濫区域の土地利用の高度化によって被害ポテンシャルが増大し、交通やライフラインなどの都市機能の麻痺や地下空間の浸水被害など、都市型水害としての課題が顕在化しているのです。






地球温暖化と気象変動

オゾン層破壊や北極海や南極の氷が溶けだしたり、永久凍土が溶けだしメタンガスが放出されているなど、地球温暖化が騒がれていますが、その主要な要因として、人間活動にあった可能性が極めて高いと考えられています。

二酸化炭素(CO₂)に代表される温室効果ガスは、太陽から降り注ぐ熱を宇宙空間に逃がさないようにする必要な物質でもありますが、多すぎると気候変動を招き、気象現象にも影響すると考えられているのです。


二酸化炭素の累積排出量と世界の地上平均気温の上昇量は、ほぼ比例関係にあり、また海洋中層(700m~2000M)への熱の取り込みが続いている可能性が高く、今世紀末には世界の平均気温が0.3℃~4.8℃(有効な対策を取らない場合は2.6℃~4.8℃)上昇し、海面水位は26cm~82cm上昇すると予測されています。

気候変動に伴い、極端な高温や熱波、大雨の頻度は引き続き増加する可能性は非常に高いのです。





エルニーニョ現象とラニーニャ現象

地球温暖化との関係性については明らかにされていませんが、世界中で異常気象による気象災害が発生している事はご存知でしょうか?その異常現象の原因の一つに「エルニーニョ現象」や「ラニーニャ現象」があり、どちらも太平洋東部赤道域における海水温の変化が挙げられます。


エルニーニョ現象.jpg


海水温度が高くなるものが「エルニーニョ現象」低くなるもの「ラニーニャ現象」と呼び、海水温度の変化によって大気の流れが変わり、日本付近の気圧配置に影響を及ぼすと考えられているのです。

一般にエルニーニョ現象発生時に東日本、西日本で暖冬が西日本と南西諸島に冷夏の傾向がみられます。


エルニーニョとラニーニャ現象.jpg


2016年の世界と日本の平均気温が統計開始以来最も高い値となりましたが、気象庁も「要因の一つとしてエルニーニョ現象の影響が考えられる」と示しています。

他の気象要素が絡むため、単純に「エルニーニョ現象」だけで暖冬、冷夏を判断する事は出来ませんが、統計的に優位な傾向は明らかなのです。



ゲリラ豪雨について

近年の都市型異常気象災害の一つとして通称・ゲリラ豪雨と呼ばれる現象が有ります。

ゲリラ豪雨は、局地的で突発的な予測が難しい豪雨の事をいう訳ですが、地球温暖化や大都市のヒートアイランド化などが原因となって起こると言われています。


夏場、大都市では人間の生活や活動のためにエアコン、自動車のエンジン、ビルのコンクリートやアスファルト舗装が取り込んだ太陽からの照り返しや輻射熱などで、周りの地域よりも3~4℃気温が高くなり、その為、強い上昇気流が生じ、積乱雲を発達させやすくすると言われています。

自然に起こる集中豪雨は積乱雲の発生から発達、移動までを観測・予測できるため早めに警戒を促す事が出来ますが、その場で発生、発達する積乱雲は発生から降雨までの時間が短いため、対応が遅れがちになり被害が発生しやすいのです。


急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨であり、「局地的大雨」と呼ばれています。


*注) ゲリラ豪雨は正式な希少用語ではなく、明確な一律の定義もなくその発生のメカニズムもまだ解明されていません。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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台風と高潮の関係(1) [風水害]

台風は、太平洋赤道付近の温かい海水が蒸発して発達した積乱雲の集合体



冬から春への変わりを告げる春雷が轟いた5月6日でしたが、これから菜種梅雨を過ぎ、6月に梅雨に入りまた暑い夏を迎える事になります。

季節の変わり目、暖気と寒気の入れ変えによって起こるのが春雷、これから少しずつタイへよう高気圧が張り出してくる時期なってくるわけですが、それと同時に私たちの生活環境に大きな影響を与える台風が出来る季節にもなってきます。



地球温暖化の長期的な影響を受け、台風や熱帯性低気圧の強度が増大しているという事をご存知でしょうか?ここ数年、風水害によって土砂崩れや堤防決壊などで大きな被害がTVやニュース等で報道されています。

昨年の9月に発制した台風19号の爪痕はいまだに記憶に強く刻まれ、筆者自身も当時は自宅に帰らずにホテルで宿泊しました。


気温の上昇に伴って、海面温度が上昇し、熱帯性低気圧のエネルギー源となる大気下層の水蒸気量も増加すると云われ、気象庁気象研究所などの研究グループが「地球シュミレータ」を用いてい解析したところ、今後熱帯性低気圧の発生数は全世界的で30%程度減少する一方で、最大風速45ⅿ/sを超えるような非常に強い熱帯性低気圧の出現頻度は増加する傾向にあると言う事なのです。






台 風 の 特 徴

主に夏から秋にかけて日本列島に接近、あるいは上陸して大きな風水害の爪痕を残していく台風ですが、台風は、太平洋赤道付近の温かい海水が気温の上昇によって蒸発して発達した積乱雲の集合体となり、やがて回転運度をはじめ、強い雨や風を伴って移動してくる熱帯性低気圧を呼びます。


台風が出来るまで.jpg


北半球で吹く風は、地球の自転の影響で進路が右向きに曲がる性つがあり、その為、通常東風が吹いている低緯度では台風は西に流されながら次第に北上し、上空では強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度にくると台風は速い速度で北東に進むのです。

台風のコースを決定する大きな要因として、太平洋高気圧の影響が欠かせません、太平洋高気圧は北半球において時計の針の回転する方向に空気を吹き出す性質があり、台風はこの太平洋高気圧の縁辺(縁辺流と呼ばれている)を吹く風に乗って移動するのです。






台風の強さと大きさ

台風の定義は、熱帯低気圧の中心付近での風速が17.2m/s以上を超えると「熱帯低気圧」から「台風」へと名称が変わる事になっています。


台風の定義.jpg


台風の大きさは風速15m/s以上の強風域の半径によって定義されていますが、台風の強さと大きさには関係性は有りません。


台風の大きさ.jpg


台風の中心が九州、四国、本州、北海道の海岸線を横切った時をもって上陸とし、島や岬などは上陸とは言わないで、通過すると呼ばれています。

台風の被害は雨と風によるものが多いですが、高潮など、複雑な条件がかさなって起きる災害(複合災害)も忘れてはなりませんし、気象庁の発表にて台風の動きはある程度予想が出来るようになってきましたので、対応が出来るようになりました。








台風進路予想図では台風の現在位置はX印で示され、今後進むと思われる範囲を白い実線と点線で示されています。


台風進路予想図.jpg


日時と共に示される点線の円は、その時に台風の中心が70%の確率で存在する可能性を持つ範囲で、これが「予報円」と呼ばれているものです。

さらに風速25m/s以上の暴風が予想される範囲は赤い実線で示され、これが「暴風警戒域」です。

大切なことは、これから起こるであろう台風から非難が必要かどうか、また必要ならばそのタイミングは何時頃になるのかを台風情報から読み取る事が出来るかなのです。


台風進路予想の精度向上に伴い、2016年には予報円の半径をこれまでより20~40%小さくなり、これによって台風への備えについて以前より早く判断することが可能になり、台風の接近に伴い、次第に雨や風が強まり、波も高くなる事への対応が可能になるのです。

台風の中心には活発な積乱雲の集まりが帯状に連なり、台風を上空から見ると時計の針の回転方向とは反対の渦を巻いています。


台風の中心には目があり、雨や風は弱くなりますが、これをもって台風が去ったと誤った判断をして警戒を緩めると、通過後の吹き返しの風により思わぬ被害を生じる事になりますので注意が必要です。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
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台風と高潮の関係(2) [風水害]

台風の周辺では竜巻やダウンバーストなどの突風が吹くことが有る




台風の風は一般的に中心に近いほど強いと云われ、台風の風を表す風速は10分間の平均風速を基準にしています。

この場合、突風ともいわれる最大瞬間風速は平均風速の1.5倍~3倍に達することも有り、暴風域に入る以前から思わぬ突風に襲われることも考えられます。


建物や車両を押す風の力を風圧で表すと、風圧は風速の2乗に比例するため、風速が2倍になると風圧は4倍に、風速が4倍になるお風圧は16倍になり、これにより台風の接近による風の脅威は加速度的に高まります。

台風を構成する積乱雲の中には強い上昇気流と下降気流が存在し、台風の周辺では竜巻やダウンバーストなどの突風が吹くことも予想されます。






竜巻とダウンバースト

竜巻の成因は完全に解明されていませんが、発達した積乱雲の中の風の回転運動が地上に達すると竜巻になると考えられています。

竜巻の強さを表すものとしてF0~F5の6段階に分けた「藤田スケール」が知られていますが、気象庁は竜巻突風の強さをより精度良く測定できる「日本版改良藤田スケール」を2015年12月に策定しています。


竜巻とダウンバースト.jpg


またダウンバーストは、積乱雲の底から爆発的に吹き降ろす気流及び、これが地表に衝突して四方に噴き出す破壊的な気流の事です。

風速は60m/s以上になる事もあり、通常積乱雲の下で発生します。





高 潮 被 害

海に囲まれている日本は、高潮の被害を受けやすい状況にあります、特に南に開いている三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)は海抜ゼロメートル地帯が広がっており、そして人口・資産も集積している為、高潮による浸水が起これば深刻な被害が予想されています。

高潮の発生要因としては、台風や熱帯性低気圧が上げられますが、台風の中心付近は気圧が低く、1hpa(ヘクトパスカル)下がると海面が1cm上昇する(台風による吸い上げ効果)のです。


台風19号.jpg


例えば2019年10月12日に上陸した台風19号を例にとりますと、上陸時に945hpaでしたから海面が55cm吸い上げられてこれに満潮の大潮が加わるとさらに潮位が増すことになり、強風による波浪が加わる事でさらにエネルギーを持った波が生まれ湾岸部を襲い、河口を逆流川の水は内水氾濫を引き起こすことになってしまったのです。

台風の東側では南風が強く吹き荒れ、海水を陸地側に運ぶのですがこれを「吹き寄せ効果」と呼び、こうして海面の水位が護岸より高くなることなどによって高潮が発生することになる訳です。


加えて大潮のタイミングと台風の接近が重なると高潮の発生する確率が高くなるのですが、必ずしも満潮の時刻と高波は一致しませんので、満潮時奥にとらわれてしまうと却って危険になります。

高潮の害は海水の集まりやすい地形に発生しやすく、具体的には、海が陸に迫り、急な谷が形成されている場所や港の奥まった所、川と海の接点である河口付近等は高潮の害が発生しやすく、東京湾、伊勢湾、大阪湾、有明海などの湾の形状が細長く水深が浅い場所が典型的と言えるでしょう。


近年では、過去の教訓を生かし高潮堤防などの政治が進んだため、高潮に対する対策は進んでいますが、まだ完全とは言えません。


また、台風の高波を見物に行って波にのまれるなどの被害が目立っており、興味本位の行動は慎んでいただきたいものです。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
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日本の豪雪被害とは? [冬山]

豪雪とは、警戒が出るほどの大雪を言う!




日本列島の山陰や北陸地方から北海道西岸などの日本海側に降る豪雪は、冬のシベリアからの季節風が強い寒気を伴って吹き寄せる事によって起きることが多く、特に1963年(昭和38年)1月に北陸・山陰地方に大雪が降った俗に云う「38豪雪」は有名です。

国は「豪雪地帯対策特別措置法」に基づき「豪雪地域」、「特別豪雪地域(豪雪地帯の内積雪量が特に多く、住民の生活に著しい支障を生じる地域)を指定しています。


豪雪地帯.jpg



豪雪地帯は、国土の51%に及ぶ広大な面積を占め、総人口の約15%を擁しており、この地域の雪害防止、産業振興、住民の生活向上は重要な課題なのです。

雪崩や暴風雪(風速が毎秒20mを超える風を交えた猛吹雪。ブリザード)などによる人的被害の他、高齢者を中心とした除排雪の作業中の事故も多いのです。


2011年及び2012年に発生した大雪でうぁ、いずれの年も死者130名を超える人的被害が発生したほか、雪崩の発生等による集落の孤立、交通の阻害、空き家の倒壊等も生じました。

また、2010年から2011年にかけての大雪では鳥取県、島根県をはじめ各地で漁船の転覆や沈没が相次ぎ、被害は504隻に及びました。


関東地方の雪は日本海側の雪と異なり、太平洋側の沖合を進む南岸低気圧(俗に爆弾低気圧とも呼ばれている)に伴うもの多くみられます。

一般的に雪の降る量は少ないのですが、南岸低気圧の発達に伴い関東地方でも大雪になる事があるなど、また、転倒によるケガやスリップ事故、鉄道ダイヤの乱れ、高速道路の通行止めなどの交通機関の混乱が発生するなど影響が大きく、関東の雪は湿った雪のため、電線着雪などにより停電を招いたりします。



*注)孤立集落については 災害時における孤立集落の発生と対策 を参照してください






雪による被害の種類とは

雪による災害・事故は① 雪崩による事故、② 除雪中の事故、③ 車による雪道での事故、④ 歩行中の雪道での事故の4つに大別されます。

雪崩とは山腹の斜面に積もった雪が、重力の作用によって下の方に滑り落ちる現象で、大きく分けて表層雪崩(厳寒期・時速100~200Km)と、全層雪崩(春先・時速40~80Km)があります。


栃木県那須ファミリースキー場 高校生事故.jpg


2017年3月には栃木県那須温泉ファミリースキー場付近で登山講習会に参加していた高校男性教員1名、男子生徒7名が発生した雪崩に巻き込まれて犠牲になりました。


雪崩が発生しやすい場所として

◎ 急な斜面で特に雪庇や吹き溜まりが出来ている斜面。

◎ 過去に雪崩が発生した斜面。

◎ 低木林や植生がまばらな斜面


雪崩が発生しやすい時期

表 層 雪 崩



◎ 気温が低く、積雪の深さが大きく降雪が多い時。

◎ すでにある積雪上に短期間で多量の降雪があった時。

◎ 0℃以下の気温が続き、吹雪や強風が伴う時。

◎ 雪庇やふきだまりが斜面にできている時。


表層雪崩.jpg
  

全 層 雪 崩

◎ 春先や降雨後、フェーン現象などにより気温が上昇した時。

◎ 斜面に雪しわ、ヒビ、こぶが出来ているなど、前兆現象が現れている時。


全層雪崩.jpg







除雪中の事故

豪雪地帯では、雪下ろしや水路等への投雪の際に事故が発生し、命が失われるケースが多く、その多くが高齢者であり、一人での作業の場合には重大化しやすいのです。


命を守る除雪中の事故防止十か条

① 作業は家族、隣近所にも声をかけて2人以上で!

② 建物の周りに雪を残して雪下ろし!

③ 晴れの日程要注意、屋根の雪が緩んでいる!

④ 梯子(はしご)の固定を忘れずに!

⑤ 除雪機の雪つまりの取り除きはエンジンを切ってから!

⑥ 低い屋根でも油断は禁物!

⑦ 作業開始直後と疲れた頃は特に慎重に!

⑧ 面倒でも命綱とヘルメットを!

⑨ 命綱、除雪機など用具はこまめに手入れ・点検を!

⑩ 作業時には携帯電話を持っていく!


ちょっとした注意で事故を防ぐ事が出来るのですが、どのような場合でも気のゆるみは禁物です。

声を掛け合って協力し合う事で、雪下ろしの事故から身を守りましょう。




*注)雪崩等に関しては雪崩と土砂災害との類似点
も参照してください。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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大規模水害と水防について [風水害]

東京、名古屋、大阪を中心とする3大経済圏はいずれも大規模水害の危険地帯となっている。



これから梅雨に入り夏を迎え、大雨や台風などの被害が起きやすくなりますが、現実に災害が生じ、また生じようとしている時に、人命と財産を災害から守り、被害を最小限に留める為の水災の警戒、防御及び、被害の軽減のための人的な活動=水防活動が必要となります。

万一、洪水などによって河川の堤防が決壊したことにより氾濫等が生じた場合でも、被害を出来るだけ少なくするために、事前に地域住民に対して河川の情報を提供するなどのソフト面での対策が重要となり、河川改修などの治水事業と並んで水防活動は重要な使命と云えるでしょう。


水防法については、水防に関する責任は地域ごとに自ら自主的に守る意思を基本原動力として、迅速に地域の特性を生かして活動が出来るよう市町村等が有する事とされており、それらの団体を水防管理団体と定めています。

全国で水防管理団体は1739団体あり、水防団を設置出来るほか、水防に関して常設の消防機関をその統括課において水防活動に従事させる事が出来るとされています。


大雨や台風などによって河川が増水した場合など水防活動として、河川堤防などの巡視や、堤防から河川の水の越水や漏水等を防止する目的で堤防への土嚢積などを行っています。

国土交通省では「施設では防ぎきれない大洪水は発生するもの」との考えに立って、「逃げ遅れゼロ」、「社会の経済被害の最小化」を実現する対策に取り組んでいます。


他にも市町村長による水害リスク情報の周知制度創設などを進めると共に、想定しえる最大規模の降雨に対するハザードマップの作成が義務付けられたのです。







三大経済圏は大規模水害の危険地帯

日本の最大経済圏と云われる、東京、名古屋、大阪はいずれも大規模水害の危険地帯で、三大都市圏のゼロメートル地帯の人口は東京圏176万人、名古屋圏で90万人、大阪圏で138万人にのぼり、広域水害対策は必須なのです。

中央防災会議「防災対策実行会議」のもとに設置された三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)のゼロメートル地帯などでの、洪水や高潮氾濫からの大規模・広域的な非難の在り方を検討する「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ」が「基本的考え方」を公表しています。


其れによりますと、数十万の避難者は大きく浸水区域外へ立ち退き避難「域外避難」と、浸水区域内での立ち退き避難及び屋内で安全を確保する「域内避難」に分けられます。


「域外避難」の課題は「避難に要する時間がかかり避難途中で氾濫に巻き込まれる」「駅や橋梁で大混雑が発生して群衆雪崩や将棋倒しの発生等の大事故が発生する恐れがある」「早い段階で避難を開始する必要がある事や、避難行動中に状況変化などで避難行動が計画通りにならない」等があります。

「域内避難」の課題としては「浸水継続時間が長期的に及ぶ場合、ライフラインが途絶して二次的な人的被害発生」「膨大な域内避難者で、公的機関による救助が難航、数日内で救助しきれない」等の恐れがあるとしています。


こうした課題克服のため、広域避難計画の全体像の構築や具体的な計算手法が必要だとして、不確実性を考慮した実効性のある計画づくりを求めています。

また「いまだ我が国において大規模・広域避難が具体的に実装した事例がないことを踏まえると、都府県のみならず、国や主導的な役割を担う事が重要」としています。






東京江東区5区のほとんどが水没?

2016年に設置された東京都の「江東5区広域避難推進協議会」は大規模水が等の広域避難について、関係機関と連携して検討を進め、2018年8月に「江東5区大規模水害ハザードマップ」、及び「江東5区大規模水害広域避難計画」を発表しました。


江東5区大規模水害避難計画.jpg


広域避難勧告を発令する基準を独自に設け、台風予報や雨量予測などを下に川の氾濫が想定される3日前から5区で検討を始め、2日前から順次、浸水区域外への広域避難を呼び掛けると云うものです。


広域避難.jpg


しかし、高層階に避難してもライフラインの断絶で生活困難となる事から、江東5区人口の9割以上にあたる250万人の広域避難を打ち出しましたが、具体的な避難先については周辺自治体との調整や、道路・交通、警備などの各機関との調整が必要として、「各自で確保した親せきや知人宅などに避難」との呼びかけに留まっています。


海抜が低い地域、河川に囲まれている地域、平野部の中に大きな川がある地域などは河川の氾濫や台風などによる高潮の被害を受けやすいと言われています。








タイムラインの策定

タイムラインとは、大規模水災害の発生予想時刻から逆算して、自治体等関係者が事前に取るべき防災行動を「いつ」「誰が」「どのように」「何をするか」に着目して時系列で整理したものです。

発災前から各関係者が迅速で的確な対応を取るためには自らが「いつ」「どのように」「なにをするか」を決めておくだけでは不十分であり、それぞれ他の関係者がどのような対応を取るかを把握しておくことが必要となる事から平時から各関係者協働による「タイムライン」を活用した取り組みを行う事が重要なのです。


国はこの取り組みを重要視しており、国が管理する河川では、水災害を対象としたタイムラインの策定を進めており、作成目標を大幅に前倒しして作成を完了しています。

都道府県が管理する河川については、水防法に基づく協議会を活用し、対象市町村において2021年度までに作成することになっています。


災害の危険性を「事前に知る」洪水ハザードマップと河川の「今の水位等を自分の目で確認できる」リアルタイム河川情報は水災害対応の基本事項なのです。



スーパー堤防について

一時期、当時の政策によって中断されてしまったスーパー堤防ですが、その後、鬼怒川堤防決壊や多摩川堤防決壊などによって再び見直され、工事が再開しています。

200年に一度の大津波を想定して国土交通省が進めてきた事業で、首都圏及び近畿圏の大規模河川に巨大堤防を建設してきたものです。


スーパー堤防とは「高規格堤防」の通称で、河川の街側を盛土して緩斜面にして、洪水が堤防を越えても市街地の被害を最小限に抑える事を目的として構造を持っています。

当時の政治的判断は、政党のパフォーマンス的な国民の命よりお金への取り組みだけが先走っていたように思います。




スーパー堤防.jpg


盛土の幅は高さの30倍(堤防高さ10mだと幅300m)とされ、スーパー堤防は整備時に地盤改良も可能で、地震や液状化、地滑りにも強いのです。


高規格堤防性事業は2010年度の事業仕分けによって「いったん廃止」とされましたがその後、整備区間の見直しが行われて事業が再開されたのです。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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