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災害時のライフライン切断対応は?「ガス」 [インフラ対策]

大規模災害に発生するインフラ対策ガスが止まったら?


私達は電気・ガス・水道がなくては生活ができない環境のなかにいます。

前項で電気について述べさせて頂きましたが、今回はガスについて述べていきたいとおもっています。

いや家はまだ竈(かまど)で薪だよ!と言う方もいらっしゃるのは重々承知の上で都心や集合住宅に住んで居る方や、ニュータウンなどのように共同ガスを、戸建てでLPガスを使用している方などには必見かと思います。



都市ガスなどのガス導管は大半が地中に埋設されているため、地震の際には地盤変動の影響を直接受けることになります。

此のため、ガス導管を新設する際には、阪神淡路大震災クラスの大地震(震度7)でも十分耐えられる耐震性の高い材料(溶接接合鋼管やポリエチレン管)が使用されています。


大地震発生によって供給ネットワークに甚大な被害が生じた地域には迅速にガス供給を遮断し二次災害を防いでいます。

一方、被害の小さい地域へのガス供給は継続すると言うシステムが構築されているのです。


ガス供給を停止した地域に対しては全力をあげて早期の復旧に取り組みが行われ、此のため、全国の都市ガスに関連する事業者間で相互に復旧応援する仕組みが構築されており、地震発生後短期間のうちに応援体制が整えられる仕組みになっています。


都市ガスの供給システムについて

ガス供給システムについては各家庭単位と、地域単位の二つの方法があります。

1)各家庭単位での供給停止
各家庭のマイコンメーターには大きな地震(震度5程度以上)を関知すると、自動的にガスを遮断する装置(感震器)が取り付けられています。

一旦ガスがストップしても、ガスが供給されている地域の各家庭では、ガス漏れなどの被害がなければ簡単な復帰操作で再びガスが使用できます。

2)地域単位の供給停止
ガス導管は網の目のように繋がっているため、一定規模の大きさの地域単位(ブロック)に分割され、ブロック単位でガスの供給の継続や停止を判断します。

一部の大手ガス会社では、ガスの圧力を調整する設備(ガバナー)に設置されている地震センサー(SIセンサー)によってガス設備に被害を及ぼすような地震(震度6弱以上)を感知すると、自動的にガスの供給を遮断する感震自動遮断システムを導入しています。

感震自動遮断システムが導入されていないガス会社では、供給区域内に設置した地震計で一定基準を越える地震を検知した場合に、遠隔操作などによってガス供給停止を実施しています。



都市ガス供給の復旧

ガスの供給を停止した地域に対しては、可能な限り早急に供給を再開する必要がありますが、ガス漏れが発生している状態での供給再開は危険であるため、ガス会社がガス漏れのないことを確認してから再開されるようになっています。

通常道路に埋設されているガス導管の漏れを修理するには、道路掘削などが伴うため時間がかかり、復旧に要する期間はある程度必要となり、また復旧期間には道路や建物、ガス導管の被害の程度によって大きく異なり、一概に何日必要とは言えないのが実情です。







もしも地震が起きたら?

1)もしあなたがガスの火の側に居たなら直ちに火を消しましょう。

ただし、揺れているときに火を消すのは危険なので、ガス使用箇所から離れている場合には無理をしないことが懸命です。

大量にガスが漏れたときには、マイコンメーターが自動的にガス供給を遮断してくれますので、ご自身の安全を優先し、揺れが収まってから消せなかったガス器具の器具栓やガス栓を閉めましょう。


2)ガス臭いときはすぐにガス栓を閉め、窓や戸を開けて換気してからガス会社に連絡し、屋外に避難ましょう。

何かしらのスイッチが入ったときの火花がガスに引火して火災の原因になることもあるので、換気扇や電灯など電気製品のスイッチは絶対に触れないでくださいね、タバコの火も危険です。

3)揺れが収まったら

◎ガス機器周辺でガスの臭いがしないか?

◎ガス機器本体や煙突式など屋外の給排気設備に変形・破損など異常がないか?

◎ガス接続具が正しく接続されているか?

等を確認後、ガス栓を開け、ガスが出るときはそのままガスを使用することが出来ます。


ガス栓を開けてガス機器が使えなかった場合、ガスの供給が停止している可能性があるため、マイコンメーターを見て、赤ランプが点灯していたらマイコンメーターがガスを遮断しているため、復帰操作を行いましょう。 


都市ガス復旧手順は「日本ガスメーター工業会 都市ガス復旧」のホームページで確認してください。



LPガスの場合

戸建て住宅や業務用で利用されているLPガスは、パイプライン供給による都市ガスとは異なり、主に住宅や商業施設の敷地に設置されているLPガス容器(LPガスボンベやLPガスバルク貯槽)から需要家毎に個別に供給されています。

此のため、地域全体でLPガスの供給がストップするわけではなく、需要家毎の被災状況によって利用や復旧が異なります。


地震等の災害が発生した場合、需要家がガスに復帰操作を行い、操作をしても復旧しない場合は、地域のLPガス販売店の点検を受けることが基本作業になっています。

LPガスマイコンメーターは、計量器としての機能だけではなく、ガスの使用状況を常に監視し、マイクロコンピューターが危険と判断したときにはガスを止めたり警告を表示する機能を持った保安ガスメーターなのです。

ガスの流れや圧力などに異常が発生した場合や、震度5相当以上の揺れを感知すると、LPガスを使用中に自動的にガスを遮断するため、地震発生直後のLPガスによる火災やガス漏れを防止してくれます。


災害時の対策

災害時の対策は、まず、自分のみを守ることです。


地震の時
1)地震で一番怖いのは、火災による二次災害です、揺れが収まるのを待ってからガス栓・器具栓を閉め(火をすべて消し)、揺れが大きかったときには屋外の容器バルブも閉めましょう。

2)がすもれやがすのにおいがするときは、ガスの使用をやめて器具栓、ガスの元栓、ガスメーターバルブ、および容器バルブを閉めて、LPガス販売店か緊急連絡先に連絡しましょう。

3)避難するときには、器具栓、ガスの元栓、ガスメーターバルブおよび容器バルブをすべて閉めてください。

4)ガスを再開するときには、ガスメーター(マイコンメーター)が自動的に遮断していないか表示の確認をしてください。

5)ガスメーターの復帰をする。


LPガス復旧手順は「日本ガスメーター工業会 LPガス復旧」のホームページで確認してください。


用意しておくと便利なガス器具

マッチ、使い捨てライター、カセット式コンロ、七輪、豆炭や炭、バーベキュー用コンロや着火剤などを用意して置くと便利ですね。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより




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災害時のライフライン切断対応は?「上・下水道」 [インフラ対策]

大規模地震は自然災害のうちで、もっとも上水道施設・設備への影響が大きい


上水道について、過去の大規模地震では、主に送配水施設、給水装置において被害が発生しています。

阪神淡路大震災では、配水管に多くの被害が発生し、各家庭への給水に支障が出ました、


東京都水道局水道システム概念図


これは、配水管の耐震性に問題があったためですが、取り分け管の継ぎ手部における破損、抜け出しなどの原因が大きかったと考えられています。

配水管に損傷が発生すると、それより下流部への水の供給が出来なくなってしまいます。


その回復には破損部の取り替えや修理が必要となり、その間は断水が続くことになります。

通常、配水管は道路などの地下に敷設されており、破損箇所は、土の掘り起こしによってはじめて発見可能になるなど、その回復のためには多大な時間を要することになります。


通常の復旧作業は、震災後3日後くらいから開始され、すべてが完了するのは概ね1ヶ月程度はかかると考えなければなりません。

また、水道局では、地震の災害を最小限にとどめるために、普段から施設の整備や耐震かを図っており、、近隣市町村や地方都市間等の各水道事業者等の間では、震災時の相互応援体制をつくって協力して復旧に当たるようシステム化されています。


浄水場や給水所の各施設について、耐震診断を実施し、地震が発生しても大きな被害を受けないよう、順次補強も行っています。

地震によって停電が起きても、見時の供給に支障が起きないよう、自家発電設備の整備や、さらに周辺自治体とも連携して、非常時における水道水の相互融通体制を整備して、水の供給の安定性を向上させているのです。



災害に備えた準備とは?

大災害が発生したときには発生後、最悪で1ヶ月程度の断水を想定する必要があります。

取り分け発生後3日間程度は外部からの支援がなくても、市民自らの飲料水を確保できるように、準備をして置く必要があります。


1)最低3日分の水の確保(目安は1人1日3リットル)

市販のペットボトル水による家族分の水の確保の場合、例えば家族5人であれば 5人X3リットルX3日分の水=45リットル が必要となります。

水道水の汲み置きをする場合は、清潔で蓋ので切る容器に口許まで水を一杯に入れましょう。

直射日光を避ければ消毒用に入れてある塩素の効果は、3~7日くらい持続出来るので、3~7日に一度の汲み換えで十分で、取り替えた古い水清掃や洗濯に使ってもらえば節約にもなりますね。


2)水洗トイレ用の水、消化用の水

前日使用した風呂水か、風呂使用後にすぐに入れた新しい風呂水をそのまま浴槽に残しておき、それを水洗トイレや万一火災となった場合の消火に使うようにしましょう。

ただし、浴槽の水は地震の揺れによって半分程度に減っているときもありますので、注意が必要です。







下水道について

過去の大地震では避難所の水洗式トイレが断水と下水道の損壊によって使用できなくなり、トイレの不衛生や不便さが原因となって、ストレスが蓄積したり、飲料水を我慢したことによるいわゆる「エコノミー症候群」の発症で健康被害が出るなど深刻な問題となってしまいました。

震災時のトイレの機能を確保するには、地域防災拠点から水再生センターまでの下水道の機能を確保することが必要となります。

また、家庭や職場に於ける仮説トイレや簡易トイレの備蓄も需要な一つと言えるでしょう。



T・K・Bの改善は必要

私達は、過去数千年の歴史のなかで絶えず地震、風水害と戦ってきていますが、避難生活について未だ環境の改善が遅れているのです。

避難所などでの生活による肉体的・精神的な疲労、ついで避難中の移動による疲労や、病院機能停止による持病の悪化によって震災関連死が起きています。


冷たい床の上に毛布一枚で過ごすことのストレスや、集団生活のなかでの睡眠不足、おにぎりやパン中心の食事は食べられなかった、トイレを心配して水分を控えているうちに体調を崩してしまった、などの事例が報告されています。

T(トイレ)・K(キッチン(食べ物))・B(ベッド)の改善は必須と言えるでしょう、関連死の主な原因として、不便で不潔なトイレ、冷たい食事、床での雑魚寝といった避難所での環境に問題が有るようです。


トイレが汚かったり、数が少なかったりすると、水を控える人が増えて、健康上のリスクが高まりますし、冷たい食事が続くと、食欲が落ちて体力が衰えてしまいます。

床に直接寝ますと、塵やホコリを吸い込んで肺炎などの感染症の恐れが出てきますし、床から伝わる冷えや立ち上がりにくさ、足の静脈にできるエコノミー症候群等に繋がる恐れがあるのです。


避難所・避難生活学会によりますと、こうした劣悪な環境の避難所は先進諸国のなかでは、日本だけだそうです。

最近では多くの災害からの経験から、環境改善を図るために段ボール箱の支給がされるようになりました。


段ボール箱で仕切りを作ったりベッドを作ることで、冷えや立ち上がりにくさを解消すると言うものです。

また各地でボランティアによる炊き出しも行われるようになってきました。


ボランティアなどによって炊き出される味噌汁や豚汁などは、身体も心も暖まるようです。

皆さんの暖かい協力によって、被災地にも活気が出てきていることは被災された誰もが感じているのではないでしょうか。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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大災害時には通信も途絶える [インフラ対策]

災害時には携帯より公衆電話のほうが繋がりやすい!


東日本大震災時には、地震の揺れが大きかったのですが、これによる通信ビル等の建物や電柱間に敷設される電話回線等への損壊は少なかったのです。

ただ、その後襲ってきた津波により多くの家屋や公共施設などは大きく損壊または流されてしまいました。

通信ビルにしても、津波に流された瓦礫が窓やドアを突き破ってビルないの通信設備を破壊したり、小さな通信ビルの一部では建物ごと津波に流され跡形もなくなくなってしまうと言う被害が出てしまったのです。

また広域に渡って長時間の停電が継続し、通信ビルに設置してある非常用自家発電装置の燃料が枯渇してしまうことによって通信設備に電力供給ができず、広範囲な通信途絶が起きてしまいました。



通信量が短時間に増大することによって起こる影響とは


災害は発生時、被災地に対して電話利用による安否確認や見舞い、問い合わせなどが短時間に集中することによって、電話が繋がりにくい「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる状態になってしまうことが有るのです。

東日本大震災の際には通常時の約9倍の電話トラヒック(通話の流れ、または通話が通信網を占有する時間)が被災地に集中した(携帯業者によっては通常時の50~60倍)のです。


通信ネットワークが輻輳すると、警察、消防、海上保安庁などへの緊急通信や防災期間などの災害復旧活動に用いられる災害時優先電話などの重要通信も繋がりにくい状態となってしまうのです。

利用者は、電話が繋がらないと、再びかけ直し続ける「再呼」を生み、さらに輻輳を増長させているのです。


このような電話の輻輳を緩和させるために、電気通信事業者ではトラヒック規制を実施しています。

規制の対象は一般の利用者間の電話で、緊急通信は対象外とされており、また避難所などに臨時に設置される特設公衆電話や、街頭等に常設されている公衆電話についても基本的に規制は実施されていません







携帯電話の場合

携帯電話は、携帯端末との電波を送受信する多数の基地局が設置されていますが、それらについては、国の基準を上回る耐震、耐風対策が施されており、また交換設備などが設置されている通信ビルについては、基本的には固定電話と同様の耐震、耐火、水防等の対策が施されています。

地震などが発生した場合、携帯電話も固定電話と同じように発生直後に極端なトラヒックの集中が発生します。


この状態を放置しておくと、、警察、消防、海上保安庁等の緊急通報や、災害時優先電話などの重要通信も繋がりにくくなる可能性があるのです。

このため、災害発生時は疎通を確保するため必要に応じて通信を規制するなどのネットワークコントロールを行う必要があります。


このような状況で連絡を取ろうとする際には、極力、メールや災害用伝言板など、音声通話に比べて回線使用効率がよいパケット通信・SNSを利用した手段を使うことがよいでしょう。

また、携帯電話の電池切れに対処できるようモバイルバッテリー等の予備電池を保有しておきしょう。


広域に渡って、停電が継続するような大規模災害時には、「被災地への電話は控えめに」という配慮が求められます。

災害が発生すると被災地への電話が殺到し、被災地ないの通信にも影響を及ぼすため、被災地ないでは、緊急通信や重要通信の確保が重要であるため、少しでも影響を抑えることが大切なのです。


もし電話が繋がった場合でも、手短に済ませようご協力をお願い致します。。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより


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帰宅困難者対策(1)あの時の駅前は大変だった! [大規模地震]

東日本大震災!災害が発生したあの日、あの時あなたはどのように帰宅しましたか?


災害はいつやって来るか誰も予想は出来ません、今、予想されているのは30年以内に起きるであろうと言うもので、それは今日か明日かまたは30年後かは予測が全くつかないのですが地震の研究の結果として、地下エネルギーの蓄えから試算して起こり得る可能性が30年以内に発生する可能性が高いと言うことなのです。


それなら起きないかも知れないんだろう?・・だったらそんなに慌てる必要性はないんじゃないの!!


そのような意見も多いのは確かです、しかし、先程から述べていますが「災害がいつ起こるか分からない」その為の備えを今からでもしなければならないのです。

昔から言われていますが「備えあれば憂いなし」準備が整っていればどんな事がいつ起きても案ずることはないんです。


さて、話は戻しますが、今から9年前に発生した東日本大震災、あの時の様子を思い出してください。

帰路に着きたくても電車が動かない、駅には電車待ちの人が溢れバスでの振り替え輸送も行われているところもありました。


筆者の息子や娘たちも、池袋から約3時間かけて電気の消えている町中を歩いて、途中から電車に乗って帰ってきました。

途中で、電車が動き出したと言うことで駅に行こうとしたら人が溢れていて、電車の本数も少なかったそうですが、それでも暗い夜道を歩きたくなかったと言うことでしたね。






帰宅困難者の予想人数


住まいが遠方で、災害時に公共交通機関が停止した場合、帰宅が困難となる帰宅困難者は大都市圏で多数発生すると予想されています。

2013年に国が発表した首都圏直下型地震の被害想定では、首都圏の1都4県で640万人~800万人発生すると予測され、2012年に東京都が発表した被害想定では都内で517万人(直近の数字では800万人で都内在勤務者550万人、一般外出者250万人)が帰宅困難者になると予測されたのです。


膨大な外出者が一斉に帰宅行動をとると、道路は人で溢れ混乱し、応急活動の妨げとなり二次災害の危険性も高まると言われています。

此のため、「むやみに移動を開始しない」という原則のもと、秩序のある冷静な行動が求められているのです。


東京都では、「帰宅困難者対策条例」で知事、都民および事業者の責務を定め、対策を推進しています。

一方、2008年に国の中央防災会議の首都圏直下地震避難対策等専門調査会において、帰宅行動シュミレーションが発表された中で、多くの外出者が一斉に帰宅行動をとることにより満員電車状態(1㎡辺り6人以上の密度)が発生し、現況で特段の対策を高じなかった場合、、そのような状態に3時間以上巻き込まれる人が首都圏全域で約200万人に上る事が指摘されていたのです。


此のため、一斉帰宅を抑制する対策の強化や安否確認手段の周知・広報等が提言されています。


2011年3月11日に起きた東日本大震災で震度5弱が確認された首都圏では、前述したように鉄道などが不通となった為、大量の帰宅困難者(内閣府調査:515万人)が発生し、徒歩帰宅の人々や車両で道路は大混雑に陥ってしまったのです。

また、帰宅困難者の多くは勤務先や駅周辺、東京都が開設した施設などで一夜を明かしました。


東京都の発表によりますと、3月12日午前4時の時点で約9万4000人が、東京都の施設や都立高校、区市町の施設を利用されていた事が発表されています。


此だけの人が駅前や公園に溢れ帰宅困難者となってしまう現実に我々は目を背けるのではなく、事業者や多くの施設と協力して、受け入れ体制を整えていかなければなりません。

いつ起きるか分からない大規模災害に対して事業者の協力は不可欠なのですが、いまだ理解が得られていないのが実情です。


自社社員のみではなく、一般外出者の受け入れに対しての協力の推進をお願いしたいですね。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより





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帰宅困難者対策(2)災害時帰宅支援ステーションの活用 [大規模地震]

帰宅困難者対策には、鉄道事業者、駅周辺事業者他、多くの施設や事業者の協力は不可欠



東日本大震災時のような大規模震災が起きたときに、ターミナル駅周辺では滞留者で混乱することが予想されています。

東京都では、駅周辺の事業者と協力し、次のような駅前滞留者対策を行うことを決めています。


1)鉄道事業者、駅周辺事業者は、滞留者を一時集合場所や適切な屋外オープンスペース等へ誘導する。

2)待機が必要な滞留者は、駅周辺の施設や一時滞在施設等に収容する。


*都、区市町村、警察、消防、事業者等を構成員とする「駅前滞留者対策協議会」で各組織の役割分担、誘導場所、地域の行動ルールなどを定めるとしています。



災害時帰宅支援ステーションとは?


震災発生後、概ね4日以降、徒歩帰宅者に対しては沿道で、情報、水、トイレ、急速場所等を提供する必要があります。

このため大都市圏の自治体では、コンビニエンスストアーやガソリンスタンド等を、情報、水、トイレを提供する災害時帰宅支援ステーションとする協定を事業者と締結しているのです。

さらに東京都では、都立高校を災害時帰宅支援ステーションに指定しています。



トイレの待ち時間が最大で4、5時間にも!

トイレについて、中央防災会議の専門調査会が公表したシュミレーション(東京湾北部を震源とするM7、3の地震が冬の平日正午に発生、東京23区のや区46%で断水が起きてトイレが使えなくなると想定。通勤・通学者ら約1270万人が一斉に徒歩で帰宅を目指したり、避難所へ向かうケース)によりますと、首都圏直下型地震が発生した場合、23区内ではトイレが大幅に不足し、発生から2時間後には約81万7000人がトイレにいけない状況になると試算されますた。

もっとも深刻な千代田区では、4、5時間待ちの長蛇の列が生まれるということで、トイレ不足は、食料や水と同様に被災後の最重要問題の一つとしています。


トイレ不足の対策として、

◎企業は社員用の簡易トイレなどの備蓄を進める。

◎個人も介護用のオムツなどを常備したり、ビニール袋とティッシュを常に持つ。

といった、それぞれの努力が求められています。

最近テレビで紹介された簡易トイレの使い方紹介されていましたので参考にして見ては如何でしょうか。


* 災害時に役立つ簡易トイレの作り方



東京都困難者対策条例とは?

1)事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と、従業者の3日分の食料などの備蓄について努力義務を課す。

2)駅、集客施設などに於ける利用者保護、学校などに於ける児童・生徒等の安全確保の努力義務を課す。

3)都と事業者などが協力連携して、安否情報の確認、災害関連情報などの提供のための基盤整備などを行う。

4)都立施設や都の関連施設を一時滞在施設として指定すると共に、一時滞在施設の確保に向けて区に、市町村、事業者に対して協力を求め、帰宅困難者を受け入れる整備を行う。

5)代替え輸送手段や災害時帰宅支援ステーションを確保すると共に、災害関連情報などを提供するなどして、安全且つ円滑な帰宅を支援する。






一時滞在施設の確保、および運営のガイドライン

首都直下型地震など大規模な地震その他の災害が発生して公共交通機関が運行を停止し、当分の間復旧の見通しがない場合に於ける帰宅困難者の一時滞在施設の拡充を図るため、国と東京都が2015年「一時滞在施設の確保及び運営のガイドライン」を改訂しました。


改訂されたガイドライン

1)施設内での事故、体調悪化について、故意や重過失がなければ施設管理者は責任を負わない。

2)負傷者の治療はできない。

3)水や食料が行き渡らない場合がある。

4)利用者は管理者の指示に従う等の受け入れ条件を承諾の上利用してもらうことを明文化し、企業の不安を軽減させる。


避難される方は一時滞在施設に求めすぎてしまう傾向があります、それらを明確にすること事業者の負担を軽くしているのです。

2019年10月に台風15号の影響で東京都内の避難所にも多くの方が利用されましたが、この時に於いて、台東区では被災者2人の受け入れを拒否していました。


住所不定の方二名でした、同区の職員によりますと、避難所に到着した際に住所、名前の記入を求めたと所、住所がないと言うことで「区民対象です」と受け入れを拒否したのです。

これらについて政府は、公共施設の避難所に対して「避難所は、災害発生後に被災者が一時的に生活を送るために、設置されたものであり、各避難所では避難したすべての被災者を受け入れのが望ましい」と答弁しています。



一時滞在施設においては、収容人数分の水、食料、毛布等の備蓄をすることが求められており、東京都では備蓄品購入費用の補助を実施している。

また、首都直下型地震等大災害が発生した場合、混乱を防ぐため、通勤・通学者は帰宅しないで企業や学校に滞在するよう求めています。


外で被災し、身を寄せる場所がない、「行き場のない帰宅困難者」は都内で約92万人と想定されていますが、改正当時で一時滞在施設は23万人分しか確保されていませんでしたが、2018年7月現在では約35万人分と増加しましたが、なおいっそうの企業の協力が求められています。

また、前述したような住所不定の方の避難においても、拒否するのではなくそれなりの出来るだけの配慮をしてもらいたいものです。


* 帰宅ルートや災害時帰宅支援ステーションの、休息場所等を表示した帰宅支援マップは、埼玉県や名古屋市などでも作成していますが、出版社が作成した市販品もあります。

災害情報についても最近ではインターネットで提供する自治体も増えており、外出時はラジオなどからの情報に加え、パソコンや携帯電話からも収集可能となっていますので利用して見ては如何でしょうか。



参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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災害時に於ける孤立集落の発生と対策 [土砂災害]

新潟県中越地震では土砂崩れや地滑りなどで道路が寸断されて孤立した。


新潟県中越地震(2004年10月23日17時56分)では、土砂崩れや地滑りなどによって道路が寸断され、小千谷市、旧山古志村など7市町村の61地区で1938世帯が孤立しました。

さらに崩壊土砂が川を塞き止め河道閉塞(天然のダム)が何ヵ所も形成され、、水没した集落もあったのです。


国が行った調査では全国で約1万9000の集落(農業集落約1万7000、漁業集落約2000)が孤立する可能性があると指摘、さらにこれらの地域では高齢化が進み、地域の防災力が著しく低下している状況も分かってきました。

これらの対策として、通信設備や救助・避難活動の拠点となるヘリポートの建設の必要性等が指摘されています。


集落が孤立した場合には、直ちに公的援助は期待できないことから、まず住民地震の避難行動(自助)と、地域コミュニティによる応急対策(共助)、が重要となります。

このため、普段から集落が孤立した場合を想定した、自助、共助を元にした訓練や体制作りを行う必要があるのです。



孤立集落とは?

災害が発生して道路や橋などのインフラ基盤が破壊されると、物理的に被災した集落にアクセスする手段が絶たれてしまい、集落が孤立してしまうのです。

この事を孤立集落と呼ぶのですが、日本では過去に何度も地震や風水害などの災害により孤立集落ができてしまい、災害対応をより困難なものにしています。


孤立集落は山間地域や沿岸地域などに、地震や風水害によって土砂災害が発生して道路に土砂が堆積したり、液状化現象によって道路が破損したり、河川の氾濫や津波によって道路が浸水、損壊したりすることで発生しています。

平成26年の内閣府が発表した「中山間地帯の集落散在地域に於ける孤立集落発生の可能性に関する状況フォローアップ調査」によりますと、孤立化する可能性のある農業集落は17212集落在ると言われています。


仮に災害によって孤立集落が出来てしまうと、被災した直後は事前の備蓄品である程度の生活は出来るかもしれませんが、大規模な災害で、災害対応が長期した場合には生活に限界が出てきてしまいます。

実際に東日本大震災の時には、地盤沈下によって孤立集落が発生してしまい、救助が進み難くなったと言う事例があるのです。


また、集落ではなく、津波から逃げてビルの屋上に避難した人達が其のまま取り残されてしまい、救助を数日待つような状態も発生しています。







孤立集落の対策

孤立集落は災害にはある意味でどうしても付き物なのですが、孤立集落の対策としていくつかの考えがあります。


1)通信設備をしっかりと整備する。

集落の孤立したことを迅速に伝え、被害の状況を的確に伝えることで、救助されるスピードが速くなる可能性があります。

2)衛生携帯電話の配備や行政無線を活用する。

通信手段の多様化を図ることが有効である。


他にも、空を飛んでいるヘリコプターにメッセージが伝えるために、地面に大きな文字を書くと言う方法なども有効です。

ヘリコプターを活用することも孤立集落への対策は不可欠で、山間地の住民や怪我人、高齢者などはヘリコプターで搬送することは有効であり、その為にもヘリポートの整備が急がれます。



支援物質の搬送

孤立集落への支援物質の搬送を考えた場合、途中までは車で支援物質を運んで道路が損壊等によって寸断されている所からは人力によって歩いて支援物質を運送する、と言うのが一般的な方法です。

一定規模の自然災害なら仮に孤立集落が発生しても救助隊が駆けつけてくれる可能性は高いのですが、南海トラフ地震のような大規模災害が仮に発生した場合には、1つ1つの孤立集落に対して十分な対応が出来るかは誰にも分かりません。


最近では、農村部での高齢化も進んでいて防災力が落ちているなかで、孤立集落が発生する可能性があるので、もし仮に集落が孤立化したらどうするかを考えておくことも重要です。

私たちは、自治体も含め一体となって災害から住民を守るために何が出来るかを考え、防災対策をしっかりとする事で、災害を少しでもなくす・減災に努力しなければなりません。



(内閣府:孤立集落対策についてより抜粋・編集)




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
内閣府 防災情報のページより



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大規模災害時に於ける国と地方公共団体の責務とは [防災対策]

日本の防災・危機管理の中で、国や都道府県・市町村といった行政は一定の役割を担っている


私たちの生活を災害から守る「災害体対策基本法」が有るのをご存知ですか?

災害対策基本法は、国や地方公共団体等の責務や組織、防災計画の作成の義務、財政金融措置などを定めているのです。


行政の一定の役割の根幹と名なる基本的事項を定める法律が1959年の伊勢湾台風を契機として、1961年11月に公布されました。

日本の総合防災対策の基本法ですが、阪神淡路大震災などの大災害の教訓から、災害には自然災害に加え、大規模な人為的事故(鉄道・航空・船舶災害・市街地火災・など)も含まれており、2013年の改正で自然災害の例示として従来の地震、火山等に加え、「崖崩れ・土石流・地滑り」が追加されています。


東日本大震災関連の大改正があった後も、災害対策基本法は最近の災害情報に合わせて改正が重ねられています。

主なものとして、2014年度においては、道路管理者による滞留、放置車両の移動措置の強化さらに2015年には南海トラフ地震の州ら鵜に備え、発生が見込まれる膨大な災害廃棄物を迅速、円滑に処理するため、国の代行処理を恒久的に可能にする改正が行われました。



国や地方公共団体等の責務

国及び都道府県・市町村等の地方公共団体は、国民・住民を災害から守るため、災害対策基本法に基づく多くの責務を役割に応じて分担しています。

災害は地震で有れ、風水害で有れ、住民の最も身近な行政機関である市町村がその実情をよく知る事が出来る事から、災害対策基本法では防災対策の第一次責務を市町村に担わせている・・これを「防災における市町村中心の原則」と云うのです。


このほかにも、日本銀行、日本赤十字社、NHK、NTT、電力会社、ガス会社、JR等、国等の指定を受けた公的事業者については「指定公共機関」として、防災業務計画を作成して必要な対策を行うことが義務図けられています。

更に、国の省庁や独立行政法人等の機関で防災行政に係るものは、各々の所掌分野における防災業務計画を定めて、必要な対策を講じなければならないのです。







防災基本計画は、中央防災会議が作成する防災分野の最上位計画になります。

この計画に基づいて、指定行政機関、及び指定公共機関は防災業務計画を、地方公共団体は地域防災計画を作成します。


地域防災計画は、都道府県や市町村の区域について、それぞれの地域の実情に即して、その地域の防災機関が防災のために処理すべき業務などを具体的に定めた計画で、各地方防災会議または市町村長が防災基本計画に基づいて作成するものです。

最近では原子力施設や常時観測火山に起因する災害からの「避難計画」の策定に改訂の力点が置かれているようです。


東日本大震災においては、自助、共助及び公助がうまくかみ合わないと大規模広域災害後の災害対策が上手く働かないことが強く認識されました。

その教訓を踏まえて自助及び共助に関する規定の増強に伴い、地域コミュニティにおける共助による防災活動の推進の観点から、市町村内の一定の地区の居住者及び、事業者が行う自発的に防災活動に関する「地区防災計画制度」が新たに創設されました。

市町村では防災の最前線機関として、災害発生時の避難勧告の発令や、避難場所の確保、物資の確保、住民に対する情報伝達などを行っています。


そのため、市町村防災行政無線の維持管理や物資の備蓄、消防団や水防団の維持・育成なども行っています。

消防団は、市町村の消防本部・消防署の常備消防と連携する消防機関で、「非常備消防」とも呼ばれています。


住民の自発的な参加で維持されていることから、地域消防の中核を担う事が期待されています。

普段は自分の職業を持ちながら、「自分たちの町は自分たちで守る」という精神で、火災時における消火活動にあ当たり、特に地震などの大規模災害時における救助・救出活動、避難誘導を行っています。


このほか、消防団とは別に、家庭の主婦などが火災予防の知識を習得し、万一の場合にはお互いに協力して消火活動や災害応急対応にあたる「婦人(女性)防火クラブ」が組織されているほか、少年少女を中心とした「少年消防クラブ」も各地で編成され、活動しています。


防災士は、その成り手として、また自主防災組織リーダの育成指導者としても期待されています。

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参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
気象庁・局地的大雨から身を守るために 防災気象情報の活用の手引き
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避難所・仮設住宅の運営について(1)避難者数と避難所生活 [避難所運営]

避難所とは何か?避難所運営で配慮すべきこととは?また仮設住宅の暮らしの現状と課題とは?



避難所と一時避難所では大きな違いがある事は皆さんご存知ですよね。

一時避難所は災害があった時に、駅前や公園、近隣の事業所などに一時的に非難する場所で生活を伴わないもので3日程度の避難を想定していますが、避難所は災害によって住宅を失うなど、被害を受けた人や被害を受ける可能性が有る人が、一定の期間避難生活をする場所となります。

避難所に入る人は、必ずしも地域の住民に限定はされておらず、たまたまその土地を訪れていた旅行者なども対象となるのです。


避難所となる施設は、事前に地域防災計画の中で指定されていることが多く主に公民館などの集会施設や、学校などの公共施設が中心となっているようです。

阪神淡路大震災の時には避難者があまりに多く、あらかじめ指定した避難所だけでは収容しきれないことから、避難所として多くの施設が追加で指定されたのです。




避難者数と避難所生活


神戸市のピーク時の避難者数は約24万人で、これは神戸市全人口の16%にあたるのです。

新潟県中越地震では、小千谷市の避難者が一時2万6千人に達し、小千谷市全人口の62%にあたります。


東日本大震災では、発災から1週間後で、避難所数は2182ヵ所、、避難者数は38万6739人に上ったのです。

熊本地震では、熊本県でピーク時の避難所は855ヵ所、避難者数は18万3882人だったのです。


避難所での生活は、自分で住宅を確保するか、あるいは応急仮設住宅に入居できるまで続きます。

阪神淡路大震災出の避難所生活の期間は長い人で7か月間、新潟県中越地震は約2か月間となっています。


一般的に生活の期間は、被害の規模が大きくなるほど長くなる傾向にあり、また火山災害においては、噴火活動が長期化する場合は、これに伴う避難生活も長くなるようです。







避難所の指定と運営ガイドライン
避難所は市町村長が一定に基準に適合する施設を指定避難所として指定することを義務付けており、避難所における生活環境の整備等の規定が設けられ、現在全国で指定避難所の数は70947ヵ所、その想定収容人数は3669万人となっています。(平成30年度防災白書より)

なお、東京都では地域住民の指定避難所とは別に、前述に帰した通り帰宅困難者のための一時滞在施設が指定されています。


避難所の開設や運営に関して、マンパワーの限られた被災自治体にとっては大きな課題であり、防災部署のみならず建設、物資流通、医療、福祉、外国人対応など、あらゆる分野の問題に対する必要があり、避難所対応は自治体にとって、各部門の壁を超えた対応をしなければなりません。

そこで自治体においては、平時から庁内外の連携共同体制の確立が必須であり、また災害御関連死の防止のため、避難者の健康維持対策も考えなければなりません。

そのためには、トイレ、寝床、入浴、ペット、清掃など忘れがちな細かな事項にも対応しなくてはならないのです。



要配慮者について
避難者の中には「災害時に高齢者、障害者、乳幼児、その他特に配慮を要する者」つまり災害対策基本法第8条で定義されている”要配慮者”もいます。

その中で「特に配慮を要する者」として、妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者等が想定されます。


こうした人々は、避難行動や避難所での生活において様々な課題が生じやすく、一般の避難所で生活することが困難になりがちなので、福祉避難所を設置して入所してもらうことが望ましいのです。

福祉避難所としては、老人福祉施設や児童福祉施設、障害者視線施設等などが挙げられますが、これらの施設では、段差の解消、スロープの設置、手すりや誘導装置の設置、障碍者用トイレの設置など施設のバリアフリー化、通風、・換気の確保、冷暖房説にの整備等に配慮されていることが必要です。

災害が発生した場合において、要配慮者が相談し、または助言その他の支援を受ける事が出来る体制つくりも必要と言えるでしょう。


参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
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防災対策推進検討会議 自動車で安全かつ確実に避難できる方策
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避難所・仮設住宅の運営について(2)避難所生活者と在宅・車中避難者 [避難所運営]

住宅の再建など、その後の生活再建は自力で始める事が基本になる


仮設住宅や避難所の運営について、避難所などの性活はその生活再建の第一歩となる場所であることから避難者が自ら自主的に運営することが必要になります。

此れには様々な意見もありますが、災害発生時には自治体自らもまた職員も被災しているうえに、人命救助、二次災害防止、被害情報の集約や発信、必要な物資・食料の確保、危険個所への対応などに忙殺されるため避難所に十分な数の職員の配置が出来ないのです。


マスコミやメディアなどはこの対応の遅れを取り上げますが、このブログで何回も取り上げている通り3日以降になってしまうのは仕方がない事であり、また仮設住宅や避難所設営後も少ない職員で対処していくにはマンパワー不足であるため、自主的に運営を任せる事になってしまうのです。

これらの事から、避難所の運営は、原則として避難者を中心とした自治組織によって行われることが望ましく、避難生活の運営の主体は避難者であることを忘れてはいけません。



避難所は共同生活
避難所には住宅を失った多くの人が入るため、集団生活を強いられることになります。

そしてこの集団生活の秩序を保つためには、最小限の避難所生活のルールが必要なのです。


また、共同生活の中では、救援物質の受け取りや保管、配給といった活動、行政機関などからの情報を伝達する活動、掃除やごみの処理など、様々な活動が必要になります。

場合によっては、避難者の希望を取りまとめて行政機関に要望したりすることも、この様な活動を円滑に行うためには、避難所全体を皆で管理、運営するための組織が不可欠と言えるでしょう。


このような組織つくりは、災害の種類や規模在宅避難者や車中避難者も含め地域性などを考慮すべきであり、、また時間の経過とともに組織体制を見直していかなければなりません。

在宅避難者や車中避難者と大規模避難所の避難者との間で、軋轢が生じる事は過去の災害で見られました。


このような事を起こさないためにも、多くの方が運営組織に加入・参加・協力して運営していくことが求められるのです。







施設の使い方

避難所となる施設のすべての部屋を避難者が利用できるわけではなく、過去の大震災でも全国に避難者が移動を余儀なくされました。


学校を避難所として使用する場合、避難所の開設にあたっては施設管理者と協議し、避難所スペースと、非避難所スペースを明確に区別することが必要です。

さらに避難所スペースを、共用部分と各世帯の生活の場としての居住部分に分けなければなりません。

また長期に学校を避難所として活用する場合は、子供たちは避難所生活を支援してくれる貴重な若者なのですが、一方で子供たちの教育の妨げにならないよう、避難住民と学校双方での共生の配慮が必要です。



居住部の部屋割りは「世帯単位で」


居住部分の部屋割りは、当然ですが「世帯」単位として行い、可能な限り血縁関係や居住地域を考慮した部屋割りが望まれます。

また、避難生活の中でトラブルが発生する原因の一つに。一人当たりの面積、つまり密度が上げられます。


これまでの災害でも体育館や教室にあまりの藻多くの避難者が収容された場合、ストレスにより喧嘩などの多くの混乱が発生しています。

目安となる1人当たりの面積は、通路部分や共用スペースなどを除いて最低でも2平方メートルは確保すべき(一時滞在施設でも同じ)なのです。

また、要介護者や妊婦・乳幼児など和室や冷暖房がある部屋などを優先して割り当てるなどの配慮も望まれます。


多くの住民が厳しい環境の中で、より快適な共同生活を送るためには、最小限の性活ルールを定めて、避難者全員で守る事が必要となります。

生活ルールの項目は、生活の時間(起床、消灯、食事、清掃)、生活の基本(貴重品の自己管理など)、トイレや生活用水に関すること、ゴミの分別等、模造紙に大きく記して玄関付近などに掲示して周知することが大切です。


車中避難者や在宅避難者とのトラブルに挙げられるのは、食料などの配給やトイレの使用、お風呂などが上げられますが厳しい環境での生活には変わりは有りません。

自助・共助・協働を基本とした助け合う気持ちを忘れないことが大切です。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
総務省消防庁 防災マニュアル
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避難所・仮設住宅の運営について(3)避難者名簿とトイレ問題 [避難所運営]

避難者名簿は必要な食事数や要介護者を把握するためへの重要事項



“避難所を開設しよう”と言う事がじっさいには知らない人が多く、東日本大震災以降各地で訓練が行われていますが、中々巧く行かないのが実情です。

避難所を開けるには、市町村が開設することになっていますが、実際には市区町村職員の参集が遅れ鍵を持っている管理人者を呼びに行ったり、二箇所解錠をしなければならなかったり等々、そして、避難所が安全かどうか?余震で外壁や窓などが落下しないかなどを点検する必要もあります。

この場合、地域の中から「建築士」の資格を持っている人などを探し、危険度判定を行ってもらう事が望まれます。



避難者名簿は必要

避難者名簿の作成は、必要な食事数や物資数要介護者数などを把握するためにも重要な事項です。

記入の必要項目は、「氏名(フリガナ)」「性別」「年齢」「被災以前の住所」「緊急連絡先」「緊急の要望事項(病院・養護施設への転院など)」や、避難所運営に役に立ちそうな避難者が持つ資格の内容なども記載してもらいましょう。

名簿作成は、初日に名簿を作成することは不可能に近く、実際の災害で数百人から千人規模の避難者が来ることも有るため、初日は「命を守る事(余震や津波等から)」を優先し、安全が確保された後に名簿の整備を行うようにしましょう。



仮設トイレの設置

地震災害で断水した場合には、トイレを使用禁止にすると同時に、仮設トイレを設置するのですが、設置数の目安として、初動時には50人に1基を目指します。

また、要配慮者優先の洋式トイレも確保することを忘れずに、仮設トイレ(使用可能なトイレ)については女性用を多く設置・指定することが大切です。


難民キャンプでの教訓をもとに国際赤十字などが作成した「スフィア基準」には、女性:男性のトイレ数は3:1が望ましいとありますが、要は、男女のトイレの待ち時間が同じになれば良いのであって、3:1が絶対では有りません。

現実には男性2:女性3:男女共用1と言った事例もあるそうですが、避難者の男女比も考慮して、皆が等しく苦痛を減らす努力をすることが大切なのです。







なお、トイレで並んで待っている姿がオープンになる事は苦痛に感じるので、男性用、女性用の間に衝立などの目隠しがあると利用しやすくなります。

トイレの不潔さや待ち時間を嫌い水分を控えたりする方が多く出ますと、精神的に不安定になったりエコノミー症候群等も発生しやすくなりますので注意が必要です。


東日本大震災では、高齢者、障害者、乳児・妊婦、女性、外国人、震災孤児、旅行者、帰宅困難者など、多様な人々への配慮や、報道への対応、プライバシーの確保など様々なルール作りが発揚になる事が明らかになりました。

特に問題視されたのは、女性や子育て家庭、災害時要配慮者、子供への配慮不足は、避難所運営に女性の視点が入らなかったことに起因しており、意思決定の場に女性の参画が重要であることが浮き彫りにされました。



一時待避所でも同じよう事が

私の経験では、企業の一時待避所の開設運営会議の中で男性ばかりの会議が数回行われ、当初私は参加していませんでしたがその中で最初の課題が喫煙所をどこにするか?と云うものだった事にガッカリしたことを思い出します。

次に開催された時には、避難者への責任をどうするのか?ここにも女性の参加は有りません。

三回目の時に初めて女性に生理用品の一日の使用量を確認するに留まり女性の参加は有りませんでした。

四回目の会合でエアーマットや簡易テントの作成、女性や高齢者をどこに移動させるかがやっと決まり出すという始末でした。

五回目の会合で初めて女性が一名参加し、トイレ事情や要配慮者への配慮が見直されました。

六回目で地下3階にある非常食を実際に地下1階~2階まで運んでみましたが、かなりの負担であることが分かり地下1階に移動させることが決定しました。



実際に女性が参加して意見を取り入れたり、行動してみると様々な問題点が見いだされてくるのです。

避難所運営も然りで、図上訓練を行って検証してみると、私たち企業内一時待避所設営と同じように様々な問題が浮上してくるでしょう。




参考文献および資料
認定特定非営利活動法人日本防災士機構 防災士教本
一般財団法人日本消防設備安全センター 自衛消防業務講習テキスト
一般社団法人東京防災設備保守協会 防災センター要員講習テキスト
東京都首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 事業所における帰宅困難者対策ガイドライン
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